投資のプロフェッショナルである機関投資家からも評判のピクテ投信投資顧問株式会社、DEEP INSIGHT。日々のマーケット情報や政治動向を専門家が読み解き、深く分析・解説します。

調査官は重加算税をかけたがる
相続税の「税務調査」の実態と対処方法
5/19(日)>>>WEBセミナー

 

2月21日に東証市場再編の概要が決定された。新市場区分は、現状の4市場を、①プライム市場(企業数削減した東証1部)、②スタンダード市場(中堅企業)、③グロース市場(新興市場)の3つ(仮称)に再編成する。「新市場区分の概要等について」および「TOPIX(東証株価指数)等の見直しに関する今後の対応方針について」の2つの資料を公表した。

東証市場再編の概要発表
~昨年12月の金融庁報告書案と大きく変わらない印象~

2月21日、日本取引所グループ(JPX、東京証券取引所の親会社)は、「新市場区分の概要等について」および「TOPIX(東証株価指数)等の見直しに関する今後の対応方針について」の2つの資料を公表した。

 

昨年12月25日の金融庁の金融審議会市場ワーキンググループ「市場構造専門グループ報告書案」や、新聞等のマスコミ報道されたものと大きく変わらない印象である。

上場維持基準に「売買代金」と「資本金」が追加
~プライム市場のハードルは高めに~

市場区分については、①プライム市場、②スタンダード市場、③グロース市場の3市場に区分し、それぞれに(A)「流動性」や(B)「ガバナンス」、(C)「経営成績・財政状態」の基準項目が設けられた。

 

プライム市場の上場基準の概要は以下のとおり。

 

(A)流動性は、株主数や流通株式数、流通時価総額のほか、売買代金の項目が設定された。注目は、上場維持基準として「1日平均売買代金2,000万円以上」が設定されたことだ。この水準は、浮動株時価総額の下限100億円とした場合、年間売買回転率が約50%となり、ハードルは高めといえよう。基本、新規上場基準と上場維持基準は共通化され、上場維持基準に抵触した場合は上場廃止となるが、猶予期間が設けられるため、すぐに上場廃止にはならない。

 

(B)ガバナンスは、流動株式比率の項目が設定された。重要なのは、見直し後のコーポレートガバナンス・コード全ての原則の適用が求められることだ。より高い水準が示されることが想定される。

 

(C)経営成績・財務状態は、利益と売上の実績に対し、収益基盤や財政状態の項目が設定された。注目は、「純資産50億円以上」が設けられたことだ。一部の米国企業のように、潤沢なキャッシュフローを背景に、株主還元を強化し、結果的に債務超過となる企業はプライム市場には残れないことになるのは気になる。

 

「流通株式」の定義見直しも行なわれた。詳細は決まっていないものの、実態として政策保有株など流通性が乏しいと考えられる株式を除外し、より「浮動株式」に近いものとなる方向で検討されているようだ。

2022年4月1日が新市場への一斉移行日
~移行基準日は2021年6月末日~

昨年議論されたスチュワードシップ・コードの改訂は1月末にパブリックコメントを終え、今春に施行される予定だ。そうしたなか、東証は年内に新市場区分の上場基準と既上場会社の移行プロセスの詳細を発表する。コーポレートガバナンス・コードも今年改訂を議論して、2021年春に施行される。

 

東証は2021年6月末を移行基準日として、上場会社に対して新市場区分の上場維持基準に適合しているかどうかを同年7月末までに通知する。2021年9~12月の市場選択手続期間に、上場会社は市場を選択する。移行基準日に新市場区分の上場維持基準を満たさないのに、プライム市場に残ることを望む東証1部銘柄は、「計画書」を2021年末までに提出することで、プライム市場に上場することが可能となる。したがって注目点は、該当上場企業が、実現可能性の高い計画書を提出できるかだ。

 

新市場への一斉移行日は2022年4月1日を予定している。

TOPIX詳細は外部意見を聞いたうえで決定へ
~指数アドバイザー・パネルを設置へ~

株式投資家にとって重要なのは、TOPIXの構成銘柄がどうなるかであろう。今回の「TOPIX(東証株価指数)等の見直しに関する今後の対応方針について」資料では、TOPIXの新基準に関して細かい内容がほとんど公表されていない。

 

今回、スケジュール・イメージを第1~3フェーズで示した。①第1フェーズ(~2020年3月末)では、報告書を受けた対応方針の概要発表する。②第2フェーズ(2020年4月~2022年3月末)では、「指数コンサルテーション」の運用開始と「指数アドバイザリー・パネル」の設置をする。③第3フェーズ(2022年4月以降)では、市場区分の見直しを受け、TOPIX等の新算出ルールへの変更を開始する予定。

 

上記のとおり、ガバナンス強化策として、外部の「指数アドバイザリー・パネル」の設置を実施することが大きな特徴だ。これらを通じて外部意見を聞いたうえで、2022年3月末までに新ルールを決定する。2020年4月~2022年3月末に新算出ルールが決定され、2022年4月以降に段階的に変更を開始する予定になっている。

 

 

当レポートの閲覧に当たっては【ご注意】をご参照ください(見当たらない場合は関連記事『東証市場再編の概要発表…TOPIX見直しの詳細は今後決定へ』を参照)。

 

(2020年2月28日)

 

 

糸島 孝俊

ピクテ投信投資顧問株式会社
運用・商品本部 投資戦略部 ストラテジスト

 

 

カメハメハ倶楽部セミナー・イベント

【5/7開催】ABBA案件の成功体験から投資戦略も解説
世界の有名アーティスト「音楽著作権」へのパッション投資とは

 

【5/8開催】使わない理由はない!?
金融資産1億円以上の方だからできる「新NISA」活用術

 

【5/8開催】「相続登記」を放置するとどんなトラブルに?!
2024年4月施行「相続登記の義務化」を専門弁護士がイチから解説

 

【5/9開催】認知症対策だけじゃない!
数世代先の相続まで見据えた資産管理・承継ができる
「家族信託」活用術

 

【5/9開催】「海外法人のつくり方・つかい方」
日本に居ながら自分の「分身」を海外に作るメリットは何か?

 

【5/11開催】相続人の頭を悩ませ続ける
「共有名義不動産」の出口は“売却”だけじゃない!
問題点と最新の解決策を藤宮浩氏が特別解説

 

【5/12開催】良い案件を見つける3つの方策とは?
「日本型オペレーティングリース」投資の基礎講座

【ご注意】
●当レポートはピクテ投信投資顧問株式会社が作成したものであり、特定の商品の勧誘や売買の推奨等を目的としたものではなく、また特定の銘柄および市場の推奨やその価格動向を示唆するものでもありません。
●運用による損益は、すべて投資者の皆さまに帰属します。当レポートに基づいて取られた投資行動の結果については、ピクテ投信投資顧問株式会社、幻冬舎グループは責任を負いません。
●当レポートに記載された過去の実績は、将来の成果等を示唆あるいは保証するものではありません。
●当レポートは信頼できると考えられる情報に基づき作成されていますが、その正確性、完全性、使用目的への適合性を保証するものではありません。
●当レポート中に示された情報等は、作成日現在のものであり、事前の連絡なしに変更されることがあります。
●投資信託は預金等ではなく元本および利回りの保証はありません。
●投資信託は、預金や保険契約と異なり、預金保険機構・保険契約者保護機構の対象ではありません。
●登録金融機関でご購入いただいた投資信託は、投資家保護基金の対象とはなりません。
●当レポートに掲載されているいかなる情報も、法務、会計、税務、経営、投資その他に係る助言を構成するものではありません。

人気記事ランキング

  • デイリー
  • 週間
  • 月間

メルマガ会員登録者の
ご案内

メルマガ会員限定記事をお読みいただける他、新着記事の一覧をメールで配信。カメハメハ倶楽部主催の各種セミナー案内等、知的武装をし、行動するための情報を厳選してお届けします。

メルマガ登録