イタリアで、決済手段としてのビットコインの使用率が高まってきているようだ。

ビットコインの決済利用数がクレカ越え

イタリアで決済手段としてのビットコインの使用率が高まってきているようだ。

 

イタリア人がインターネットで購入する機会が急速に増えており、2018年の個人向けネット通販の売り上げは400億ユーロ(約4兆8200億円)、イタリア人の62%が少なくとも1回はオンラインで購入した計算になるという。そして、今年も同じ傾向が続いているのだそうだ。

 

そんな中、オンラインマーケティング分析会社SEMrushが行った最近の調査で、イタリアにおけるオンライン決済方法の上位にビットコインがランクインしたことが明らかになった。ビットコインは、PayPalとPostePayに次ぐ第3位となっており、4位のアメリカンエクスプレス、8位となったその他のクレジットカード(ビザ、マスターカード)を上回ったことが実データから明らかになった。

 

これまで暗号資産の決済利用の普及は厳しいとの見方があったが、イタリア国内ではかなり高い水準で使用されているという。

 

1位:PayPal ⇒ 1ヵ月平均使用回数:138万3000回

使い易さ、PayPal口座からクレジットカードと銀行口座の両方にリンク可能。決済方法としてほぼ全てのオンラインショップ・サービスで使用可能。

2位:PostePay ⇒ 1ヵ月の平均使用回数:117万5000回

プリペイドカードサービス。ビザおよびマスターカードと連携。

3位:ビットコイン ⇒ 1ヵ月の平均使用回数:21万5800回

4位:アメリカンエクスプレス ⇒ 1ヵ月の平均使用回数:18万9000回

8位:その他のクレジットカード ⇒ 1ヵ月の平均使用回数:3万3950回

 

なお、ビットコインの使用回数は今年6月に36万8000回の最高記録を達成しているが、これは、ビットコインが今年最高値を記録した時期と合致している。

 

今回の調査との関係性はないが、ビットコインのP2P取引サイトLocalBitcoinsにおける支払い方法で最も受け入れられているのもオンライン決済上位のPayPalとPostePayであるという。

 

◆イタリアの暗号資産事情

 

今年6月、イタリアのMatteo Salvini副首相は銀行の貸金庫に預けてある個人の資産に課税する計画を発表(その後進展はなし)、代わりとなる「富の保存法」としてビットコインなどの暗号資産が選択肢となるのではと、暗号資産業界の一部では期待する声も聞かれた。

 

しかし、イタリアでは暗号資産を対象にした規制は、未だ明確に確立されていない。また、課税対象の資産としての面でも曖昧さが多く見られるようだ。

 

2016年、イタリア議会は欧州司法裁判所の決定に従い、法定通貨と暗号資産の交換を伴う取引は、税控除の対象にならず、付加価値税は課されない。しかし、商業目的の取引の損益に関しては、法人税が課せられるが、商業以外の取引(個人保有など)は、課税所得とはみなされない。

 

2017年、暗号資産取引所には、従来の通貨取引所と同じ規制が課せられることになったため、暗号資産は外貨に並ぶものとして分類されている。

 

経済の先行きが不透明になるにつれ、ビットコインの「価値の保存」の役割が大きく注目されているが、「価値の交換=決済手段」としての側面がイタリアで高まってきている事実は、ビットコインの普及を後押しする現象としても考えられるではないだろうか。

 

※本記事は、2019年11月1日に「CoinPost」で公開されたものです。

 

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