個人投資家にとっての「ハイイールド債券」投資の魅力とは?

米国ニューヨークに本拠を置き、世界各国の年金基金や機関投資家なども多数クライアントに抱える独立系資産運用会社、ニューバーガー・バーマン。同社でハイイールド債※1のポートフォリオ・マネージャーを務める、ジョゼフ P. リンチ氏にインタビューを行った。第5回目のテーマは「ハイイールド債券投資の魅力」。聞き手は、香港の新しい金融機関であるニッポン・ウエルス・リミテッド(NWB/日本ウエルス)の長谷川建一氏である。

ハイイールド債が今「魅力的な水準」といえる理由

長谷川 次に、私が最もお聞きしたいと思っていたことなんですが、ショートデュレーション戦略(※1)について、どう見ていらっしゃいますか? ハイイールド債でショートデュレーション戦略をとっている投資家の方が多いと思うのですが、最近、イールドカーブがフラット化(※2)している中で、今後どう対応すべきとお考えですか?

 

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リンチ 今は、デュレーション戦略ではなくクレジット戦略がどうでるかという市場です。期待するスプレッドに対して、どの程度のクレジットリスクをとるかという観点で戦略をたてるべきです。

 

現在、ハイイールド債券を保有している投資家は、昨年からの価格の下落をみて期待外れの投資だったと感じているかもしれませんが、今後も保有し続けるのに何ら問題がない、むしろ保有し続ける価値があると考えます。米国金利が上昇すると見込まれる中、ショートデュレーション債券の保有は有効と考えます。過去を見ても、金利の動きに対してショートデュレーション債券のボラティリティは低く、上昇リスクの抑制となるでしょう。

 

ただし、ハイイールド債券の投資では、クレジットリスクをとっているということを忘れてはいけません。昨年からの市場の動きを見て、ボラティリティが高いと感じた投資家も多いでしょう。しかしながら、それはショートデュレーション戦略をとったからではなく、クレジットリスクに起因しています。デュレーションが短いと、リスクが低いと誤解している投資家もいるようですが、ハイイールド債券投資では比較的高いイールドを得るために、クレジッドリスクをとっているわけです。

 

リスクを正しく理解し、そのリスクの代償にどのようなリターンを期待するのかをきちんと認識する必要があると思います。それを踏まえれば、後はマクロ経済が市場にどう影響を与えるか注視すればよいわけです。その観点からみると、現在の市場はデフォルト率の上昇などのリスクシナリオを織り込んだ水準となっており、非常に魅力的な水準にあると考えています。

リスクとボラティリティを理解したうえで投資の検討を

長谷川 私どものお客様は、個人投資家様です。お話しくださったハイイールド債券への投資には、馴染みがない方が多くいらっしゃいます。皆さんに向けて、ハイイールド債券投資の魅力をお話しいただけますか?

 

リンチ まず、投資するにあたって、どのようなリスクがあるか理解し、そのリスクとボラティリティを許容することが出来るかどうかがポイントです。過去30年のハイイールド債券市場のパフォーマンスをみると、昨年のようにリターンがマイナスになった年は5回です。昨年は石油価格の下落をうけて、年間のパフォーマンスがマイナスとなりました。昨年のパフォーマンスを見て、下落リスクが高い市場だという印象を受けた投資家もいるかもしれませんが、昨年は非常に珍しい年だったといえます。

 

ハイイールド債の投資からは通常6-7%程度の利回りが得られます。もしも債券価格が下落したとしても、この比較的高い利回りで、いつかは価格下落分を取り戻せると考えられるでしょう。株式では2年連続して業績がマイナスになることがありますが、ハイイールド債券市場のパフォーマンス(JPモルガン米国ハイイールド指数)を見ると、過去30年において、2年連続でトータルリターンがマイナスとなった年は今までありませんでした。

 

昨年のように下がり基調であっても、長期投資を見据えて保有すれば、また好機が来ると考えられるでしょう。このように、相対的にリスクが低いにもかかわらず、比較的高いリターンが得られるという点で非常に魅力的な市場であり、アセットアロケーション(※3)のひとつとして、投資を検討すべき資産と考えます。

 

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いつ投資すべきかというと、もちろん価格が下がりきった時です。今が底だとは言えませんが、投資の好機だと思います。過去と比較して低い価格水準となっており、長期でみると下落リスクが非常に低いといえます。昨年から年初のようにパフォーマンスが思わしくなく、ボラティリティも高いと敬遠しがちですが、投資機会としては非常に魅力的であると判断しています。
 

※1ショートデュレーション戦略

金利変動リスクを抑えた投資戦略。

※2イールドカーブがフラット化

長期金利と短期金利の差が小さくなる状況。主に、景気の転換期に金利水準が今後どう変化するかが不透明なときに起こる。

※3アセットアロケーション

投資資金を複数の異なった資産に配分して運用すること。いわゆる分散投資。

ニューバーガー・バーマン マネージング・ディレクター

2002年入社。ローン・ポートフォリオにフォーカスしたハイイールド債(非投資適格債)のポートフォリオ・マネージャー。ハイ・イールド債およびバンク・ローンにおけるクレジット委員会のメンバーを務める。2007 年に同社が買収したライトポイント・キャピタル・マネジメントLLC(Lightpoint Capital Management LLC)のメンバー。それ以前は、ABN AMRO でレバレッジド商品の組成を担当。イリノイ大学で学士号を取得、デュポール大学でMBAを取得。

著者紹介

Nippon Wealth Limited, a Restricted Licence Bank(NWB/日本ウェルス) CIO

京都大学卒、MBA(神戸大学)。
シティバンク日本及びニューヨーク本店にて資金証券部門の要職を歴任後、2000年にシティバンク日本のリテール部門で商品開発や市場営業部門のヘッドに就任。2002年にシティグループ・プライベートバンクのマーケティング部門ヘッドに就任。 2004年末、東京三菱銀行(現三菱UFJ銀行)に移り、マーケティング責任者として活躍。2009年からはアジア・リテール戦略を担い、2010年は香港にてBTMUウエルスマネージメント事業の立ち上げに従事。
2013年よりNippon Wealth Limited, a Restricted Licence Bank(ニッポン・ウェルス・リミテッド・リストリクティド・ライセンス・バンク/日本ウェルス)を創業し、COOに就任。2017年3月よりCIOを務める。

WEBサイト https://jp.www.nipponwealth.com/

長谷川建一氏登壇のセミナー https://gentosha-go.com/articles/-/13973

著者紹介

連載米系大手資産運用会社の「ハイイールド債」専門のポートフォリオ・マネージャーに聞く

本稿は、情報提供を目的として、インタビュー時点での経済データ等をもとに個人的な見解を述べたもので、ニューバーガー・バーマンおよびNWBとしての公式見解ではありません。また、特定の金融商品への投資の勧誘を目的とするものではありません。

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