戸建賃貸の新しい形──2世帯住宅の一方を賃貸物件化
私の顧問先の建設会社が、これからは分譲住宅も人口減少、世帯数も減少していくのを見越して、収益不動産部門を設置して、地元の地主さんや投資家を開拓し始めました。ところが、すでに大手建設会社が顧客を囲い込んでおり、なかなか参入できず、収益マンションの提案をしても建設してもなかなかお客様が見つからない状態でした。
そこで、地主さんや大家さんだけが不動産投資家ではなく、現在は普通のサラリーマンでも十分不動産投資家になることを話して、大手とは違った投資家の見つけ方をレクチャーしました。
私はその頃、よくセミナーで普通のサラリーマンの方に、2世帯住宅をつくり、一方を賃貸に回す賃貸併用住宅を提案していました。「自宅もただ住宅ローンで借りて住むだけなら負債です。これからは自宅も資産活用することで資産から収益を産むことが大切です」とセミナーでは話していました。
住宅も連棟ですが、できるだけ見た目は別々の戸建に見えるように工夫してもらいました。この場合、2階のクローゼットのところがつながっているだけなので、まさに戸建賃貸のような雰囲気になっており、すぐに入居者が見つかりました。
50%以上の自宅部分があれば、35年の住宅ローンを使うこともできるので、月々の返済額を少なくして、下記図表のような物件にすれば、何と片方を賃貸するその家賃だけで返済できてしまいます。
[図表]新築を2世帯物件にして1世帯分を賃貸物件にする新しい不動産投資
売買価格は3600万円の新築です。これを35年、2%の金利で住宅ローンを借りると、毎月の返済は11万9232円になります。なんと、隣の部屋を月12万円で貸すと、ローンの支払いができてしまいます。自分はローンの支払い負担はゼロになります。
賃貸併用住宅でローンの支払いが「ゼロ」に!
私はこのような物件を、顧問先の建築業者に建てて、普通のサラリーマンに買ってもらうことを提案しました。たまたま、分譲住宅用に持っていた用地を急きょこの企画に変更、私のセミナーにきていたお客様の西川さん(仮名)にお話ししたところ、その場でプランだけ聞いて購入の申し込みをしてくれました。
まさか、この会社もこんなに簡単に収益不動産にお客様がつくとは思っておらず、ビックリしていましたが、それからもこのような賃貸併用住宅による収益不動産事業に参入することで、ほかの大手と競合することなく順調に業績を伸ばしています。
物件を購入した西川さんも、後日転勤になったのですが、逆に転勤先は、家賃を会社が全額負担してくれたので、自分が住んでいた自宅の部分も賃貸することで、逆に10万円ほどの余裕資金ができることになりました。
まさに住宅ローンの支払いをゼロにしたサラリーマンという話です。