ニュースなどで耳にする「路線価」。その土地の価値を表すもので、不動産投資家であれば、その見方や算出方法など、知っておきたいものです。本記事では不動産会社で資産コンサルタントとして活躍する髙木弘美氏に、路線価の基本的事項を解説いただきます。

路線価で物件の「適正価格」の根拠がわかる

不動産投資において路線価を参考にして投資エリアを選定することは基本中の基本とされています。しかしこれから不動産投資を検討するという場合は、路線価といわれてもピンとこない人もいるのではないでしょうか。実際、路線価が掲載された地図を見ても意味が分からないかもしれません。

 

そもそも路線価とは何なのでしょうか? 不動産では、公示価格や固定資産税評価額など目的に応じて同じ土地に対して、さまざまな価格がありあります。路線価はそのなかの一つで相続税の計算に利用されることが一般的です。毎年1月1日を評価時点として、その年の7月に国税庁が公表しており、だれでも閲覧することができます。道路に面する標準的な宅地の1平方メートルあたりの価格を1,000円単位で表示しています。

 

固定資産税評価額の更新は3年に一度です。それ以外は毎年の更新なので路線価は最新の実態を反映していることになります。

 

不動産投資においては、土地と建物の価格を正確に算出するために路線価を読み解く必要があります。なぜなら路線価から割り出した価格と実勢価格(不動産の時価で、取引が成立する価格)や不動産会社が査定した価格(売主との相談で決めた売り出し価格)の間にギャップがあることが多いからです。不動産の売買は相対取引で売主と買主の間で決定されます。

 

売主からすると少しでも高く売りたいでしょうし、仲介する不動産会社も売買手数料に関わるので、できるだけ高く売りたいと考えるのが一般的です。良心的な不動産会社であればいいのですが、こちらの知識や情報が不足している場合は足元をみられて、だまされてしまうかもしれません。投資は自己責任ですから、自分でも価格を算出しておくことは重要です。

 

提示された金額や利回りの根拠を聞き取り、先方の回答次第で誠実な相手かどうかを見極められるぐらいに自ら情報収集をしておいたほうがよいでしょう。

 

路線価で穴場の不動産が見つかる!?
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路線価の「見方」と「地価の算出方法」

路線価は地図上の道路すべてに数字とアルファベットで示されています。たとえば数字が「250」とあれば、1,000円単位ですので1平方メートルあたり25万円です。アルファベットは借地権の割合でAからGに行くにつれて減少します。路線価は公示地価の8割と設定されているため、たとえば「250」の土地200平方メートルの価格は、25万円×200平方メートル÷0.8=6,250万円となります。

 

土地の実勢価格は公示価格よりも10~20%高いという仕組みになっているので、実際の価格は7,000万円前後になるとみてよいでしょう。また建物の価格については、構造(鉄骨造り、木造など)に応じた標準的な建築単価を国土交通省のウェブサイトなどで調べ、延べ床面積をかけると新築価格が算出可能です。そこから、築年数と耐用年数に応じて減価償却することで判明します。

路線価が高い=国が認めた資産価値の高いエリア

不動産投資で最も大切なことは、物件の立地です。路線価が高いということは、資産価値の高いエリアだと国が認めていることにほかなりません。不動産投資では金融機関でローンを組んで資金調達すること多くなりますが、路線価が高いエリアの物件であれば金融機関の担保評価が高く、ローン額や条件において有利です。

 

ただし、いくら路線価が高いエリアがいいといっても銀座のような一等地にある物件は高くて投資用の資金が不足する可能性もあります。このように商業エリアで住居用の賃貸物件に投資したいと思っている場合は投資対象が見つからないかもしれません。そのため以下のような内容を明確にしておくことが重要です。

 

●住宅なのか

●商業施設なのか

●マンションなのか

●アパートなのか

●単身者用なのか

●ファミリー用なのか

●自分が購入したい物件がどのようなものなのか

 

また過去数年分の路線価を調査して「価格が上昇しているのか」「下落しているのか」を確かめるようにしましょう。需要が高ければ路線価は上がり人気がなければ路線価は下がるはずです。将来の出口戦略を考えると資産価値が目減りしにくいエリアの物件は有利になります。このように不動産投資において路線価の活用は非常に重要です。

 

なお土地の形状や接道条件などで不動産の評価額は変化するため、路線価の高いエリアであれば、なんでもいいというわけではありません。路線価の見方だけでなく、いずれはこうした知識も身につけておけば収益性の高い物件を探し出すことができるようになるでしょう。

 

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本連載は、リズム株式会社が発信する「不動産コラム」の記事を転載・再編集したものです。

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