(※写真はイメージです/PIXTA)

本連載は、三井住友DSアセットマネジメント株式会社が提供する「市川レポート」を転載したものです。

●年初から5月第3週までの海外投資家の現物累計買い越し額は、約10.9兆円と他部門比突出。

●23年3月以降の現物累計買い越し額はこれまで順調だった事業法人に海外投資家が迫る勢い。

●日本株のけん引役は事業法人と海外投資家の現物買い、相場調整時は一定程度の下支えに。

年初から5月第3週までの海外投資家の現物累計買い越し額は、約10.9兆円と他部門比突出

足元では、日経平均株価や東証株価指数(TOPIX)が過去最高値を更新するなど、日本株の堅調な推移が続いています。そこで今回のレポートでは、海外投資家など主要投資部門別の日本株売買状況を検証し、日本株のけん引役を探ります。図表1は、1月第1週から5月第3週までの期間における現物および先物の売買代金差額の累計を、主要6投資部門別に示したものです。

 

(出所)日本取引所グループ、Bloombergのデータを基に三井住友DSアセットマネジメント作成
[図表1]主要投資部門別の株式売買状況 (出所)日本取引所グループ、Bloombergのデータを基に三井住友DSアセットマネジメント作成

 

現物の累計買い越し額では、海外投資家の約10.9兆円が突出しており、事業法人の約2.8兆円を大幅に上回っています。参考までに、2025年の1年間における現物の累計買い越し額は、事業法人の約10.5兆円が最大で、海外投資家は2番目に大きい約5.4兆円でした。これと比較しても、海外投資家は2026年の年初から、いかに積極的に現物を買い越しているかが分かります。

23年3月以降の現物累計買い越し額はこれまで順調だった事業法人に海外投資家が迫る勢い

海外投資家と事業法人について、少し時間をさかのぼって現物買いの推移をみると、興味深い動きが確認できます。図表2は、東京証券取引所(以下、東証)が資本コストや株価を意識した経営を企業に要請した2023年3月31日を含む2023年3月第5週から、直近の2026年5月第3週までの165週における、海外投資家と事業法人による現物売買代金差額の累計を示したものです。

 

(出所)日本取引所グループ、Bloombergのデータを基に三井住友DSアセットマネジメント作成
[図表2]現物売買代金差額の累計 (出所)日本取引所グループ、Bloombergのデータを基に三井住友DSアセットマネジメント作成

 

東証が資本コストや株価を意識した経営を企業に要請してから74週目(2024年8月第3週)までは、海外投資家の累計買い越し額が事業法人を上回っていましたが、その後は逆転し、事業法人の累計買い越し額が海外投資家を上回って順調に積み上がっていきました。この間、海外投資家の累計買い越し額はいったん減少しましたが、105週目(2025年3月第4週)からは回復に転じ、足元では事業法人の累計買い越し額に近づいています。

日本株のけん引役は事業法人と海外投資家の現物買い、相場調整時は一定程度の下支えに

なお、事業法人による現物買いは、主に自社株買いと考えられます。また一般に、現物を取引する海外投資家には、中長期的な視点で運用を行う年金などが含まれ、先物を取引する海外投資家には、短期的な視点で売買を行う投機筋などが含まれるとされることから、海外投資家による現物の累計買い越し額が増加傾向にあることは、日本株にとって好ましい動きだと思われます。

 

以上より、最近の日本株の上昇をけん引しているのは、事業法人と海外投資家による現物買いと推測され、背景には東証の要請に基づく企業の資本効率改善の進展と、それに対する海外投資家の再評価があるとみています。一方、人工知能(AI)・半導体関連銘柄の上昇などで、このところ相場の過熱感が指摘されていますが、ここまで安定した現物買いの動きが確認されており、調整が入っても一定程度の下支えになることが期待されます。

 

 

※当レポートの閲覧にあたっては【ご注意】をご参照ください(見当たらない場合は関連記事『日本株の上昇と事業法人および海外投資家の売買状況【三井住友DSアセットマネジメント・チーフマーケットストラテジスト】』を参照)。

 

 

市川 雅浩
三井住友DSアセットマネジメント株式会社
チーフマーケットストラテジスト

 

 

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