企業価値の算定に「ビジネスモデル」の理解が不可欠な理由

前回は、企業価値を測るための柱のひとつ「経営者」を取り上げた。今回は、企業価値の測るために「ビジネスモデル」の理解が重要な理由を見ていきたい。

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企業の本質的な価値と現場の仕組みを知る

企業価値を測るための柱として①経営者、②ビジネスモデル、③市場の3つの柱がある。今回は、ビジネスモデルについて見ていく。

 

価値を測るための柱 ②ビジネスモデル

企業の価値を算定する際に用いる将来の利益・キャッシュフローの水準を予測する際には、ビジネスモデルの詳細を理解することが欠かせない。ここで言うビジネスモデルの理解とは、経営戦略の教科書に載っているようなきれいにまとめたものではない。その企業が提供している本質的な価値と、それを支える、場合によっては泥臭い、実際の現場の仕組みを理解し、評価するのである。

 

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ビジネスモデルを深く理解することで、以下に挙げるような、企業の差別化要因・優位性事業継続上のリスク要因収益変動要因などを把握することができる。将来の利益・キャッシュフローを正確に予測することは容易ではないが、これらの項目を把握することで、過去の実績を参考にしながら、リスク要因を加味した将来予測をすることは十分可能である。

ビジネスモデルの理解から把握できるリスク要因とは?

●差別化要因・優位性

自由競争の下では通常、超過利潤(資本コストを上回る利益)を生む市場には新規参入が起こり、競争によって超過利潤は消滅してしまう。しかし、独自の差別化要因・優位性を持つことにより、長期にわたり超過利潤を獲得し、かつ拡大し続ける特別な企業も存在している(ウォーレン・バフェットは「独自の事業基盤を持つ少数の企業グループと、はるかに多数の汎用品事業のグループに大別される」と言っている)。

 

ある企業が超過利潤を上げているかどうかは実績から把握できる。超過利潤の背後にある差別化要因・優位性を特定し、その維持・拡大の可能性を突き詰めることが、ビジネスモデルの調査において極めて重要な部分を占める。もし長期にわたり超過利潤を獲得し、拡大できる特別な企業が一般的な企業と同じような評価を受けているのであれば、それは非常に魅力的な投資機会になる可能性があるのである。

 

●事業継続上のリスク要因

ある種の事業は予想できない事態によって、突如事業自体が立ち行かなくなるリスクがある。許認可や法規制、税制といった制度から強い影響を受ける事業や、大口顧客への依存度が高い事業、他社からのライセンス契約に基づく製品・サービスを提供する事業などが該当する。

 

このようなリスクのある事業は本質的に安全であるとはいえない。市場ではこのようなリスクは過小評価されやすいため、慎重な検討が必要である。例えば長年続いてきた制度の変更が起こる場合、変更による直接的な影響だけではなく、二次的、三次的な影響(例えば、価格競争の激化、資産の大幅な減損、財務体質悪化による資金調達の不安定化など)も発生する。市場は直接的な影響しか織り込んでおらず、実際のダメージは最終的に想定よりもずっと大きくなったというケースも見られる。

 

最近の例で言うと、貸金業法改正後に大手消費者金融会社が破綻しているが、振り返ってみると、改正の全貌が明らかになった時点での市場の見方は極めて楽観的であった。

 

●収益変動要因

事業領域、ビジネスモデルによって、業績変動性や予測可能性は企業間で大きく異なる。ある企業は、需要は安定しており、売上高に対するコストの比率が低く、コストの変動が利益を大きく左右することもないため、安定した業績が期待できる。

 

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一方、別の企業は、販売数量に波があり、原材料価格も大きく変動し、しかも売上の半分を日本から海外にドル建てで販売している。そのため、需要が堅調で原材料が安く、為替が円安の際には大きな利益を生み出すが、正反対の状況では利益が出なくなってしまう。後者のように収益変動要因が多い企業については、投資を諦めるか、もしくは極めて保守的な前提で将来を予測することが必要となる。

 

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スパークス・グループ株式会社 代表取締役社長

北海道札幌市出身。上智大学経済学部卒。米ボストンのバブソンカレッジでMBA取得。

1981年、野村総合研究所に入社後、ニューヨークのノムラ・セキュリティーズ・インターナショナルに出向し、米国の機関投資家向けの日本株のセールスに従事。1985年にニューヨークで独立し、ジョージ・ソロス氏から1億ドル(当時の為替レートで約200億円)の運用を任される。

1989年、日本でスパークス投資顧問(現スパークス・グループ)を設立。2001年に上場。2005年、ハーバード大学ビジネススクールでAMP取得。現在の投資対象は日本の上場株だけでなく、アジアの上場株、再生可能エネルギー発電施設や不動産といった実物資産、そして米国、イスラエル、日本などの未上場企業にまで広がってきたが、投資対象の価格と価値の差に着目し主体的に働きかける投資哲学は一貫している。

プライベートでは作詞、作曲、ギター演奏に加え、絵画も描く。

近著に『暴落を買え!-年収300万円から始める資本家入門-』(ビジネス社 2017/5/24)。

著者紹介

連載「富のブレイクスルー」~株式投資のチャンスをつかむ原理原則

本連載は、2015年1月22日刊行の書籍『株しかない』から抜粋したものです。その後の税制改正等、最新の内容には対応していない可能性もございますので、あらかじめご了承ください。

株しかない

株しかない

阿部 修平

幻冬舎

一度きりの人生を自分自身の力で大きく変えろ! 8000億円を運用する「伝説のファンドマネジャー」が、株式投資で勝つための戦略と戦術を明かす 〇日本経済はデフレのスーパーサイクルから解放された 〇苦難の20年が日本…

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