「虎の子物件」の売却で介護・医療費の資金を準備
90歳を超えるということは、おそらく日本の平均寿命以上に生きているでしょう。あなたのライフプランの中に90歳を超えて生きている場合までシミュレーションされていれば喜ばしい出来事ですが、長寿で万々歳というわけにはいかないのが、この日本の超高齢化時代です。
90歳になると、あなたの「虎の子物件」もそろそろ定年の時。よく働いてくれた虎の子物件を無理に維持せずに、思い切って売却処分して、これからの老後の介護や医療の資金にあてます。あなたが亡くなるまで、とにかく子供や孫たちに金銭的に世話にならず手間もかけさせたくなければ、この売却資金を使ってもらえばいいのです。
40年前に虎の子物件で買った時の半分の値段で売れたとしても5000万円程度にはなるはずです。これだけあれば、あと20年110歳まで毎年250万円ずつ使うことができます。
90歳になれば、ほとんど高くつくのは医療費でしょうが、これくらいあればなんとかやっていけるでしょう。
それまでにあの世に行っても、相続でもめるほどの財産はないはずです。このことを必ず子供たちや、場合によれば弁護士さんにお願いし、90歳でボケても実行されるように準備しておくことが必要です。これは、死んでからの遺言ではなく、生きている間の大切な申し送り事項です。
110歳までの人生設計は必要か?
「110歳までの老後を考える必要があるの?」と、あなたは思うかもしれません。しかし、私が尊敬する本多静六氏は第2次人生計画を立てた時、実に120歳まで立てていました。
今後の最新の再生医療の進歩を考えると、その可能性は十分あります。生物学的には人間は110歳くらいまで生きられるパフォーマンスがあるそうです。そうすると、生物学的寿命までは意識しなければならないのかもしれません。
100歳前後で人生を楽しく豊かに暮らせているかは疑問ですが、でもあなたが子供や孫の迷惑になるようにはなりたくないですよね。消極的な言い方かもしれませんが、最後まで迷惑をかけずに惜しまれてあの世に行きたいものです。そのためにも、一見極端に見える110歳までの人生設計を、資産づくりという視点から考える必要もあるのかもしれません。
人は、つい自分が年を取ることを忘れて「今」がずっと続くと思ってしまいがちです。だからこそ冷静に資産づくりを通して人生のスケジュールを考えることも大切です。少しでもこれからの超高齢化時代の生き方のヒントになればと思っています。