新年度に入りましたが、日経平均株価は続落となっています。「心機一転」といきたいところですが、やはり、新型コロナウイルスの影響を読み切れない中では株価反転とはなりにくいようです。それでも、ポジティブな動きが見え始めています。それはどのようなものでしょうか。

新年度入りしても下落が続く東京株式市場

名実ともに新年度入りとなった4月1日の東京株式市場では、日経平均株価は大幅安でのスタートとなりました。例年ならば「心機一転」という感じでマーケットのムードが一変することもあるのですが、新型コロナウイルスの影響がどうなるのか見通しがつかない現状、そうはいかないようです。

 

4月になって、金融機関やファンドなどでは新年度入りに伴う投資資金(ニューマネー)をさっそく株式市場に投入する動きが出てくるものですが、しばらく様子見に徹すると考えられます。

 

4月になり新年度に入ったが、日本株は下落のスタートとなった。
4月になり新年度に入ったが、日本株は下落のスタートとなった。

 

自粛ムードが広がっていますが、4月1日の恒例行事である、企業からの「嘘ネタ」も例年より少ない気がします。近年は「エイプリルフール」に伴い、各企業の広報部が考え抜いて作った「嘘ネタ」が朝からリリースされ、そのおもしろさが競われていました。SNSなどで反響の大きいものは、夕方や夜のニュースで取り上げられることもあります。

 

それでも、製薬大手から「【世界初!巨人専用サポーター】ひざ用サポーターXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXLサイズ登場」のような、手の込んだものも散見されます。世の中が「ふざけてはならない」モードであることは理解できますが、これを楽しみにしているメディアや金融マーケットの関係者は少なくありません。

 

例年の4月1日の相場では、この「嘘ネタ」の完成度合いによって、市場から評価されたものは当日の株価が上昇するということもあります。

医薬品株や自社株買いを発表した銘柄に反転の動き

さて、新型コロナウイルスに関するネガティブなニュースが続いています。3月31日は東京都で新たに78人の感染が発表されるなど、全国の1日当たりの感染者数が初めて200人を超えたと報じられています。

 

当初は北海道をはじめ、アジア各国の旧正月で訪日客が多かったところを中心に感染者数が増えていましたが、ある時期から東京都、大阪府、愛知県といった人口の多い自治体が感染者数の上位に並ぶようになりました。その中で「感染経路不明」も増え始めました。

 

このニュースを見ていると、日本株のリバウンドはまだまだ先と考えがちですが、3月下旬あたりから、ポジティブな材料も出始めています。

 

多くの人が期待しているのは、富士フイルム富山化学(東京都中央区)が抗インフルエンザウイルス薬「アビガン」について、新型コロナウイルス感染症の患者を対象とした臨床試験を開始したことでしょう。投与時の治療効果と安全性を確認するもので、試験期間は6月末までを予定しています。親会社である富士フイルムホールディングスの株価はこれまでも堅調に推移していますが、4月1日も上昇しています。

 

富士フイルムホールディングス(4901)日足チャート 【提供:楽天証券マーケットスピードⅡ】
富士フイルムホールディングス(4901)日足チャート
【提供:楽天証券マーケットスピードⅡ】

 

また、厚生労働省に申請していた『Loopamp新型コロナウイルス2019検出試薬キット』の製造販売承認を取得したと発表した栄研化学の株価も大きく上昇しています。同社ではこの製品を新型コロナウイルスの検出を目的とした体外診断用医薬品として、4月中旬から発売します。新型コロナウイルスを短時間で簡便に検出することが可能となります。

 

栄研化学(4549)日足チャート 【提供:楽天証券マーケットスピードⅡ】
栄研化学(4549)日足チャート
【提供:楽天証券マーケットスピードⅡ】

 

3月中旬まではリスク回避の様相が極度に強まり、ほとんどの銘柄が暴落していましたが、好材料のある銘柄を拾っていこうという動きは、今後の全体相場の好転に向けて望ましいです。輸出関連の銘柄や大型株、景気敏感株(景気の動向に業績が振れやすい株)はさすがに手がけづらいものの、好材料の出た銘柄は素直に買っていこうというものであり、「材料株物色」と言われます。

 

株価急落後に「自社株買い(自己株取得枠の設定)」を発表する企業も複数見られます。資金に余裕のあるような会社が文字通り、自分の会社の株を買うというものですが、これは「ウチの会社の株は安すぎる」という企業側からのメッセージでもあります。最近は「自社株買い」を発表した企業の株が素直に買われているケースが増え、すなわち、投資家の側も「この会社の株はこれ以上、下がらないだろう」と見ているためと推察できます。

 

これらは、市場の動揺が収まり、冷静さを取り戻したためと言えるでしょう。買えそうな銘柄から打診的に買いオーダーが入り始め、その動きが広がっていけば、全体相場の上昇にもつながっていくかもしれません。

 

※本連載に記載された情報に関しては万全を期していますが、内容を保証するものではありません。また、本連載の内容は筆者の個人的な見解を示したものであり、筆者が所属する機関、組織、グループ等の意見を反映したものではありません。本連載の情報を利用した結果による損害、損失についても、著者ならびに本連載制作関係者は一切の責任を負いません。投資の判断はご自身の責任でお願いいたします。

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