警察への捜査協力で「謝礼」がもらえる?実際の捜査費を公開

不正アクセスや煽り運転など、現在の日本では誰もが被害者になる可能性があります。そんな身近に潜む犯罪から身を守り、万一のときのために知っておきたい情報を、警察OBが伝授します。※本連載は『新装改訂版 警察は本当に「動いてくれない」のか』(幻冬舎MC)から一部を抜粋し、改編したものです。

警察の捜査に必要な「捜査の端緒」とは?

犯罪が成立するためには、①構成要件に該当すること、②違法性が認められること、③責任が認められることという三つの要件を満たすことが求められます。

 

もっとも、犯罪が成立したとしても、それだけでは警察は動くことができません。警察が動くためには、すなわち捜査を開始するためには、犯罪の事実もしくは犯罪につながる事実を警察が認識することも必要になります。このような捜査を開始するきっかけとなる犯罪に関わる事情を「捜査の端緒」と言います。

 

捜査の端緒は、以下のように、①警察官が自ら探知する場合と、②他人の申告または請求によるものに分けられます。

 

①警察官が自ら探知する場合

現行犯の認知、挙動不審者の発見、盗難品など証拠物件の発見、変死体の検視、新聞その他出版物の記事、風評の聞知、他の事件の取り調べから認識するなど

 

②他人の申告または請求によるもの

被害届、告訴・告発・請求、自首、投書・匿名の申告など

 

これらのうち、「検視」「被害届」「告訴」「告発」「請求」「自首」は刑事手続きの中で使われている専門用語です。それぞれの意味について説明すると――。

 

まず、「検視」とは、変死者あるいは変死の疑いのある死体の状況を調べ、犯罪の疑いがないかどうかを確認することです。

 

次に「被害届」は、犯罪の被害者が被害に遭った事実を警察に申告するために行う届け出です。

 

「告訴」とは、被害者などが、警察に対して犯罪の事実を申告して、その犯人の処罰を求める意思表示です。告訴をできる者は法律で告訴する権利を認められた者(告訴権者)に限られます。一般には、弁護士に依頼するイメージがあるかもしれません。

 

「告発」とは、犯人または告訴権者以外の者が、警察に対して犯罪の事実を申告して、その犯人の処罰を求める意思表示です。

 

「請求」とは、たとえば労働関係調整法違反があったときに労働委員会が処罰を求めるような形で、一定の機関が、警察に対してその犯罪事実を申告し、その犯人の処罰を求める意思表示です。

 

「自首」とは、罪を犯した者が、犯罪の事実が警察に発覚する前に、警察に対して犯罪事実を申告することです。

 

あああ
「捜査の端緒」がなければ、警察は動くことができない

重要情報の提供、参考人としての供述が謝礼の対象に

警察官が張り込み、聞き込み、尾行などの捜査活動を行ううえで必要となる経費を捜査費と言います。一般国民が警察に捜査協力した場合には、この捜査費から謝礼が出ることもあるのはご存じでしょうか。

 

捜査費には事前承認が必要な一般捜査費と、捜査員が裁量で使う捜査諸雑費があります。捜査協力した際に支払われる謝礼は一般捜査費から支出されます。

 

たとえば、犯罪に関わる重要情報を進んで提供した場合や、警察の求めに応じて参考人として供述した場合などに謝礼が支払われます。この捜査費制度によって、違法薬物や密造銃などに関する情報が警察に多く寄せられています。

 

ちなみに銃に関しては、戦争中の軍用銃などが今も保管されたままとなっている家もあるので、もし手元にあるようでしたら警察にぜひ、届け出てください。本来は銃刀法違反となる恐れがありますが、自主的に届け出れば「自首減免」として取り扱われ、必ずその刑が軽減または免除されます。したがって、すぐに捕まるようなことはないのでご安心ください。

 

なお、捜査費は、県費または国費で支弁されます。国費から支弁されるのは、騒乱、大規模な災害などの際における警備のための出動、機動隊の運営、警備訓練、長距離にわたる移動警察、不法出入国の監視などの警備活動に必要な経費や覚せい剤に関する犯罪など重大犯罪に関わる場合です。

 

ちなみに、高知県警では捜査費の予算額をホームページで、[図表]に示したような形で公表しています。どの部署でどれだけの額が使われているのかを知るうえで参考になるでしょう。

 

注:――――部分は予算配分をされていない。 高知県警察ホームページより
[図表]平成30年度所属別捜査費執行状況表 注:――部分は予算配分をされていない。
高知県警察ホームページより

 

 

佐々木 保博

株式会社SPI 会長

株式会社SPI 会長

危機管理コンサルタント。昭和55年から埼玉県警察官として28年間勤務したのち、円満退職。その後、国会議員の公設第一秘書を経て、日本の慢性的な危機管理意識の欠如を痛感。警察では立ち入れないところの「正義」を実現するため「民間警察」として困った人のあらゆる悩みに解決策を提供する、株式会社セーフティ・プロを設立し、代表取締役に就任。また、平成27年には業務領域の拡大を図り、株式会社SPIを設立。会長職に就任。

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著者紹介

連載ストーカー、不正アクセス、企業トラブル…誰もが被害者になりうる恐怖

新装改訂版 警察は本当に「動いてくれない」のか

新装改訂版 警察は本当に「動いてくれない」のか

佐々木 保博

幻冬舎メディアコンサルティング

ロングセラー書籍、待望の新装改訂版! ストーカー被害、いじめ自殺、家族の失踪・・・犯罪の多様化で、被害者になるリスクが激増しています。そして、困ったときに一般の人が助けを請うことになるのが「警察」。 しかし、…

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