多くの中高年が直面する「親の介護」問題。老人ホームへの入居に抵抗を持つ人も多く、「親の面倒は子どもが見るべき」と親族一同考えがちだ。しかし、フリーライターの吉田潮氏は、著書『親の介護をしないとダメですか?』(KKベストセラーズ)にて、「私は在宅介護をしません。一切いたしません」と断言する。親孝行か、自己犠牲か。本連載では、吉田氏の介護録を追い、親の介護とどう向き合っていくべきか、語っていく。

認知症が進行した父、甲斐甲斐しく世話する母

 

 

ボケたのをいいことに、父のプライベートをさらけ出して銭に替える鬼畜の所業。それが私の生業である。父が憎いワケではない。むしろ好きだ。尊敬もしてきた。でも自宅介護はしない。テレビドラマ『ドクターX』(テレビ朝日)の米倉涼子ではないが「一切いたしません」。介護はプロに任せるほうが父も快適だと思うから。

 

そこに立ちはだかったのは、母の「昔気質(かたぎ)の面倒見のよさ」だ。父の粗相は増え、日常生活でできることがどんどんなくなっていく。自力でやらせればいいことも、母が先回りしてやってしまうのだ。食べ終わった後の皿くらい自分で下げさせればいいのに、母がさっさと片付ける。尿で濡れたズボンは手取り足取り着替えさせ、靴下までも履かせてやる。風呂では尻の穴まで洗ってやる。

 

母いわく、「お風呂もザブンと入るだけで、お尻にウンコつけてカピカピのまま出てくるのよ!」だそう。洗うという概念が抜け落ちてしまったのか。

 

しかし、昭和初期生まれの女はこれだから厄介。いや、諸悪の根源は昭和初期男だな。モーレツに働く代わりに、上げ膳据え膳で生きてきた甘えん坊将軍め。メシフロネル族の男は要注意だ。

 

ソファーにだらしなく腰かけ、日がな一日テレビを観るだけの父。ろくに運動もせず、3食&おやつに昼寝つき。父の腹部は「不思議の国のアリス」に出てくるハンプティ・ダンプティのように膨れ上がり、体重は85㎏を超えた。身長は174㎝とあの年代の中では高いほうではあるが、いくらなんでも腹が出過ぎだ。運動不足で手足の筋肉は衰えて細くなり、棒のように萎(な)え、しかもむくみ始めている。

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    吉田 潮

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