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「市場の間違い」が株式投資のリターンの源泉に
今回は、「安く買う」ということについて考える。これは、別の言葉で表現すると、価値よりも安い株価で株に投資をするということである。
市場が効率的であるとするならば、このような価値と価格の乖離した状態は生じないはずである。しかし、筆者は市場という仕組みには、宿命として間違いが存在すると考えている。そして、その間違いが、株式投資のリターンの源泉の一つなのである。
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市場における間違いには、私たちの思考や感情に存在する一定のパターンが関係している。ここで一つ例を挙げてみたい。下記の図は私たちが将来を予想する時の癖を示している。
【将来予想の癖イメージ図】
例えば、ある企業の業績が右肩上がりに伸びている場合、将来に対して過去のトレンドを引っ張る傾向があり、結果予想は過度に楽観的なものとなってしまうことがある。逆に、業績が右肩下がりで悪化傾向になるとすると、今後も苦境が続くとして予想は過度に悲観的になったりする。こうした過度な楽観や悲観が、価値と株価の乖離を生み出すのである。
この他にも、以下のケースが挙げられる。
①目立った動きのない企業に対して市場参加者の関心が低下することで、大きな変化が始まっていても見過ごされてしまうケース
②ある企業で悪い出来事が起こった時に、企業の本質的な価値を大きく毀損するわけではないにもかかわらず、一時的に売りが殺到して株価が大きく下落するケース
ハードルは徹底したリサーチと勇気で乗り越える
筆者は創業当時から、投資とは価値と価格の乖離が解消されるプロセスに参加することだと考え実践してきた。誤解を恐れずに言えば、株式投資で成功するために必要なのは上がる株を探すという姿勢ではない。努力を積み重ねて得た自分なりの仮説に基づいて、企業の価値を発見し、信じて決断をすることこそ、成功につながるのだと思う。
価値と価格の乖離を見出し投資するためには、市場で妥当と考えられている見方(コンセンサス)とは異なる、自分なりの仮説を信じることが必要である。これは、言うのはたやすいが、実践する上でのハードルは低くない。
第一に、人と同じ行動をして一緒に間違えれば失敗は目立たないが、自分だけが別の行動をとって間違えた場合は非常に居心地が悪い結末が待っている。そのため、私たちは無意識にこのようなリスクを避けようとするのである。
第二に、先ほど「市場は間違える」と書いたが、市場では世界中の投資家が真剣勝負をしており、そこで形成されるコンセンサスには一定の根拠が存在する。つまり、市場ではなく自分の仮説が間違っているリスクも十分に存在するのである。
このようなハードルは、徹底したリサーチと勇気で乗り越えるしかない。努力して得た根拠をもとに、自分と市場の考えが異なる要因、自分の考えが正しい可能性が高い理由について明確な回答を持つことができれば、自分の仮説を信じ、思い切った投資をすることができるのだと思う。
自分の仮説を信じることは、投資を意思決定する時だけに求められるのではない。実際に投資をした後にも同じくらい重要となる。
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投資後に株価が下落すると、私たちは何か自分の知らないことが起こっているのではないかと不安になる。また、株価が少し上がると、今度は含み益を失うリスクを恐れて、利益を確定したい気持ちが生まれる。もちろん、中長期的な視点で事業の将来性に致命的な影響を与える要因が見つかった場合や、株価が上昇し価値を上回るような場合には売却が必要である。
しかし、株価動向に影響を受けて拙速な行動をすることは、中長期の利益を逃すことにつながりかねない。中長期で高いリターンを得るためには、短期的な景気変動や株価動向を乗り越えて信じられる明確な仮説・価値を見出すことが必要なのである。
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