ピクテ投信投資顧問株式会社が、日々のマーケット情報を分析・解説します。※本連載は、ピクテ投信投資顧問株式会社が提供するマーケット情報・ヘッドラインを転載したものです。

 

第4次安倍第2次改造内閣が発足して一週間が経った。小泉進次郎環境相の初入閣が目立っているものの、注目すべきは今回が安倍首相の下での最後の内閣改造となる可能性ではないか。2020年のオリンピック・パラリンピック終了後、安倍首相は自ら退任することも考えられ、今後、「ポスト安倍」レースが本格化するだろう。

ポイントとなる自民党総裁任期と衆議院の任期満了

安倍首相は、昨年9月の自民党総裁選で3選を果たした。再び党則を改正しない限り、その任期は2021年9月までだ。一方、2017年10月に前回の総選挙が行われているため、衆議院議員の任期満了は2021年10月である。つまり、安倍首相が3期目を全うして退任する場合、後任の首相(自民党総裁)は、バトンを受けてから1ヶ月で選択肢なく総選挙を戦わなければならない。

 

それは政界の常識から見て考え難く、安倍首相は、3期目の間にもう1回解散・総選挙を行うか、それとも任期途中で退任して後継者の下で国民に信を問うか、二者択一を迫られることになるだろう。

政界の鉄則:総選挙のインターバルは3年以内

1955年に自民党が結党されて以降、衆議院総選挙は21回あった。このうち、間隔が3年以内で行われた10回だと、9回、解散時与党が過半数を維持している。他方、3年を超えた11回では、8回で過半数割れに追い込まれた。2009年に自民党が、2012年に民主党が政権を失った総選挙は、いずれも前回から3年超で行われたものに他ならない。従って、総選挙の間隔は3年以内が政界の鉄則だ。

 

安倍首相は、2014年に前の総選挙から2年、2017年には2年10ヶ月で国民に信を問い、いずれも圧勝している。この鉄則に則れば、次の総選挙は2020年秋までに行われなければならない。

浮上するオリンピック・パラリンピック後の退任と後継指名のシナリオ

今年11月20日、安倍首相の在任期間は憲政史上最長となり、2020年8月24日には連続在任記録も更新する。オリンピック、パラリンピックを成功させ、二つの在任期間を塗り替えれた場合、安倍首相にとって十分なレガシーと言えるのではないか。そこで自ら退任し、指名した後継首相を自民党最大派閥の領袖として後見すれば、極めて強い政治力を維持する可能性が強い。

 

 

後継首相は、就任後、日を置かずに衆議院を解散、総選挙を行うことにより、間隔3年の鉄則を守ることができる上、2022年7月の参議院選挙まで大きな国政選挙を戦う必要がない。その間、安倍(前)首相に支えられ、政権基盤を固めることが期待できるだろう。

 

安倍首相の後継者については、岸田文雄自民党政調会長が最有力であり、日米通商交渉に尽力した茂木敏充新外相がそれに次ぐのではないか。いずれにせよ、7年間、日本の政治に安定をもたらしてきた政権が交代期を迎える可能性があるわけだ。

 

資産を「守る」「増やす」「次世代に引き継ぐ」
ために必要な「学び」をご提供 >>カメハメハ倶楽部

 

世界景気に減速の兆しが台頭していることを含め、日本の政治・経済は、大きな転換点の入り口にあると言えるのではないか。
 

出所:ピクテ投信資顧問作成
[図表]安倍首相、自民党総裁 3期目の政治日程 期目の政治日程 出所:ピクテ投信資顧問作成

 

 

当レポートの閲覧に当たっては【ご注意】をご参照ください(見当たらない場合は関連記事『最後の内閣改造に?…「ポスト安倍」レースが本格化』を参照)。

 

(2019年9月20日)

 

 

市川 眞一

ピクテ投信投資顧問株式会社
シニア・フェロー

 

カメハメハ倶楽部セミナー・イベント

 

【11/19開催】相続税申告後、
約1割の人が「税務調査」を経験?!
調査の実態と“申告漏れ”を
指摘されないためのポイント

 

【11/19開催】スモールビジネスの
オーナー経営者・リモートワーカー・
フリーランス向け「海外移住+海外法人」の
活用でできる「最強の節税術」

 

【11/23開催】ABBA案件の
成功体験から投資戦略も解説
世界の有名アーティスト
「音楽著作権」へのパッション投資とは

 

【11/24開催】事業譲渡「失敗」の法則
―M&A仲介会社に任せてはいけない理由

 

【11/28開催】地主の方必見!
相続税の「払い過ぎ」を
回避する不動産の評価術

 

【ご注意】
●当レポートはピクテ投信投資顧問株式会社が作成したものであり、特定の商品の勧誘や売買の推奨等を目的としたものではなく、また特定の銘柄および市場の推奨やその価格動向を示唆するものでもありません。
●運用による損益は、すべて投資者の皆さまに帰属します。当レポートに基づいて取られた投資行動の結果については、ピクテ投信投資顧問株式会社、幻冬舎グループは責任を負いません。
●当レポートに記載された過去の実績は、将来の成果等を示唆あるいは保証するものではありません。
●当レポートは信頼できると考えられる情報に基づき作成されていますが、その正確性、完全性、使用目的への適合性を保証するものではありません。
●当レポート中に示された情報等は、作成日現在のものであり、事前の連絡なしに変更されることがあります。
●投資信託は預金等ではなく元本および利回りの保証はありません。
●投資信託は、預金や保険契約と異なり、預金保険機構・保険契約者保護機構の対象ではありません。
●登録金融機関でご購入いただいた投資信託は、投資家保護基金の対象とはなりません。
●当レポートに掲載されているいかなる情報も、法務、会計、税務、経営、投資その他に係る助言を構成するものではありません。

人気記事ランキング

  • デイリー
  • 週間
  • 月間

メルマガ会員登録者の
ご案内

メルマガ会員限定記事をお読みいただける他、新着記事の一覧をメールで配信。カメハメハ倶楽部主催の各種セミナー案内等、知的武装をし、行動するための情報を厳選してお届けします。

メルマガ登録