東証市場再編の概要発表…TOPIX見直しの詳細は今後決定へ

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2月21日に東証市場再編の概要が決定された。新市場区分は、現状の4市場を、①プライム市場(企業数削減した東証1部)、②スタンダード市場(中堅企業)、③グロース市場(新興市場)の3つ(仮称)に再編成する。「新市場区分の概要等について」および「TOPIX(東証株価指数)等の見直しに関する今後の対応方針について」の2つの資料を公表した。

東証市場再編の概要発表
~昨年12月の金融庁報告書案と大きく変わらない印象~

2月21日、日本取引所グループ(JPX、東京証券取引所の親会社)は、「新市場区分の概要等について」および「TOPIX(東証株価指数)等の見直しに関する今後の対応方針について」の2つの資料を公表した。

 

昨年12月25日の金融庁の金融審議会市場ワーキンググループ「市場構造専門グループ報告書案」や、新聞等のマスコミ報道されたものと大きく変わらない印象である。

上場維持基準に「売買代金」と「資本金」が追加
~プライム市場のハードルは高めに~

市場区分については、①プライム市場、②スタンダード市場、③グロース市場の3市場に区分し、それぞれに(A)「流動性」や(B)「ガバナンス」、(C)「経営成績・財政状態」の基準項目が設けられた。

 

プライム市場の上場基準の概要は以下のとおり。

 

(A)流動性は、株主数や流通株式数、流通時価総額のほか、売買代金の項目が設定された。注目は、上場維持基準として「1日平均売買代金2,000万円以上」が設定されたことだ。この水準は、浮動株時価総額の下限100億円とした場合、年間売買回転率が約50%となり、ハードルは高めといえよう。基本、新規上場基準と上場維持基準は共通化され、上場維持基準に抵触した場合は上場廃止となるが、猶予期間が設けられるため、すぐに上場廃止にはならない。

 

(B)ガバナンスは、流動株式比率の項目が設定された。重要なのは、見直し後のコーポレートガバナンス・コード全ての原則の適用が求められることだ。より高い水準が示されることが想定される。

 

(C)経営成績・財務状態は、利益と売上の実績に対し、収益基盤や財政状態の項目が設定された。注目は、「純資産50億円以上」が設けられたことだ。一部の米国企業のように、潤沢なキャッシュフローを背景に、株主還元を強化し、結果的に債務超過となる企業はプライム市場には残れないことになるのは気になる。

 

「流通株式」の定義見直しも行なわれた。詳細は決まっていないものの、実態として政策保有株など流通性が乏しいと考えられる株式を除外し、より「浮動株式」に近いものとなる方向で検討されているようだ。

2022年4月1日が新市場への一斉移行日
~移行基準日は2021年6月末日~

昨年議論されたスチュワードシップ・コードの改訂は1月末にパブリックコメントを終え、今春に施行される予定だ。そうしたなか、東証は年内に新市場区分の上場基準と既上場会社の移行プロセスの詳細を発表する。コーポレートガバナンス・コードも今年改訂を議論して、2021年春に施行される。

 

東証は2021年6月末を移行基準日として、上場会社に対して新市場区分の上場維持基準に適合しているかどうかを同年7月末までに通知する。2021年9~12月の市場選択手続期間に、上場会社は市場を選択する。移行基準日に新市場区分の上場維持基準を満たさないのに、プライム市場に残ることを望む東証1部銘柄は、「計画書」を2021年末までに提出することで、プライム市場に上場することが可能となる。したがって注目点は、該当上場企業が、実現可能性の高い計画書を提出できるかだ。

 

新市場への一斉移行日は2022年4月1日を予定している。

TOPIX詳細は外部意見を聞いたうえで決定へ
~指数アドバイザー・パネルを設置へ~

株式投資家にとって重要なのは、TOPIXの構成銘柄がどうなるかであろう。今回の「TOPIX(東証株価指数)等の見直しに関する今後の対応方針について」資料では、TOPIXの新基準に関して細かい内容がほとんど公表されていない。

 

今回、スケジュール・イメージを第1~3フェーズで示した。①第1フェーズ(~2020年3月末)では、報告書を受けた対応方針の概要発表する。②第2フェーズ(2020年4月~2022年3月末)では、「指数コンサルテーション」の運用開始と「指数アドバイザリー・パネル」の設置をする。③第3フェーズ(2022年4月以降)では、市場区分の見直しを受け、TOPIX等の新算出ルールへの変更を開始する予定。

 

上記のとおり、ガバナンス強化策として、外部の「指数アドバイザリー・パネル」の設置を実施することが大きな特徴だ。これらを通じて外部意見を聞いたうえで、2022年3月末までに新ルールを決定する。2020年4月~2022年3月末に新算出ルールが決定され、2022年4月以降に段階的に変更を開始する予定になっている。

 

 

当レポートの閲覧に当たっては【ご注意】をご参照ください(見当たらない場合は関連記事『東証市場再編の概要発表…TOPIX見直しの詳細は今後決定へ』を参照)。

 

(2020年2月28日)

 

 

糸島 孝俊

ピクテ投信投資顧問株式会社
運用・商品本部 投資戦略部 ストラテジスト

 

 

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ピクテ投信投資顧問株式会社
運用・商品本部 投資戦略部 ストラテジスト 

証券系シンクタンクの企業調査アナリストを経て、日系大手運用会社にて投資顧問や投資信託の資金を国内株式中心に運用。その後、ヘッジファンドや独立系運用会社でもアクティブ・ファンドマネージャーとして従事。運用経験通算21年。最優秀ファンド賞3回・優秀ファンド賞2回の受賞歴を誇る日本株式ファンドの運用経験を持つ。ピクテでは、ストラテジストとして得意とする国内株式を中心に主要国のエクイティ・マーケットまで緩やかにカバー。日本証券アナリスト協会検定会員(CMA)、国際公認投資アナリスト(CIIA)、国際テクニカルアナリスト連盟認定テクニカルアナリスト(CFTe)

著者紹介

ピクテは1805年、スイス、ジュネーブにおいて会社創設以来、一貫して資産運用サービスに従事し、運用サービスに特化したビシネスモデルを展開してまいりました。信用格付ではフィッチ・レーティングスからAA-の格付けを取得しております(2018年5月末現在)。注:上記の格付はピクテ・グループの銀行部門の債務の信用に対するもので、運用部門や運用能力に関するものではありません

1981年、日本経済や株式市場の調査を目的に東京事務所を設立しました。その後、1987年から機関投資家を対象とした資産運用サービス業務を開始、1997年には投資信託業務に参入し、運用資産総額は1.98兆円となっています(2018年12月末現在)。外資系運用機関の大手の一角として、特色ある資産運用サービスをお届けしております。

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