なぜ「社員⾃⾛型」が投資につながるのか?
◆あなたの体は資産になっていますか? 運⽤できていますか?
私たちは生まれたときに、体という資産を預かります。この資産の特徴は、買うことはもちろん買い換えることもできないということです。
体という資産を上⼿に運⽤できると、当然利益が生まれます。運⽤とはまさに「守り育て残す」ことです。その最⼤の運⽤益が「健康」なのです。あなたの能力を120%発揮することができ、⼼の健康も追随していきます。
そして、その複利(オマケ)が「美しさ」「格好よさ」「若さ」なのです。とりわけ、仕事においての複利は、脳の活性化による「生産性UP」です。企業にとって、社員の欠勤や体調不良による生産性損失もなくなり、健康で元気な社員の集団になることで社内の雰囲気も明るくポジティブになります。だからこそ、収益が上がるのです。
◆選定や認定で良し悪しは判断しきれないという事実
2014年から経済産業省と東京証券取引所が、上場企業のなかから健康経営を戦略的に推進している企業を「健康経営銘柄」として選定し、株式市場等で評価される仕組みを作っています。投資家に対して、魅力ある企業ですよというアピールです。しかし⼤事なのは、実際何が⾏われているかではないでしょうか(関連記事『企業の投資対象として「社員の健康」が注目されるワケ』参照)。
健康経営銘柄の企業が⾏っている健康経営の中⾝を⾒てみると、専⾨家の知識を取り⼊れたバラエティ豊かな内容になっていることは確認できます。ただとても残念なことは、「⿂を与える」だけの状態になってしまっている点です。
◆「⿂を与える」だけではなく「⿂の釣り⽅」を伝える!
「⿂を与える」健康経営の代表的なものに、健康診断があります。体の現状を知る上で⼤切な⽅法ではありますが、では健康になるにはどうしたらいいのか、悪い点は出なかったが毎⽇の生活は何をしたらいいのか、この点が欠けています。
他に、運動をしたり⾷事を変えたりしたことをポイント制にして、達成させようという取り組みが流⾏っています。ゲーム性があり⾏動につながるので⼀⾒いいのですが、それが本⼈の習慣にまで落とし込まれるかというと、疑問が残ります。
そういう企業で働いている友⼈に聞いてみると、「チームのためにやらなければという感じで、なぜそれをしているのか実際理解できていないから継続が難しい」と⾔っていました。
メンタルケアへの取り組みも重要です。しかし、これにより意識が⾼まり、本当のポジティブになるには「体が健康である」という条件が必須なのです。つまり、体の健康を優先させる必要があります。
上記に加えるべき「⿂の釣り⽅を伝える」健康経営は、理解納得を加えることで⾏動を促し、⾃分で⾃分の体をマネージメントできるようにする取り組み⽅です。⽅法論ばかり知っていても、⼤⼈は納得しないことはやりません。やったとしても⾃発的ではありません。
では、どうしたら⾃発的に⾏い「⾃⾛」していくのでしょうか。その鍵は、体のシステムを知ることです。そこで腑に落ちたことは、「なるほど! だったら苦⼿だけどやってみようかな」となるのです。
体と生活習慣の改善には、体のシステムの関係で約1年かかります。「⾃⾛」して「⾝に付ける」には連続と継続が必要です。1歩が2歩になり、3歩になっていきます。「腑に落ちる」があれば、それは可能なのです。
真のマネージメント力は仕事だけでは成り⽴たない!?
◆「⾒た⽬」が⼤事!体のマネージメントが仕事の鍵を握る
欧⽶、とりわけアメリカでは、1990年代にエアロビクスが流⾏った頃から、ビジネスパーソンの重要項⽬としてボディメンテナンスがあります。エリートであればあるほどその意識は⾼いのです。「健康な体を買うことはできない」ことを認識し、「体の健康をマネージメントできる⼈は、仕事のマネージメントもできる⼈」という価値観が生まれました。
ボディメンテナンスをやらない理由はありません。それは⾃信に直結し、相⼿からも認められ信⽤される⼀番簡単な⽅法だからです。私も仕事柄、⾒た⽬を重要視しますが、ビジネスをしている友⼈知⼈にこの話をすると、多くの人が判断材料にしていると答えます。
◆社員と企業の関係は相思相愛にしましょう!
健康経営の真に素晴らしい点は、企業が儲かるという話にとどまらず、社員も元気にエネルギッシュに仕事に取り組めることです。それにより、社員と企業がWin-Winの良好な関係になっていく点です。お互いになくてはならない存在になっていくのです。将来的にリターン価値のある、とてもオーガニックな⽅法が「社員⾃⾛型」の健康経営です。優秀な⿂を与えるだけの⽅法ではなく、⼀⼈⼀⼈が⾃分ごととして取り組めるような⽅法を始める必要があります。
さて、あなたはどう感じたでしょうか。⼤企業と中⼩企業を合わせても、まだまだ多くの企業が健康経営に取り組んでいません。早い取り組みを選択するメリットは、⼈材確保の⾯でも⼤いに価値ある投資になることでしょう。「社員の健康は経営資産」なのですから。
田中 素美
ボディスタイルプロデューサー/