新宿への「直通運転開始」で注目のエリア
「中野富士見町」駅は東京の西部、中野区に位置しています。中野富士見町はちょうど中野区と杉並区の境にあり、緑が多くゆったりとした時間の流れる街です。
「中野富士見町」駅周辺は住宅街になっています。戸建てや低層のアパート・マンションが多く、開放感があります。駅前には神田川が流れており、近くに公園もあるため、緑の多い街並みが日々の生活を清々しい気持ちにしてくれます。丸ノ内線支線の中野車庫があるため、朝の時間帯は始発で新宿方面直通の電車で座って通勤できるのも魅力でしょう。
一方、商店街らしい商店街はなく、店は少な目。駅近くにスーパーが何軒かありますが、その他にはコンビニや飲食店がちらほらある程度。買い物や飲食にはやや不便さを感じるかもしれません。
また、丸ノ内線支線は2019年7月のダイヤ改正で、支線から新宿方面への直通運転を開始しました。交通利便性がよくなることから、職住近接のライフスタイルを実現できるエリアとして中野富士見町においても良い影響が期待されます。
地下鉄1本で「新宿」へ。さらにバス便も充実
「中野富士見町」駅は東京メトロ丸ノ内線が利用可能です。中野富士見町のあるのは丸ノ内線の中でも支線のほうです。基本的に新宿方面へは中野坂上で乗り換えが必要になりますが、朝の通勤時間帯は始発電車が10分に一本程度直通運転をしています。新宿まで乗り換え含めても10分程度で行くことができ、中野坂上での乗り換えもホームが目の前なのでストレスを感じません。2019年7月のダイヤ改正で、支線の終点「方南町」から新宿方面への直通運転がスタート。さらに便利に東京・銀座方面へアクセスできるようになりました。
また、京王バスの中野車庫が駅前にあるため、バスでの路線も多く出ています。「新宿駅西口」「渋谷」「中野」まで行くことができます。電車とバス利用もあわせると、とても交通の便がよいことがわかります。
割安感のある賃貸市場…供給数は多く動向注意
■「中野富士見町」駅周辺の賃貸市場
中野富士見町の賃貸市場を分析していきます。まずは賃料相場と築年数の比較です(図表2)。賃料相場は23区の3,339円/㎡よりやや割安な3,248円/㎡。都心のベットタウンとして機能しているため木造や低層マンションも多く、比較的割安の物件も多いエリアです。中野富士見町は利便性の割に割安感のあるエリアといえます。
次に重回帰分析で「築年数」「徒歩分数」「面積」の3つの変数が賃料にどの程度影響を与えているかを分析します。「■徒歩・築年・面積による賃料の重回帰分析結果一覧」(図表4)を見てみると、中野富士見町の単身者物件の月額賃料は「d.切片」の61,902と円からスタートし、徒歩1分ごとに「a.徒歩」の770円ずつ値下がり、築年数1年ごとに「b.築年」の968円ずつ値下がり、面積1㎡ごとに「c.面積」の1,781円ずつ値上がることがわかります。
「賃料に対する影響割合の比較」(図表4)から中野富士見町の賃貸市場の傾向を分析すると、中野富士見町は徒歩による影響割合「a.徒歩/d.切片」徒歩による影響は高く出ていますが、これは近隣の賃料相場に引っ張られていると考えられます。築年による影響割合「b.築年/d.切片」、標準偏差の割合「e.標準偏差/d.切片」は23区平均と同水準です。安定した傾向といえますが、中野富士見町エリアは供給数も多く、今後の動向に注意が必要なエリアでもあります。
■中野富士見町の居住者特性
中野富士見町の居住者特性を見ていきます。まずは単身者世帯の比較(図表5)です。東京都ならびに中野区の人口のうち単身者世帯の割合をみると、東京都全体で約47%、中野区で約62%です。大学キャンパスがあること、都心への交通利便性の良さから中野区は23区の中でも単身者割合の高いエリアです。中野富士見町の単身者世帯の割合も63%と高い割合です。
また、2010年からの人口推移を見ると総数で7.11%、単身者で5.47%増加しています。対象エリア内の居住者の年齢構成(図表6)は若い世代が多く、20~30代の年代だけで全体の34%を占めています。中野富士見町は交通利便性の割に賃料相場に割安感があることから、若い世代の多いエリアになっています。
ゆるやかに人口減少…需給バランスに要注意
■借家数(供給)は伸びるが、人口(需要)減少が予測される中野区
「中野富士見町」駅の所在する中野区は23区の西部に位置しています。区内は低層中層の住宅街・マンションが密集したエリアが多く、渋谷区・新宿区・豊島区など繁華街・ビジネス街と隣接していることから、都心のベッドタウンとして機能しています。
住宅・土地統計調査「借家数の変化」(図表7)によると、2008年から5年の間に23区全体で約190千戸の賃貸物件が増え、同調査による「空き家の変化」(図表8)を見ると、空き家数も5年の間で全体的に増えています。中野区を見てみると、供給にあたる借家数は5年の間に7.1%減少しているものの、空き家数は95.7%増と前回の調査時と比べるとおよそ2倍になっています。
エリア別に貸家の住宅着工数(図表9)を見ると、東京都と23区の各年の増減は相関していることがグラフから読み取ることができます。中野区の供給傾向も東京都や 23区の増減と似たような動きを見せおり、2000年頃から着工数の増加し、 2006年以降は低い水準で抑えられていることがわかります。2009年以降はまた増加傾向が伺えますが、2016年以降は増加傾向が抑えられており徐々に減少サイクルに入ると予測されます。
中野区の人口の推移(図表10)を見てみると、一時減少していますが都心回帰の流れもあり微増を続けています。中野区は東京23区の中でも人口増加率はあまり高いほうではなく、東京都の予測によると中野区の人口は2025年以降減少に転じます。しかし、2040年の段階でも2005年人口比で約106%と急激に減少することはなさそうです。
また、中野区の単身者数は2015年まで増加傾向と予測されており、2020年から減少予想とされています。単身者数も2040年の段階で2005年比106%と急激な減少はないと考えられますが、今後の需要と供給のバランスには注意が必要なエリアといえます。
◆まとめ
「中野富士見町」駅は東京の西部、中野区に位置しています。中野富士見町周辺は住宅街になっていて、戸建てや低層のアパート・マンションが多く、町全体に開放感があります。駅前には神田川が流れており、近くに公園もあるため、緑の多い街並みが日々の生活を清々しい気持ちにしてくれます。丸ノ内線支線の中野車庫があるため、朝の時間帯は始発で新宿方面直通の電車で座って通勤できるのも魅力でしょう。一方、スーパーやコンビニ、飲食店は少なく、買い物や飲食にはやや不便さを感じるかもしれません。
賃貸市場に目を向けると、徒歩・築年・賃料のばらつきは23区平均と同程度。経年による賃料の変動可能性が低いエリアです。単身者世帯も増加傾向にありますが、中野富士見町は供給戸数が多いエリアであるため、今後の動向に注意が必要なエリアでもあります。
また、中野富士見町駅を通る丸ノ内線支線は2019年度中に支線から新宿方面への直通運転を開始する予定です。交通利便性がよくなることから、職住近接のライフスタイルを実現できるエリアとして中野富士見町においても良い影響が期待されます。