NYダウはこのままV字回復するのか?

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ダウ工業株30種平均(以下、NYダウ)は3月23日(月)に年初来安値(18,591.93ドル)をつけてから、わずか13営業日でプラス27.6%の上昇となった。ピークから底までの下落スピードは異例の速さとなったが、底から直近までの上昇スピードも異例の速さだ。このままNYダウはV字回復を達成するのだろうか?

異例尽くしのジェットコースター相場

今回のコロナショックは異例尽くしの相場だ。NYダウはピークの2月12日(水)からボトムの3月23日(月)までマイナス37.1%の歴史的スピード調整を経た後、直近4月9日(木)までのわずか13営業日でプラス27.6%の急反発となった。今回のスピード調整もその後の急反発も、大恐慌時(1929年-1933年)に見られるような極めて稀な現象だ。急反発のきっかけは、FRB(米国連邦準備制度理事会)による無制限の量的緩和と大規模な流動性供給に加え、トランプ政権による大型景気対策が一通り出揃ったことが挙げられる。さらに、主要各国における新型コロナウイルスの新規感染者数が鈍化しはじめたことが、株価上昇にいっそう弾みをつけた。このままNYダウはV字回復となるのだろうか?

株価の底入れは失業率がピークを打つタイミングか?

ITバブル崩壊時とリーマンショック時におけるNYダウの株価騰落率(前年同期比)と米国失業率を比較したグラフをご覧頂きたい(図表1、2)。ITバブル崩壊時は米国の失業率が2003年6月の6.3%のピークをつけた翌月にNYダウは前年同期比でプラスに転じた。また、リーマンショック時は米国の失業率が2009年10月の10.0%のピークをつけた同じ月にNYダウは前年同期比でプラスに転じた。一般的に失業率は景気の遅行指数と言われるが、景気後退局面では株価の底入れを示すシグナルになりうる。

 

それでは失業率がピークを打つのはいつだろうか? 主要金融機関の米国失業率予想を図表3に示した。2020年3月の実績値が4.4%であるのに対し、2020年4‐6月期の予想値は6.6%~21.0%とかなり範囲が広いものの、ここからさらに失業率は悪化するという見方がコンセンサスになっている。今のところ7-9月期以降は経済活動の再開とともに失業率が低下していくとの見方が支配的となっているが、経済活動の再開が延期または再開したとしても回復が鈍いということになれば、失業率がさらに悪化するリスクをはらんでいる。いずれにせよ、NYダウのV字回復は一筋縄ではいかないだろう。

 

月次、配当無し、米ドル建て、期間:1999年12月末~2004年12月末  出所:ブルームバーグのデータを使用しピクテ投信投資顧問作成
[図表1]NYダウ騰落率と米国失業率(ITバブル崩壊時)異例尽くしのジェットコースター相場 月次、配当無し、米ドル建て、期間:1999年12月末~2004年12月末
出所:ブルームバーグのデータを使用しピクテ投信投資顧問作成

 

月次、配当無し、米ドル建て、期間:2006年12月末~2011年12月末 出所:ブルームバーグのデータを使用しピクテ投信投資顧問作成
[図表2]NYダウ騰落率と米国失業率(リーマンショック時) 月次、配当無し、米ドル建て、期間:2006年12月末~2011年12月末
出所:ブルームバーグのデータを使用しピクテ投信投資顧問作成

 

出所:ブルームバーグのデータを使用しピクテ投信投資顧問作成
[図表3]主要各社の米国失業率予想 出所:ブルームバーグのデータを使用しピクテ投信投資顧問作成

 

 

当レポートの閲覧に当たっては【ご注意】をご参照ください(見当たらない場合は関連記事『NYダウはこのままV字回復するのか?』を参照)。

 

(2020年4月10日)

 

田中 純平

ピクテ投信投資顧問株式会社

運用・商品本部 投資戦略部 ストラテジスト

ピクテ投信投資顧問株式会社
運用・商品本部 投資戦略部 ストラテジスト 

日系運用会社に入社後、14年間一貫して外国株式の運用・調査に携わる。主に先進国株式を対象としたアクティブ・ファンドの運用を担当し、北米株式部門でリッパー・ファンド・アワードを受賞。アメリカ現地法人駐在時は中南米株式ファンドを担当し、新興国株式にも精通。ピクテ入社後は、ストラテジストとしてセミナーやメディアなどを通じて投資家への情報提供に努める。日本証券アナリスト協会検定会員(CMA)

著者紹介

ピクテは1805年、スイス、ジュネーブにおいて会社創設以来、一貫して資産運用サービスに従事し、運用サービスに特化したビシネスモデルを展開してまいりました。信用格付ではフィッチ・レーティングスからAA-の格付けを取得しております(2018年5月末現在)。注:上記の格付はピクテ・グループの銀行部門の債務の信用に対するもので、運用部門や運用能力に関するものではありません

1981年、日本経済や株式市場の調査を目的に東京事務所を設立しました。その後、1987年から機関投資家を対象とした資産運用サービス業務を開始、1997年には投資信託業務に参入し、運用資産総額は1.98兆円となっています(2018年12月末現在)。外資系運用機関の大手の一角として、特色ある資産運用サービスをお届けしております。

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