警察に「不信感」「嫌な思い」を抱く人が後を絶たない理由

警察は国民にとって犯罪の脅威から守ってくれる「最後の砦」です。しかし、警察に対する理解不足から「相談しても助けてくれない」といった誤った認識を持つ人もいます。犯罪やトラブルに巻き込まれたとき、警察に助けを求めるにはどうすべきなのでしょうか。警察OBが具体的に解説します。※本連載は『新装改訂版 警察は本当に「動いてくれない」のか』(幻冬舎MC)から一部を抜粋し、改編したものです。

警察に動いてもらうには、証拠の確保と意思表示が重要

身近なトラブルに関して大事なことは証拠の確保と意思表示です。警察に動いてもらうためには、適切な証拠を示して、どのような対応を望むのか(たとえば犯人を捕まえてほしいのか、それとも加害行為をやめさせたいのかなど)を伝えることが必要になります。

 

まず、ストーカー、窃盗、脅迫、暴行・傷害など一般の人が巻き込まれる可能性が高い身近な犯罪トラブルに対して警察が具体的にどのような対応をしてくれるのか、「Q&A」形式で確認しておきましょう。

 

 

Q1「ストーカーに付きまとわれている。警察はどのように守ってくれるの?」

 

A1 ストーカーに遭った場合、対処方法としていくつかの選択肢があります。その一つとしては警察で加害者に対して警告を発してもらうことが可能です。また、仮に加害者が警告に対し反発してより過激な行動に出るようであれば、警察は逮捕などさらに厳しい対応をとるはずです。

 

 

Q2 「空き巣に入られ、現金や時計を盗まれた…。盗まれたお金や品物を取り戻してもらえる?」

 

A2 金銭の場合はすぐに使われてしまい、回復が難しいケースが多いかもしれません。一方、時計などの品物の場合には、質屋に売られていることが少なくありません。そのような場合には、警察が質屋に問い合わせることにより、被害品を取り戻せることもあります。

 

 

Q3「不審者が近所をうろついていて子どもが心配…警察は何をしてくれる?」

 

A3 警察に連絡すれば、すぐにパトロールをしてくれます。国民からの情報提供は、犯罪の予防につながるので積極的に行いましょう。

 

 

Q4 「自分が過去に犯した犯罪を知られて、『ばらされたくなければ○○万円を払え』と脅されています。警察に相談したいが、自分の罪を責められるかも…と思ってためらっています」

 

A4 警察は、刑事事件以外の過ち、たとえば不倫行為など、いわゆる民事事件については相談者を責め立てるようなことはありません。仮に、犯罪を犯している場合は、自ら自首することを勧めます。刑が減刑されるかもしれません。

 

 

Q5「痴漢を疑われた場合にはどうしたらいい?」

 

A5 警察に身元が不明なままだと、たとえ無実であっても逮捕される恐れがあります。まずは住所、氏名を明らかにしましょう。また、決して逃げてはいけません。冷静にその場で、「自分は犯人ではない」と駅員などに説明をしましょう。逃げてしまった場合、逃走したとみなされ追われることになってしまいます。そうなれば自らが痴漢をしたと認めているようなものです。

 

 

以前私は、電車の中でいかにも気の強そうな女性が、これまたいかにもか弱そうな男性の手を無理やり引っ張り、「痴漢をした!」と激しい剣幕でまくしたてていた現場に遭遇したことがあります。

 

その際、痴漢をするには明らかに難しい距離であったことを見ていた私はその旨を説明し、女性をなだめてその場をおさめることができました。このように同乗者が証言してくれることで、逃げずとも解決する場合もあるのです。

 

自ら犯人のレッテルが貼られるような行動に出るよりは、逃げずに堂々と説明した方がよいでしょう。周りから疑いの目を向けられる中、説明をするのは恥ずかしいことかもしれません。けれども一時恥ずかしい思いをするのと、一生を台無しにするのとどちらがよいでしょうか?

法律上・制度上の問題から、動けないケースもある

このように、犯罪トラブルの大半は警察に相談すれば、その解決に向けて然るべき措置を講じてくれるはずです。

 

しかし、警察官個人としてはどんなに動きたいと思っていても、捜査をスタートしたいと思っていても、法律上・制度上の問題からそれができないことがあります。

 

『新装改訂版 警察は本当に「動いてくれない」のか』の第3章で詳しく解説していますが、警察が動くためには法的根拠が必要となります。そのため「お金をだましとられた」と被害者が訴えてきたような場合でも、詐欺罪が成立すると判断できるだけの事実が認められなければ捜査を始めることはできないのです。

 

とは言え、相談をした人は、警察の側にそのようなやむを得ない事情があることなど知るよしもありません。そのため、相談しても動いてくれない警察に対して、「被害に遭っているのに見殺しにするのか」「こんな警察はいらない」と一方的に不信感を募らせていくことになります。

 

こうした事態は、不信感を抱く相談者はもちろん、不信感を抱かれる警察にとっても、大変に不幸な状況と言えるかもしれません。

 

まずは警察に相談を
まずは警察に相談を

無知や誤解が「警察への悪印象」を生む

治安に対する不安が高まる中、犯罪の脅威に対して国民が〝最後の砦〟として頼りにしているのは、やはり何といっても警察になるでしょう。

 

しかし、実際に犯罪の被害に遭って相談したときに、「面倒くさそうな対応をされた」「助けてくれなかった」という声は少なからず聞かれます。メディアで大々的に取り上げられる警察の不祥事のニュースも相まって、警察は信用できないというイメージを持っている国民が多いのは事実です。

 

しかしそもそも、「日本の警察は大変優秀である」という事実を認識している人が少ないこと自体を、私は問題に感じます。

 

なぜ、人々は警察に対して悪印象を持ってしまうのでしょうか。実は、警察に不信感を抱いたり、相談に行って嫌な思いをしてしまったりする人が後を絶たないのには、相談する側に原因があることが少なくないのです。よくある原因は次の二つです。

 

●ドラマなどで警察組織を知った「つもり」になっている

●警察の役割や働きを誤解しており、「自分の思う通り」に動かないように感じる

 

犯罪被害者が警察に対する無知や誤解を抱えたまま救いを求めてしまうことで、結局は警察が「できなかった」という印象だけが残ってしまう。警察OBであり、また「民間警察」事業を営んで警察の理念を継承している私としては、このようなすれ違いが生じることが歯がゆくてなりません。

 

繰り返しになりますが、日本の警察は大変優秀です。警察という組織や警察官という人を知り、彼らが本来の力を発揮できるよう、相談する側が理解していれば、警察組織は犯罪被害者の心強い味方となってくれます。次回以降、警察に救ってもらうために知っておくべき知識と、警察を動かすためにすべきことをさらに詳しく解説していきます。

 

 

佐々木 保博

株式会社SPI 会長

 

株式会社SPI 会長

危機管理コンサルタント。昭和55年から埼玉県警察官として28年間勤務したのち、円満退職。その後、国会議員の公設第一秘書を経て、日本の慢性的な危機管理意識の欠如を痛感。警察では立ち入れないところの「正義」を実現するため「民間警察」として困った人のあらゆる悩みに解決策を提供する、株式会社セーフティ・プロを設立し、代表取締役に就任。また、平成27年には業務領域の拡大を図り、株式会社SPIを設立。会長職に就任。

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著者紹介

連載ストーカー、不正アクセス、企業トラブル…誰もが被害者になりうる恐怖

新装改訂版 警察は本当に「動いてくれない」のか

新装改訂版 警察は本当に「動いてくれない」のか

佐々木 保博

幻冬舎メディアコンサルティング

ロングセラー書籍、待望の新装改訂版! ストーカー被害、いじめ自殺、家族の失踪・・・犯罪の多様化で、被害者になるリスクが激増しています。そして、困ったときに一般の人が助けを請うことになるのが「警察」。 しかし、…

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