中国共産党中央委員会の機関紙「人民日報」が、ブロックチェーン技術に関する社説を公開した。習近平国家主席の発言やその影響、暗号資産との関連性などについて述べている。

中国人民日報、「ブロックチェーン」で社説

中国共産党中央委員会の機関紙「人民日報」が、ブロックチェーン技術に関する社説を公開した。内容は、習近平国家主席の「ブロックチェーン技術を国家として推進する」発言から、ブロックチェーン技術の概要。また、暗号資産に関する関連性とその意見などを、端的にまとめたものである。

 

社説では、ブロックチェーンを中国の産業改革と経済改革を主導する技術であると紹介。不可逆性などの改ざん耐性やトレーサビリティなどの透明性のほか、スマートコントラクトのような自動履行の技術についても掲載された。

 

情報社会の現代における問題点「情報の非対称性」を解消する手段にもなると述べ、信頼性のあるインターネットに変える技術としても紹介された。

 

また、「ブロックチェーンの未来はすで来ている」としながらも、理性は保つ必要があるとした人民日報。暗号資産に関する内容にも触れた。

 

暗号資産とブロックチェーン技術は切っても切り離せない関係性であることは認識しているが、ブロックチェーンの技術革新は、暗号資産への投機とは「全くの別物」であると表現。ブロックチェーンの名目で、価値を伴わない『エア通貨』の投機を防ぐ必要は十分にあると指摘した。

 

また、ブロックチェーン技術は、未だ早期の段階にあるため、違法取引やマネーロンダリング等、不正取引には、政府の法的取締りの必要がある状況だと考えているという。

 

最後に、「中国はすでにブロックチェーンインフラが設けられている国でもある。複数の大手IT企業もその技術や人材を有している。複数の地方政府はブロックチェーン政策を推進しており、中国はブロックチェーンの競争でリードする立場を取る条件が備わっている」と、世界に先行できる国になる自信を述べ、言葉を結んだ。

 

◆暗号資産の必要性

 

中国がブロックチェーン技術を推進するなか、暗号資産自体の必要性に疑問を投げかけた人物に、中国IT大手ANTのGuofei Jiang副社長がいる。シナ財経のインタビューで明かした。

 

Guofei氏は、同社が企業間ネットワークを構築するコンソーシアム系のチェーンを採用したことを踏まえ、暗号資産がなければブロックチェーンのインセンティブを作れないわけではないと発言。これまでに達成しづらかった複数企業で事業を行うことをブロックチェーン技術が可能にしており、商業的価値を共有することもインセンティブとして企業は考えることができると論じた。

 

実際に、暗号資産を利用するパブリックチェーンでは、ビジネス事例が乏しいのに対し、コンソーシアム系では商用のアプリケーションがすでに出てきているとした。

 

※本記事は、2019年11月4日に「CoinPost」で公開されたものです。

 

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