50代からの20年があなたの人生を左右する
一般的に金融機関の融資の完済年齢は70~75歳に設定されている場合が多く、50歳で物件を買う場合には20年ほどで完済しなければなりません。
また、サラリーマンでも定年延長が取りざたされていますが、一般的には定年も60~70歳が想定されます。なんとか50代で不動産投資を始める人なら、あと20年先の70歳くらいまでは現役で働きたいところです。
50代になると、あとの20年をいかに考えるかで、あなたの老後の人生が180度変わってしまいます。50代は非常に大切なターニングポイントの時期なのです。
人が一生のうちで一番お金を使うのが50代
『2000年資本主義社会の未来』(ハリー・S・デント・ジュニア著、PHP研究所刊)という本に書かれている統計では、平均的なアメリカ家庭の支出サイクルが予想されています。46.5歳前後が、一生のうちで一番お金を使う時期だというものです。
この場合のアメリカの結婚平均年齢は、25.5歳で設定されています。日本の内閣府が発表している「子ども子育て白書」によると、2010年時の平均初婚年齢は男性が30.5歳、女性が28.8歳となっているので、日本でのピークは4~5年ずれて50歳前後と考えられます。
これは、何となくあなたも直感的にわかるのではないでしょうか? この頃から、子供のいる方なら、教育費(入学金や授業料等)が一気に増える時期です。また、そのほかにもいろいろな出費も増えてきます。
このようなことから、私は日本では50歳前後が一番お金のいる時代だと想定しています。
そんなお金のいる時期ですが、ここで不動産投資を怠ってしまうと、老後を楽しめる豊かさを実現できません。ですから、50代での資産づくりとして不動産投資を始める方は、30代での初心者投資法をおさらいしてください。
この時期は、サラリーマンを続けている方なら、給料もある程度の額に達していると思います。そのため、この時期はまとまった融資を受けやすくなります。
これは30代でお話ししたようなセミリタイアパターンでキャッシュフローを潤沢にする考え方で、物件を一気に買うことです。そして余ったキャッシュフローを使って、生活資金の足しにしていきます。
そして、連載第4回で説明した「虎の子物件」を買ってください。
最後に残すのはこの物件だけです。キャッシュフロー狙いの物件も徐々に売却し、できれば虎の子物件の返済に充当し、この物件だけは70歳の時には借金返済を終えるように計画してほしいのです。
前にも言いましたが虎の子物件とは、投資資金の借り入れの返済を終えて、そこからまだ20年間は賃貸できる物件でなくてはなりません。合計40年間は、貸し続けられるものを購入しなければなりません。
50歳で購入すれば70歳で返済を終えて、90歳までは、毎月100万円ほどの家賃が受け取れる物件です。
もちろん30代から始められた方ならもっと物件をお持ちだと思います。その場合は、70歳くらいまでは持ち続けてもらって良いでしょう。でも最低この虎の子物件は確保してほしいと思います。虎の子物件は、新築でも中古でもいいですから購入からなるべく価値を落とさず、40年貸し続けられるかが購入のポイントになります。
50代は「物件の目利き」も特に重要に
30代から不動産投資をしている方はかなり不動産を見る目がついていると思いますが、50代から始めた方に注意してほしいのは、建築会社や不動産業者の言いなりになって物件を買わないということです。
やはり、少し自分なりに勉強してみるなり、不動産コンサルタントの意見を聞くなりして物件に対する長期的な展望を意識しないとダメです。
たとえば、私の場合、不動産管理会社を持っており、現在も築40年以上の物件で満室経営している物件をたくさん見ています。いったいどんな物件が40年間以上現役で働ける物件かを目利きすることができます。
あとはまだまだ資産を買い増ししたい方は、10年後(60代)にもあまり値段を下げずに売れそう、もしくは高く売れそうな物件なら購入してもいいと思います。
とにかく50代は、物件を購入して、それらの中から「残す資産」「売却する資産」を取捨選択する時期です。