警察官が「職務質問する」のはどのような人か…警察OBが解説

ストレスの多い都市部では、いわゆる〝キレやすい〟人が増えています。犯罪被害を抑制するために、警察官たちはどのような対応を取っているのでしょうか。警察OBが解説します。※本連載は『新装改訂版 警察は本当に「動いてくれない」のか』(幻冬舎MC)から一部を抜粋し、改編したものです。

最近は「ネット空間」に不安を感じる人が増えている

『元埼玉県警の警察官が懸念する「日本は治安がいい」という誤解』で触れた「治安に関する世論調査」では、「犯罪に対する不安を感じる場所」についてもアンケートが行われています。その結果をまとめたのが図表1です。

 

内閣府「治安に関する世論調査」より
[図表1]犯罪に対して不安を感じる場所 内閣府「治安に関する世論調査」より

 

最近は、繁華街、路上よりも、インターネット空間に不安を感じている人が増えています。他にも、公園、駐車場、駐輪場、駅、電車、バス、飛行機の中…ありとあらゆる場所で犯罪に出会う危険性があることを人々が強く感じていることがわかります。実際、今の日本ではいつ何時、どこで犯罪の被害に遭っても不思議ではありません。

 

あなたは会社員。忘年会の帰り道に繁華街をほろ酔い加減で歩いているとします。

 

「ドンッ」。道で人とすれ違ったときに肩がぶつかる――よくあることです。普通は「すみません!」と一言言えばすむ話です。しかし、相手がたまたま虫の居所が悪く、かっとしやすい人間だったらどうなるでしょう。いきなり「何だ、お前は!」などと殴りかかってくるかもしれません。

 

ことに、ストレスの多い都市部では、いわゆる〝キレやすい〟人が増えています。以前も、東京・町田駅で、スマートフォンを見ながら歩いていた男性が別の男性にぶつかったことが原因となって言い争いとなり、線路に突き落とされるという事件が起こっています。

 

さらに、社会問題化しているストーカー犯罪などは、恋愛感情や好意などのように、人が人に対して自然に抱く感情がこじれて事件化するケースがほとんどであるだけに、誰もがそのトラブルに巻き込まれる可能性があります。なお、「ストーカーの被害者は女性」というイメージがありますが、決してそんなことはありません。最近では、男性が女性につきまとわれる例や、あるいは加害者も被害者も同性という事件も増えています。

 

警視庁ホームページより
[図表2]ストーカー相談件数 警視庁ホームページより

 

このように、誰もが被害者になり得る状況の中で、犯罪トラブルに巻き込まれないようにするためには、国民一人ひとりが強い危機意識を持って日頃から犯罪の予防と対策を心掛ける姿勢が求められているのです。

 

たとえば、路上のトラブルであれば、まず一度、一般的なマナーを見直すことから始めてみるとよいでしょう。並んで歩き道を塞いでいる、ヘッドフォンから大音量の音楽が漏れている、ながらスマホで周りを全く見ていない…。

 

もしかしたらあなたも知らないうちに自身で原因を作ってしまっているかもしれません。一方的に相手が悪いわけではないかもしれません。

 

ストレス時代と呼ばれる現代社会、キレやすい人たちが増えている中、うっかり最後のスイッチを押してしまうのがあなたでないとは限りません。

職務質問されるのは「怪しい」と思われているから

警察官の活動の一つに、「職務質問」があります。この職務質問については、捜査と同様、犯人を逮捕するために行われていると思っている人が多いようです。

 

しかし、職務質問は基本的に犯罪を未然に防ぐために行うものです。犯罪行為が行われる前に警察官が声をかけることによって、犯罪を行おうとしていた者がためらってやめることが期待されているのです。

 

もっとも、職務質問がきっかけとなって、犯罪が発覚することはよくあります。その意味では、職務質問も、後述する捜査の端緒となり得ます。

 

職務質問の対象となるのは、挙動不審な人、つまりは警察官に「どこかおかしい」「怪しい」と思われるような人です。その感覚を具体的に説明するのは難しいですが、たとえば自動車の蛇行運転をしているような人は車を止められて、職務質問を受ける可能性が高いでしょう。

 

また、職務質問を受けたときに、「まともに話をしようとしない」「目を見ようとせず視線をそらす」「必要以上に怒り出す」ようなことがあれば、警察官は、「犯罪に関わっているのではないか」という疑念を強く抱くことになるかもしれません。

 

ところで、職務質問されたことを笑い話にしている人をたまに見かけます。しかし、客観的に見て「どこかがおかしい」「怪しい」と思われているから、職務質問の対象となっているのもまた事実です。決して威張って話すような内容ではありません。

 

余談ですが、私自らも職務質問にあったことがあります。その時はちょうど警備の仕事の帰りで、備品をこれでもかと詰め込んだ車に乗っていた時でした。もしかしたら怪しいと疑われるかも…と思っていましたが、事件現場の近くを通っていたので案の定、警察の目にとまってしまいました。

 

 

佐々木 保博

株式会社SPI 会長

株式会社SPI 会長

危機管理コンサルタント。昭和55年から埼玉県警察官として28年間勤務したのち、円満退職。その後、国会議員の公設第一秘書を経て、日本の慢性的な危機管理意識の欠如を痛感。警察では立ち入れないところの「正義」を実現するため「民間警察」として困った人のあらゆる悩みに解決策を提供する、株式会社セーフティ・プロを設立し、代表取締役に就任。また、平成27年には業務領域の拡大を図り、株式会社SPIを設立。会長職に就任。

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著者紹介

連載ストーカー、不正アクセス、企業トラブル…誰もが被害者になりうる恐怖

新装改訂版 警察は本当に「動いてくれない」のか

新装改訂版 警察は本当に「動いてくれない」のか

佐々木 保博

幻冬舎メディアコンサルティング

ロングセラー書籍、待望の新装改訂版! ストーカー被害、いじめ自殺、家族の失踪・・・犯罪の多様化で、被害者になるリスクが激増しています。そして、困ったときに一般の人が助けを請うことになるのが「警察」。 しかし、…

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