●半導体製造装置メーカーなどの決算では、受注や在庫の動向、経営陣の先行きコメントが焦点に。
●海外では既に複数の半導体関連企業が決算発表を終え半導体市場の回復を示唆する内容も。
●足元では株安だが、今回の決算が半導体製造装置メーカーなどの株価見直しの機会になることも。
半導体製造装置メーカーなどの決算では、受注や在庫の動向、経営陣の先行きコメントが焦点に
日本では今週から3月期決算企業による2019年4-12月期の決算発表が本格化します。市場では引き続き、次世代通信規格「5G」が重要テーマの1つとなっており、今回の決算でも、半導体製造装置メーカーや電子部品メーカーの決算に注目が集まっています。これらの企業については、今期の実績よりも、来期の見通しに関する手掛かり、具体的には受注や在庫の動向、経営陣の先行きについてのコメントが焦点になると思われます。
決算発表のスケジュールは図表1の通りです。半導体製造装置メーカーでは、信越化学工業が1月28日に、アドバンテスト、SCREENホールディングス、日立ハイテクノロジーズが29日に、東京エレクトロンが30日に、それぞれ決算を発表します。また、電子部品メーカーでは、日東電工が27日、アルプスアルパイン、京セラが30日、TDKが31日、村田製作所が2月3日に、それぞれ決算を発表します。
海外では既に複数の半導体関連企業が決算発表を終え半導体市場の回復を示唆する内容も
なお、半導体関連については、海外企業の決算発表が先行しています。台湾のTSMC(半導体受託生産の世界最大手)が1月16日の決算発表で示した2020年の売上高見通しは、コンセンサスをやや上回る結果となりました。また、オランダのASML(半導体露光装置世界最大)は22日の決算発表で、2020年後半にメモリー半導体向けの需要が回復するとの見方を示しました。
この他、米半導体大手2社も決算発表を終えています。テキサス・インスツルメンツは1月22日の決算発表で、需要は安定に向かっていると述べ、インテルは1月23日の決算発表で、2020年の売上高増加の期待を示しました。これら海外企業の決算内容は、総じて半導体市場の回復を示唆する内容となりましたが、背景には、5Gやスマホ向けの半導体需要の増加があると推測されます。
足元では株安だが、今回の決算が半導体製造装置メーカーなどの株価見直しの機会になることも
これらの点を踏まえると、今後、決算発表を行う日本の半導体製造装置メーカーや電子部品メーカーからも、先行きの見通しについて、ポジティブな発言が期待されます。しかしながら、主要企業の株価をみると、米中貿易協議の進展期待が高まった2019年9月以降、すでに大きく上昇しており(図表2)、半導体市場の回復の織り込みは、相当程度、進んでいると考えられます。
ただ、ここにきて、5G対応のスマートフォン(スマホ)の出荷台数は、2019年の2,000万台程度から2020年は2億台超になるとの見通しもでてくるなど、関連する日本企業の株価上昇余地はまだあるように思われます。新型肺炎の拡大を受け、週明けの日本株は大きく下落しましたが、これから発表される決算が、改めて株価水準を見直す機会になることも予想されます。
※当レポートの閲覧に当たっては【ご注意】をご参照ください(見当たらない場合は関連記事『国内企業決算~注目度の高い半導体製造装置や電子部品メーカー』を参照)。
(2020年1月27日)
市川雅浩
三井住友DSアセットマネジメント シニアストラテジスト