年収1000万円超でも…勤務医の6割が「医師をやめたい」ワケ

勤務医の平均年収は、1200万円~1400万円ほどといわれてます。一般的なサラリーマンの年収に比べると高額ではありますが、その背景には、過酷な労働環境・人命への責任など、一般人には想像も及ばない苦労があります。その対価と考えれば、1000万超えの年収は高くないといえますが、昨今、勤務医を取り巻く環境は、さらに厳しくなっているのです。本記事では、『医師のための2年で1億円の「現金」を稼ぐ不動産投資』(幻冬舎MC)より一部を抜粋し、勤務医の現状を解説します。

「医師をやめたいと思ったことがある」は6割にも及ぶ

◆労働が過酷で、健康状態が良好ではない

 

医師にとって最大の問題ともいえるのが、過酷な労働環境です。一般的な病院勤務医、開業医ともに、医師の職業環境は大変厳しいのが現実です。

 

いつ、どのような症状の患者さんと向かい合うか分からない。さらに、一時の猶予も許されない、命の瀬戸際にさらされている患者さんに向き合うケースも少なくないなか、常に緊張を強いられています。日中の診察や症例検討に加えて、月に数回の夜勤も過重労働の大きな要因です。仮眠しかとることのないまま、夜勤明けに連続して日中の勤務をする医師も少なくありません。

 

全国医師ユニオンが調査した「勤務医労働実態調査2017」によりますと、医師の1カ月の平均時間外労働時間は、常勤医で53.3時間に上ります。労働基準法の定める法定労働時間である40時間を大幅に上回っているだけでなく、医師が担う業務内容の重要性や責任の重さから、身体面だけでなく、精神的にもストレスやプレッシャーに苛まれていることがうかがえます。

 

この調査によると、9割を超える医師が医療トラブルの不安やストレスを日常的に感じていることが分かります。

 

出所:全国医師ユニオン「勤務医労働実態調査2017」より
[図表1]医師の1カ月の平均時間外労働時間 出所:全国医師ユニオン「勤務医労働実態調査2017」より
出所:全国医師ユニオン「勤務医労働実態調査2017」より
[図表2]医師の健康状態と「やめたいと思うこと」の頻度 出所:全国医師ユニオン「勤務医労働実態調査2017」より

 

また、勤務医の約6割が「医師をやめたいと思ったことがある」と回答しています。これは、医師の労働実態がかなり過酷で、自身の心身の健康を損ないかねない状況だということを示しています。

 

繰り返しになりますが、医師にとっての仕事は、人々の命や健康を守るというやりがいや意義が得られ、社会的に価値を認められたものであるために高い年収を得られるものであることは間違いありません。一方で、それらを失いかねないほど、肉体的にも、精神的にも追い込まれているのも現実です。

人口減少に伴った「医師余り」が問題になる日も近い

◆将来的に年収が減る可能性がある

 

日本において今後の社会の変化を見ていくなかで、最も大きなリスク要因となるのが少子高齢化です。女性が生涯に出産する子どもの数を表す合計特殊出生率は、過去最低を記録し、「1.57ショック」の名でニュースになった1989年以降も低下を続けてきました。人口を維持するのに必要とされる2.08%を大きく下回っているのは、日本に限らず、先進国全体にいえることですが、日本ではそのスピードが問題となっています。

 

なお、2005年には景気悪化や子育て世帯の負担増大に伴い1.26%にまで減少したものの、以降はやや上昇する傾向にあり、2017年には1.43%となっています。しかし、それにもかかわらず、2005年以降の出生数は低下の一途をたどっています。2017年には約94万人と、統計を取り始めてからの最低値を更新しました。その原因は、女性の総人口が減少しているためです。

 

出所:総務省「平成27 年版情報通信白書」より
[図表3]少子高齢化の進行と人口減少社会の到来 出所:総務省「平成27年版情報通信白書」より

 

子どもの数が減るということは、社会の構成人員そのものが減っていくということです。これは患者数の減少を意味することにもなります。産婦人科、小児科はいうまでもなく、来院患者数が減少し、求められる医師の数が減ることを意味しています。

 

さらに、急速に進む高齢化社会においては、その医療費の高額化が深刻な問題になっています。医療保険財政の悪化によって、各地方自治体における保険料支出は増加の一途をたどっています。

 

そのため、国は「保険料の自己負担率を上げる」「治療よりも予防に対して早めの手を打つ」といった対策を行いつつ、病院側に対しては診療報酬の引き下げに踏み切りました。

 

診療報酬の引き下げは、病院経営にとって重大なダメージをもたらすことは、皆さんはお分かりのはずです。病院の収益が悪化することになれば、医師の給与も引き下げられるのは間違いありません。

 

以上のことから分かるように、医師の将来的な経済状況の見通しは決して明るいとはいえません。現在、医師が不足していることによって得られている高収入は、医師の供給が十分になれば、その水準を保つことは難しくなります。

 

また、収益悪化した病院が余剰人員となった医師を雇用し続けることも容易ではありません。勤務医にとってはリストラされる可能性が生まれます。個人病院においては廃業や倒産の危機に陥ってしまうことさえ、あり得ます。今は高収入を得ている医師だとしても、一般企業のサラリーマンのように自身の年収と生活を守る術を考えなければいけない時代は、すぐ目の前まで来ているのです。

 

◆人口減少で「医者あまり」が迫っている

 

医師の年収、社会的価値の高さには理由があります。その一つが、希少価値があること。つまり、需要と供給のバランスがとれていないため、高収入などの好待遇を得られている面があります。

 

社会の高齢化が急速に進むなかでの慢性的な医師不足を解消するため、国が先頭に立ち、医学部の定員増を各大学に求めてきました。その結果、厚生労働省の発表では、2028年には医師が約35万人となり、医師不足が解消する見通しとなっています。医師の数が需要に見合う人数となった次の段階では、人口の減少に伴う「医者あまり」が始まることも予測されています。ここで起きることは何でしょうか。不足することによって価値が高くなり、待遇も良くなる。これは、社会のなかにおける職業の位置付けで当然のことです。

 

一方、必要とされない、あるいは供給数の過多によって起きるのは、「淘汰」です。病院の雰囲気や医師の人柄、技量、設備の良し悪し、立地などのさまざまな要因によって、必要とされない病院が出てきます。その結果、経営困難に陥る病院、職を失う可能性のある医師が出てくるのです。医師にとっての未来が明るく、光り輝いているわけではないことを認識していただくとともに、だからこそ今からできる資産構築の重要性を考えていただきたいのです。

株式会社Coeur 代表取締役

1977年生まれ。海外でバイクレーサーとして活躍後、帰国。2013年より不動産仲介業をはじめ、株式会社Coeurを設立。

著者紹介

株式会社Coeur 顧問

1973年生まれ。大手予備校の人気講師として、冬期・直前講習で17講座締切という予備校記録を樹立。個人投資家としても、実績をあげている。

著者紹介

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