子どもは本来、学ぶことが大好きです。好奇心旺盛な幼児期に、適切な教育を受けさせることが重要となります。本連載では、25年前から幼児教育に取り組んでいる株式会社コペル・代表取締役の大坪信之氏が、子どもに「学ぶことの楽しさ」を教える方法を解説します。本記事では、子どものやる気を育てる褒め方について見ていきます。

「子どもの心に届く褒め方」とは?

人間は、褒められたり、達成感を感じたりすると、ドーパミンのようなプラスのホルモンが出ます。

 

やる気というのは、もう一度あの喜びを味わいたいと感じるサイクルである「強化学習」というメカニズムが働いて、意欲がわいてくるということが、脳の学びを考える上で、一番大事なことです。

 

たとえば、「勉強をする」→「褒められる」→「ドーパミンが出る」というサイクルがあったとします。そうすると、「勉強をする」という意欲が強化されます。これを継続させることで、もっとドーパミンを得るために勉強を行うということが、強化されていきます。

 

褒められると勉強意欲が強化される?
褒められると勉強意欲が強化される?

 

 

皆さんにも、得意・不得意があると思います。ですが、得意・不得意というのは、生まれつきのものではありませんし、その人の性格と関係していることでもありません。たまたま「強化学習」のサイクルが回っておらず、苦手となってしまっているだけなのです。

叱ることは「次に褒める」ための準備であるべき

「強化学習」のサイクルの回し方には、いくつかポイントがあります。

 

子どもにとって、人に褒められるということは、大変大きなドーパミンを出すきっかけになりますので、褒めて育ててあげてください。もちろん、叱ったり、注意したりすることも大事です。ですが、99回叱ったら、それは100回目に褒めるときのための準備だと思ってください。

 

褒めることでしか、脳の学習は完結しません。99回叱っていても、最後の1を褒めてあげなければ、その子はいじけるだけです。

 

 

では、褒めるときに大事なこととは、どのようなポイントでしょうか?

 

①良いことをしたらすぐに褒める

 

まず1つめは、よいことをしたら即座に褒めるということです。褒めてあげると、子どもの脳のなかでドーパミンが出ますが、出るタイミングがずれてしまうと効果がありません。

 

いつも子どもの様子を見ていないと、いいタイミングで褒めてあげることができません。常に子どもの様子を見ていることが大事です。

 

②「わたしメッセージ」で心に届く褒め方になる

 

2つめのポイントは、心理学で「わたしメッセージ」と呼ばれている表現方法を活用することです。

 

「わたしメッセージ」とは、「わたし」が主語の表現で「お母さんはこう感じたよ」という純粋な第一感情である本当の気持ちを、そのまま飾らずにストレートに伝える表現方法です。その反対は、「○○ちゃんはどうだ」という、「あなたメッセージ」と呼ばれるものです。

 

たとえば、次のあなたメッセージを、わたしメッセージに変えるだけで、子どもの心に届く褒め言葉となります。

 

「○○ちゃん、お手伝いできてえらいね」

→「○○ちゃんがお手伝いしてくれたから、お母さんとっても助かったわ。ありがとう!」

 

「○○くん、この絵上手に書けてるね」

→「○○くんが描いたこの絵は、木の幹や枝のところがとても細かく描けてるね! お母さんは、この絵がとっても好きだな」

 

「100点とったの? よくやったね」

→「毎日ちゃんと勉強していたから100点がとれたんだね! お母さんは○○ちゃんが、それだけ努力したことが嬉しいな」

 

子どもは、いつでも親に喜んでほしい、助けてあげたい、役に立ちたいと思っています。 その気持ちに応える、わたしメッセージを伝えてあげることで、子どもは「自分は役に立つ存在なんだ」という自信を持つことができます。そうすることで、心からやりたいと思える自発的、自律的な行動が促され、やる気を育てていくことでしょう。

 

本連載は、株式会社コペルが運営するウェブサイト「コペル」の記事を転載・再編集したものです。最新の内容には対応していない可能性もございますので、あらかじめご了承ください。

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