入居者が決まらず、頭を抱える不動産オーナーは多いもの。どうすれば、入居率の改善は図れるのでしょうか。本記事では不動産会社の営業主任として、日々不動産投資家に対し収支改善の提案を行っている川越明日菜氏が、入居者が決まる物件とそうではない物件の違い、入居率の改善方法について解説していきます。

入居者が決まりやすい賃貸物件とは?

賃貸物件を購入する前に、「この物件なら賃貸が決まりやすいですよ」というウリ文句を聞いたことがあるオーナーも多いでしょう。しかし賃貸経営で重要なのは、入居者の決まりやすさではなく、「いかに高い賃料で契約に至るか」「いかに決まりやすいように演出するか」の2つの条件が最も重要です。

 

そもそも賃貸物件には、「築年数」「部屋の広さ」「駅からの距離」「立地」「セキュリティ」といった不変要素があります。これらは入居者の物件決定の要素としてよく挙げられます。

 

人によって重要とするポイントは違いますが、一般的にそれぞれの要素のどれかだけ優れていても、必ず決まるというわけでもありません。

 

たとえば、築年数が新しくても、4畳半しかない部屋だったら、決まりにくい物件にもなり得ます。駅から近くても、自主管理でセキュリティがほとんどない物件だったら、なかなか入居者は決まりません。

 

しかし、これらの不変要素を1つでも多く持つ物件は、入居希望者を引き付ける物件である事は確かです。なかにはその1つだけ絶対条件にしている人にあたった場合、すぐ入居決定になることもありうるのです。

 

前述した不変要素から、決まりやすい物件は大きく3つに分けられます。

 

まず「強い長所のある物件」です。「新築」「駅徒歩1分」「20畳のワンルーム」など、1つの要素で強烈なインパクトを与え、それだけで決定打となるような長所を持っています。

 

次に「バランスの良い物件」です。ここでいう「バランス」とは家賃・部屋・立地の3要素のバランスを指します。通常、賃貸物件の家賃は周辺の相場に基づきます。相場は主に「土地の値段」と「部屋の広さ」をベースに、築年数や構造、設備などの要素も査定要素として加えて最終的に賃料を決定します。そのなかで、特に大きな影響を与えるのが「築年数」です。相場よりも低い賃料で設定された物件は、「安い物件(バランスの良い物件)」となります。

 

最後に「希少性の高い物件」です。「強い長所のある物件」と近しい要素ですが、物件そのものではなく相対的な評価によるところが大きい物件です。たとえば、「単身マンションの多い地域にあるファミリー物件」「オフィス街にある居住用物件」「都心部で駐車場、バイク置き場のある物件」などは、希少性の高い物件と言えます。

 

しかし、逆に言えば、エリアの賃貸ニーズに合ってない物件とも言えるので、競合少ないが、賃貸ニーズ高いとは言えないというデメリットもあります。

希少性がプラスになるかマイナスになるかはわからない
希少性がプラスになるかマイナスになるかはわからない

募集条件にプラスα、付加価値で入居率改善

物件の不変要素で、より多く有利な条件を持っていればいいですが、そうではない場合は、どうしたらいいのでしょうか。ここで言いたいのは、所有する物件が決まりやすい要素があるから良い、決まりやすい要素がないから悪いというわけではありません。

 

冒頭にも書きましたが、賃貸経営においては「いかに高い賃料で契約に至るか」「いかに決まりやすいように演出するか」が重要なポイントになります。

 

強烈な長所がある物件、希少性の高い物件は、相場よりどれだけ高い賃料で賃貸に出せるかを見極めることがポイントです。というのは、賃貸ニーズが高いから、賃貸に出せるのは当たり前の話で、オーナーの収益を上げるにはいかに賃料を高くすることが大切です。

 

ここのポイントは、可変要素にかかっています。たとえば、家具一式をつけたり、浄水器をつけたりなど、オーナーの少し工夫で、賃料を高く設定するポイントを作ることができます。

 

もし不変要素が少ない物件であれば、家賃の見直しはもちろん、手を加えられる範囲で決まる要素を増やしていく事でバランスの良い物件にすることができます。

 

空室対策で多くのオーナーが考えるのが、家賃を相場よりも安く設定することです。しかし、オーナーにとって資産価値の最大化とはならないのでおすすめはしません。

 

一方、入居率の改善でおすすめできるのが、「募集条件(家賃以外)に魅力を持たせること」です。わかりやすいところで言うと、礼金を下げたり、初月家賃を無料(フリーレント)にしたり、という工夫です。他にも客付け会社に紹介料を払うことも考えられます。

 

このような、一時的な出費につながる施策に抵抗を感じるオーナーもいるでしょう。しかし何カ月も空室の状態を続けるよりは、こういった施策で入居者を決定させた方が、最終的には最大利益となるケースが多いです。

 

もうひとつ、「物件に付加価値を持たせる」もしくは「短所を補う」ことも、オーナーでできる入居率の改善策です。

 

たとえば、古い物件をリフォームしたり、元々はついていない独立洗面台を設置したり、通り沿いの部屋の庭に目隠しの庭木を植えたり、幹線道路沿いの物件の窓を二重サッシに変えたり……物件に少し手を加え、入居者が決まる要素をプラスしたり、入居者が決まらないマイナス要素を消していったりします。

 

募集賃料とのバランスを見ながら、小修繕をしていくことで、先々の最大利益につながっていくのです。

 

 まとめ 

賃貸経営で重要なのは、物件が持てる長所を引き出し、最大限のパフォーマンス(賃料収益)を発揮させることです。

 

これから物件の購入を検討している方は、きちんと物件の長所、希少性などの観点で物件を選びましょう。

 

また、すでに賃貸物件を所有しているオーナーは、適正な賃料はどのくらいなのか、効率良く入居者を集めるにはどうしたら良いのかなどの点を踏まえ、不動産会社からの提案を見極めると良いでしょう。

 

本連載は、株式会社エワルエージェントが運営するウェブサイト「Estate Luv(エステートラブ)」の記事を転載・再編集したものです。今回の転載記事はこちら

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