米大統領選、ウォーレン氏のプライベートエクイティ批判の考察

ピクテ投信投資顧問株式会社が、日々のマーケット情報を分析・解説します。※本連載は、ピクテ投信投資顧問株式会社が提供するマーケット情報・ヘッドラインを転載したものです。

 

米大統領選に向けた民主党の候補者が、徐々に絞られてきているようです。民主党の候補者選びではバイデン氏がリードを保っていますが、反ウォールストリートなどと称されるウォーレン氏が人気を集めています。ウォーレン氏はプライベートエクイティについて批判的なことで知られていますが、何を問題としているのかを政策提案「経済的愛国主義」などを基に振り返ります。

米国大統領選挙:20人もいた民主党の候補が徐々に絞られつつある模様

米民主党は2019年9月12日に、2020年米大統領選のテレビ討論会を開催しました。米メディアではエリザベスウォーレン上院議員の評価が高かった模様です。

 

政治専門サイトのポリティコによると、討論会後に実施した世論調査で各候補の支持率を見ると、バイデン前副大統領が31%と依然リードしながら、左派の論客で知られるウォーレン氏が25%と差を縮めました(図表1参照)。

 

時点:2019年7月(左)、9月(右) 出所:Politicoのデータを使用しピクテ投信投資顧問作成
[図表1]米国20年大統領選挙民主党の主な候補者支持率 時点:2019年7月(左)、9月(右)
出所:Politicoのデータを使用しピクテ投信投資顧問作成

次の点に注目:民主党候補、プライベートエクイティ、提案

米大統領選に向けた民主党の候補者が徐々に絞られ始めています。民主党候補者としてバイデン氏がリードを保っていますが、反ウォールストリートなどと称されるウォーレン氏の人気が高まっています。ウォーレン氏はプライベートエクイティに批判的なことで知られています。何を問題としているのかを政策提案「経済的愛国主義」などを基に振り返ります。

 

ウォーレン氏はプライベートエクイティについて、会社を買収し「最後の一滴まで血を絞り取り、その企業が倒れても富を増やして立ち去る吸血鬼のようにしばしば振る舞う」とまで表現しています。選挙を意識した表現という面があるのかもしれませんが、改革への決意は強いと見るべきでしょう。

 

過去においても議会でプライベートエクイティ改革が提案されたケースはあります。例えば、07年には上院でキャリードインタレストの改善が検討されましたが、法案には至っていません。また、12年の大統領選挙では共和党候補ロムニー前マサチューセッツ州知事が大手プライベートエクイティ出身であることから、対立候補が経歴を攻撃したことなどはありますが、いずれも影響は限定的でした。

 

 

しかし、まだ予想には早過ぎますが、仮にウォーレン氏が民主党の候補、大統領となれば、プライベートエクイティへの風向きは今までと違った展開となることも想定されます。具体策はわかりませんが、ウォーレン氏がメスを入れそうな分野をウォーレン氏が提案した「経済的愛国主義」や「ウォールストリート改革」などを参照して振り返ります。

 

提案の一つは、プライベートエクイティに(救済)買収した企業の年金債務にも責任をもたせることです。過去、小売セクターなどでプライベートエクイティが救済買収したケースでは、買収された企業の雇用者は、勤続に見合った退職金などの対価を得ることなく会社を辞めたと指摘しています。その上で、ウォーレン氏はプライベートエクイティに年金債務に責任を負うことを義務付けています。

 

また、買収した企業の業績が改善した場合に、プライベートエクイティが、その企業に高額な配当支払いを求めることにも制限をすべきと考えているようです。税制面でも優遇を終わらせたいと考えているようです。買収した企業とプライベートエクイティの利益を連動させた「成功報酬」に関連した税制優遇措置も終わらせたい考えです。

 

 

また、プライベートエクイティが受け取るモニタリング費用などの内容開示を求めています。ウォーレン氏の提案の特色は、過去の事例をベースに改善点を提示しています。年金がもらえなかったケースや、高額なモニタリングを支払ったケースなどです。ただ、事例は極端なケースが選ばれている可能性も考えられ、さらなる検討は必要と思われます。

 

日本でも企業再編にプライベートエクイティの活用が拡大しているように、プライベートエクイティに対する理解はある程度高いように思われます。ウォーレン氏もプライベートエクイティ廃止のような提案でなく、同氏が考えるところの、もうけ過ぎを是正してあるべき姿に戻したい考えが基本のようです。であるなら、米国に所得格差への懸念が見られる中、政治的に支持が集まる可能性を無視すべきでないと思います。

 

 

当レポートの閲覧に当たっては【ご注意】をご参照ください(見当たらない場合は関連記事『米大統領選、ウォーレン氏のプライベートエクイティ批判の考察』を参照)。

 

(2019年9月24日)

 

 

梅澤 利文

ピクテ投信投資顧問株式会社
運用・商品本部投資戦略部 ストラテジスト

 

幻冬舎グループがIFAをはじめました!
「お金がお金を生む仕組み」を作りたいけど、相談相手がいない…
この現実から抜け出すには?

 こちらへ 

ピクテ投信投資顧問株式会社
運用・商品本部 投資戦略部 ストラテジスト 

日系証券会社のシステム開発部門を経て、外資系運用会社で債券運用、仕組債の組み入れと評価、オルタナティブ投資等を担当。運用経験通算15年超。ピクテでは、ストラテジストとして高度な分析と海外投資部門との連携による投資戦略情報に基づき、マクロ経済、金融市場を中心とした幅広い分野で情報提供を行っている。経済レポート「今日のヘッドライン」を執筆、日々配信中。CFA協会認定証券アナリスト、日本証券アナリスト協会検定会員(CMA)

著者紹介

ピクテは1805年、スイス、ジュネーブにおいて会社創設以来、一貫して資産運用サービスに従事し、運用サービスに特化したビシネスモデルを展開してまいりました。信用格付ではフィッチ・レーティングスからAA-の格付けを取得しております(2018年5月末現在)。注:上記の格付はピクテ・グループの銀行部門の債務の信用に対するもので、運用部門や運用能力に関するものではありません

1981年、日本経済や株式市場の調査を目的に東京事務所を設立しました。その後、1987年から機関投資家を対象とした資産運用サービス業務を開始、1997年には投資信託業務に参入し、運用資産総額は1.98兆円となっています(2018年12月末現在)。外資系運用機関の大手の一角として、特色ある資産運用サービスをお届けしております。

著者紹介

連載PICTETマーケットレポート・Deep Insight

【ご注意】
●当レポートはピクテ投信投資顧問株式会社が作成したものであり、特定の商品の勧誘や売買の推奨等を目的としたものではなく、また特定の銘柄および市場の推奨やその価格動向を示唆するものでもありません。
●運用による損益は、すべて投資者の皆さまに帰属します。当レポートに基づいて取られた投資行動の結果については、ピクテ投信投資顧問株式会社、幻冬舎グループは責任を負いません。
●当レポートに記載された過去の実績は、将来の成果等を示唆あるいは保証するものではありません。
●当レポートは信頼できると考えられる情報に基づき作成されていますが、その正確性、完全性、使用目的への適合性を保証するものではありません。
●当レポート中に示された情報等は、作成日現在のものであり、事前の連絡なしに変更されることがあります。
●投資信託は預金等ではなく元本および利回りの保証はありません。
●投資信託は、預金や保険契約と異なり、預金保険機構・保険契約者保護機構の対象ではありません。
●登録金融機関でご購入いただいた投資信託は、投資家保護基金の対象とはなりません。
●当レポートに掲載されているいかなる情報も、法務、会計、税務、経営、投資その他に係る助言を構成するものではありません。

メルマガ会員限定記事をお読みいただける他、新着記事の一覧をメールで配信。カメハメハ倶楽部主催の各種セミナー案内等、知的武装をし、行動するための情報を厳選してお届けします。

登録していただいた方の中から
毎日抽選で1名様に人気書籍をプレゼント!
会員向けセミナーの一覧