新型コロナの裏で影響力広げるバーニー・サンダース氏の凄み

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足下のマーケットにおいて、COVID-19の不安のみに注目しがちだが、米国市場の大幅な調整には民主党大統領候補者レースでバーニー・サンダース上院議員が好調であることも影響しているのではないか。大統領選挙の行方を予測することが難しいとすれば、スーパーチューズデーの結果如何により、市場はサンダース氏の政策を一定程度織り込まざるを得ないだろう。

ネバダ州党員集会:ヒスパニックによるサンダース支持の衝撃

アイオワ、ニュー・ハンプシャー、ネバダの3州で民主党の予備選、党員集会が行われ、サンダース氏は獲得代議員数でトップに立った。同党の全誓約代議員は3,979人であり、まだその2.5%に当たる101名が選ばれたに過ぎない。従って、現段階でこのレースの帰趨を占うのは早過ぎるだろう。

 

もっとも、2016年の大統領選挙では、当初は有力と見られていなかったトランプ現大統領が序盤での好スタートにより共和党の指名を獲得、本選でも勝利した。1,357人の代議員を選出する3月3日のスーパーチューズデーの結果次第では、民主党の候補者レースはサンダース氏の独走状態となる可能性も否定できない。

 

特に、大票田のカリフォルニア州に隣接するネバダ州において、サンダース氏はヒスパニック系の圧倒的な支持を得た模様だ。カリフォルニアは州民の39%がヒスパニック系であり、同氏にとって有利との見方もある。ここから参戦するマイケル・ブルームバーグ元ニューヨーク市長の戦いぶりと合わせ、スーパーチューズデーの最大の注目点と言えるだろう。

異端の候補者:貧富の格差が影響か?

サンダース氏は、民主党内では最左派に属し、大きな政府の提唱者だ。大学生の奨学ローンに焦点を当てるなど、若年層から圧倒的な支持を受けている。ただし、政策に要する財源の手当ては必ずしも明確ではなく、MMTに傾いたり、富裕層・高額所得者層への大幅な増税を主張してきた。

 

民主党には、大統領選挙において、1)若いこと、2)政策は中道であること、3)政治的根拠地が北東部でないこと…の3つの勝ちパターンが存在する。サンダース氏の場合、これらのいずれにも当てはまらない。かなり異端の候補と言える。

 

ただし、トランプ大統領も、当初、共和党主流派とは大きな距離があった。むしろ、それ故に従来は民主党を支持していたラストベルト6州に住む低所得の白人層が岩盤支持者になり、大統領の座を射止めている。

 

大胆な推測だが、米国は富の格差、所得格差により、最早、中途半端な主張の候補者が大統領選挙に勝ち難くなっているのかもしれない。つまり、極端なトランプ大統領に対し、民主党が対極にある候補を選択する可能性がある。このシナリオでは、サンダース氏は明らかに有力候補だろう。

マーケット:サンダース氏の政策に注目せざるを得ない

リアルクリア・ポリティクスの調査では、民主党の有力候補の支持率は、軒並みトランプ大統領を上回っている(図表)。もっとも、同大統領は現職である上、岩盤支持層は強固のようだ。本選においては、現在の調査と異なる結果になる可能性も十分にあるだろう。
 

期間:2020年2月25日現在 出所:リアルクリア・ポリティクスの調査よりピクテ投信投資顧問が作成
[図表]米国大統領選世論調査:トランプ大統領vs.民主党有力候補 期間:2020年2月25日現在
出所:リアルクリア・ポリティクスの調査よりピクテ投信投資顧問が作成

 

ただし、スーパーチューズデーでサンダース氏が抜け出した場合マーケットは同氏の「大きな政府」、「格差是正」、「市場規制」型の政策をある程度織り込まざるを得ないだろう。2016年の経験から、予断は危険であることを学んだからだ。足下の株価の大幅な下落についても、新型コロナウイルスへの不安だけが注目されているが、ネバダ州の民主党党員集会が影響した可能性は否定できない。中長期的に考えれば、民主党の候補者指名レースのインパクトは、COVID-19より大きなものになり得るからである。

 

 

当レポートの閲覧に当たっては【ご注意】をご参照ください(見当たらない場合は関連記事『米国市場の大幅調整、民主党候補者サンダース氏好調の影響も?』を参照)。

 

(2020年2月28日)

 

 

市川 眞一

ピクテ投信投資顧問株式会社

シニア・フェロー

 

ピクテ投信投資顧問株式会社 シニア・フェロー

日系証券の系列投信会社でファンドマネージャーなどを経て、1994年以降、フランス系、スイス系2つの証券にてストラテジスト。この間、内閣官房構造改革特区評価委員、規制・制度改革推進委員会委員、行政刷新会議事業仕分け評価者など公職を多数歴任。
著書に『政策論争のデタラメ』、『中国のジレンマ 日米のリスク』(いずれも新潮社)、『あなたはアベノミクスで幸せになれるか?』(日本経済新聞出版社)など。
2011年6月よりテレビ東京『ワールドビジネスサテライト(WBS)』レギュラー・コメンテーター。

著者紹介

ピクテは1805年、スイス、ジュネーブにおいて会社創設以来、一貫して資産運用サービスに従事し、運用サービスに特化したビシネスモデルを展開してまいりました。信用格付ではフィッチ・レーティングスからAA-の格付けを取得しております(2018年5月末現在)。注:上記の格付はピクテ・グループの銀行部門の債務の信用に対するもので、運用部門や運用能力に関するものではありません

1981年、日本経済や株式市場の調査を目的に東京事務所を設立しました。その後、1987年から機関投資家を対象とした資産運用サービス業務を開始、1997年には投資信託業務に参入し、運用資産総額は1.98兆円となっています(2018年12月末現在)。外資系運用機関の大手の一角として、特色ある資産運用サービスをお届けしております。

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