米国株の急落が続いています。連日で1,000ドルを超える記録的な下落となっており、金融関係者の「恐怖心」はかなり高まってきています。金融当局は相次いで緩和姿勢を示していますが、効果は限定的のようです。NYダウの底割れは避けられないのでしょうか。

米国株の下落に拍車がかかっている

3月12日の米国株式市場において、NYダウが再び急落しました。この日は寄り付きから売りが殺到し、一時売買を停止するサーキットブレーカーが発動しました。これは週初の9日にも発動されており、今週だけでも2回目という異常事態です。NYダウの終値は21,200.62ドル(前日比-2,352.60ドル)で、9.99%の記録的な下げ幅となりました。

 

S&P500種株価指数が現地時間の午前9時35分時点で前日比7%安の2,549となり、証券取引所のルールに基づいて、15分間取引を停止しました。しかし、取引再開後も売り物が相次ぎ、下げ幅を拡大しました。

 

この日も米国のトランプ政権から「必要なら緊急時の権限行使も」などの発言が伝えられましたが、市場の見方は冷ややかです。投資家心理を最も冷やしたトピックは、トランプ大統領が国民向けの演説で、欧州から米国への渡航を30日間大幅に制限すると表明したことでしょう。欧州側との事前協議もせずに決めたとされています。これにより、米国経済に急ブレーキがかかるとの見方が、一気に広がりました。

 

米国株の下落が続いている
米国株の下落が続いている

 

さらに、トランプ大統領が米国の中央銀行にあたるFRB(連邦準備制度)に対して、追加の金融緩和を行うよう圧力をかけ続けていると報じられていることも、影響しているとの指摘があるようです。

 

先日の緊急利下げに続いて、この日はFRBの金融調節を担うニューヨーク連銀が、1兆5,000億ドル規模の追加レポオペを実施すると発表しました。国債の購入対象も増やし、マーケットの資金供給を増やすことで、市場の動揺を緩和しようという狙いです。

 

しかし、今回の「コロナ・ショック」に金融緩和は効かないと、多くの市場関係者は考え始めています。今週の週央あたりから、ブルームバーグやロイターのニュース、コラムでも、この指摘が散見されるようになり、金融緩和では止められないという見方がコンセンサスになりつつあります。

そろそろ「セリング・クライマックス」か

「多くの米国市民にとってリスクは非常に小さい」、「市場は非常に大きく持ち直すだろう」といった発言が伝えられるように、トランプ大統領は依然として楽観的な見方のようですが、金融関係者をはじめとして大半の米国民には、楽観ムードはなくなってきています。

 

この「楽観ムード」から「悲観ムード」への変化は、実は株価の下げ止まり、反転上昇の時期を探る1つのシグナルになります。「〇ショック」時のパターンとして、年金や投資信託といった機関投資家の売りで「一番底」をつける→値ごろ感からの買いで、いったん反発→値を戻す局面で、売りそびれていた投資家の売り→個人投資家を中心とした見切り売り、投げ売り→すべての投資家のろうばい売りで一段安となり「二番底」といったイメージです。

 

この点で、「すべての投資家のろうばい売り」のステージに、現状はあると思われます。「すぐに反発するだろう」と思っていた投資家が、「やばい!」と考えを改めています。この方々が売り切れば、「売りたい人(売らなければならない人)」のポジション整理が一巡となります。

 

NYダウの月足チャート 【提供:楽天証券マーケットスピードⅡ】
NYダウの月足チャート
【提供:楽天証券マーケットスピードⅡ】

 

これはマーケットで「セリング・クライマックス」という言い方をされます。1つの下げ相場の最後の局面といった感じです。「売りたい人(売らなければならない人)」がいなくなれば、理論的には株価の売り圧力が取り除かれ、株価上昇に向けて「軽く」なります。

 

上に示したチャートでは出来高(取引量)を確認できないのですが、実は、3月12日の株価急落は、商いを伴っての下落です。この出来高というものが大事で、「セリング・クライマックス」を見極める1つのシグナルともいえます。

 

取引が閑散としていて、かつダラダラと下げているのが最もタチが悪いです。ドカンと下げた方が、ポジション整理が進んで、反転上昇に向けてはよいといえます。

週明けからマーケットは落ち着きを取り戻せる可能性も

投資家の悲観ムードが急速に高まり、今週は株価が急落しましたが、週明けから下値確認→リバウンドをトライといった展開に、状況が変わることはないのでしょうか。株価の底割れは避けられないのでしょうか。

 

2017年1月に米国でトランプ政権が発足しましたが、当時からNYダウは一貫して上昇しました。その「貯金」をここにきて一気に吐き出している格好になっていますが、政権発足時の株価水準に近づいてきており、このあたりが下値のメドとして意識される可能性があります。

 

金利低下や、原油価格をはじめとしたコモディティ相場の下落などを短期間に急速に織り込みました。

 

「13日の金曜日」を敬遠する欧米の金融関係者は少なくない
「13日の金曜日」を敬遠する欧米の金融関係者は少なくない

 

本日は「13日の金曜日」です。日本人はあまり気にしませんが、欧米の金融関係者の中には、この日を敬遠するトレーダーは少なくありません。彼らからすれば「縁起が悪い」、「不吉だ」と、今回の混乱で確信を強めているのかもしれません。

 

ホラー映画『13日の金曜日』に出てくる殺人鬼「ジェイソン」が去れば、欧米のトレーダーの「恐怖心」が和らぎ、週明けからマーケットに落ち着きを取り戻せるかもしれません。なお、次の「13日の金曜日」は11月13日まで、しばらくありません。

 

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