本記事は、大長伸吉氏、丸茂雄二氏の共著『クズ土地から1億円の家賃をたたき出す、本当の「儲かる家」』(ぱる出版)から一部を抜粋し、「ワケありの土地を購入し、賃貸併用物件を活用した不動産投資で収益を上げる方法」を見ていきます。今回は、収益物件を目的とした不動産の購入において、がけ地等のいわゆる「難あり」の土地が収益を生み出すカラクリ等について見ていきます。

「傾斜地や崖」などの建物が入居者に喜ばれるワケ

難ありの土地…つまり、ちょっと変だなと思う土地こそがあなたに収益を生み出してくれる可能性を秘めています。

 

発想を変えるだけであなたは何倍もお得な建物を得ることができるのです。

 

例えば、駅から徒歩7分の土地が二つあって、ひとつは平坦な整型地、もうひとつは傾斜地のような不整型地だったとします。どちらの物件も同じような広さと間取りの新築建物であれば、どんな土地に立っていようとも、入居者から見ればなんの変わりがありません。

 

だから、どちらの物件も家賃設定も同じような金額になります。

 

ただ傾斜地で不整型地ということは土地の値段が安いので、建築コストはかさんでも、その結果は整型地より総額が割安になるのです。家を建てるときに傾斜地を見て、不安になる人もいるかもしれませんが、しっかり基礎部分を整えて杭を打ち、平坦にするので建物が傾くことは、まずありません。

 

しっかりと現地調査を行い、建築基準法に定められた建築確認済証をもらえば、その土地は安全なのです。

 

もちろん安心かつ安全な建物を建てるのは絶対条件ですが、多少、建築コストが上がったとしても、その建築コストを上乗せした合計より、整形地の購入金額のほうが高いのであれば、整型地と不整型地で得をするのはどちらか、もうおわかりでしょう。

 

多くハウスメーカーや施工会社が手を出せず、腰が引けてしまう土地を探すことにこそ、最大の意味があります。また傾斜地や後ろが崖などの建物は、意外に部屋から見える景色が良いので、入居者からも喜ばれます。

 

逆に難ありの土地に、工夫して建ててある建物のほうが見栄えもよくなるし、その建物のキャラクターそのものになるのです。傾斜地に立っているというマイナスポイント──それ自体が個性的なデザインを生み出すことだってあります。これは大きな価値です。

 

宝の眠る土地を見つければ、利回りも高いので、ローン返済も心配がなく、良好な賃貸経営となります。

地下を作ったことで利回りが良くなったケースとは?

実際に手掛けた物件でこんな事例がありました。

 

オーナーが相続で受け継いだ土地で、場所は鶴川駅近辺です。

 

土地は後ろががけ地だったので、大手ハウスメーカーにお願いし、後ろのがけ地によう壁を作って2階建ての賃貸併用住宅を建てる計画だったそうです。その際に先方から提示された投資利回りが5%だったので、オーナーが相談に来ました。それで設計などを組みなおしたら、なんと投資利回りが13%にアップする計算になりました。

 

それはどういったカラクリなのか。それを説明します。理由は簡単です。

 

よう壁を作る費用で地下をつくるのです。地下階を作って地下1室と1階と2階の合計5室が賃貸という設計に組み替えたのです。地下を作ったことで容積率が1.5倍になったので、利回りが良くなったというわけです。

 

前述したように、地下階は容積率に加算されません。

 

建蔽率が50%、容積率が100%の土地でも、がけ地であればその容積率を1.5倍の150%にすることも可能になるのです。地下室もしっかり作れば、賃貸ルームとして貸し出すことができ、十分収益を生み出してくれます。例えば、新しい視点で不動産を提案する〝ネット不動産サイト〟などの事例を見ると、地下室をアトリエみたいにして、自宅兼アトリエという家のつくりにして、一般人ではなく、アーティストや芸術家などに賃貸する方法もあります。

 

もちろん地下なので、シアタールームや音響室などにしても需要はあると思います。崖というとかなりの高さがある断崖絶壁をイメージする人も多いかもしれません。

 

しかし、郊外だけではなく、都心の住宅街にはちいさながけ地がたくさんあります。前から見ると1階建てでも、後ろの崖から見ると2階建てのようになっているマンションなど見たことがあると思います。これはマンションだけではなく、戸建てにも活用できます。

 

がけ地は収益を生み出す宝が眠っているのです。

 

[図表1]土地購入時。ここから解体して地下を作ってB1+3F 建ての木造建築
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[図表2]完成すると、以前からこの形で建っていたようになります
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[図表3]1F 事務所、1LDK × 6 室、がけ地でもデザイン性をもたせた設計
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