人気商業施設の誕生で魅力が増す、下町の人気エリア
「錦糸町」駅は東京の東、墨田区に位置しています。「亀戸」とともに東京副都心として位置づけられ、東京東部を代表する繁華街として栄えています。賑やかな夜の街というイメージの強い錦糸町ですが、近年では街の整備も進み、住みやすい街としても人気が出ています。
錦糸町は駅を境に南北に町が分かれています。北口側は再開発が進んでいるエリアで大型商業施設やビルが立ち並んでいます。駅を出てすぐにある「アルカキット」にはスーパーやドラッグストアなどが入っており錦糸町の日常には欠かせない存在。また、ショッピングモールや映画館、オフィスやマンションから成る複合商業施設複「オリナス」、周辺住民の憩いの場になっている「錦糸公園」、主にクラシックコンサートが開催される「すみだトリフォニーホール」など、娯楽施設も充実しています。一方、通りから一本入ったところは墨田区の下町らしい情景の広がる住宅街になっています。
南口は駅前は繁華街、駅から離れるとマンションが立ち並ぶ居住エリアになっています。リニューアルした複合商業施設「楽天地」、「マルイ」、「ヨドバシカメラ」、飲食店街と何をするにも便利。今年3月16日には楽天地内に「錦糸町PARCO」がオープンし、副都心として顧客ニーズを満たすために駅前利便性の最大化が図られています。南口エリアは北口と同じように商業施設やオフィスビルが多いのですが、飲食店や歓楽街も多いため、昼から夜まで人々で賑わいます。
このように「錦糸町」は東京東部のターミナルとしての機能を拡充させており、商業エリアと居住エリアの両方の利点を備えたハイブリットなエリアとして発展しています。
「錦糸町」駅はJR中央・総武線、JR総武線(快速)、東京メトロ半蔵門線の3路線が利用可能です。「錦糸町」から各ターミナル駅へのアクセスの良さは抜群。乗り換えなしで「新宿」まで24分、「東京」まで8分、「渋谷」まで28分、「品川」まで27分。どこへ行くにも30分かかりません。総武線で「秋葉原」まで出ればJR山手線の他各種JR路線や東京メトロ日比谷線も使うことができます。
電車だけではなくバス路線も充実しており、「錦糸町」からは都営バスが多数運行しています。北口乗り場からは5系統、南口乗り場からは21系統ものバスが運行。「新木場」「国際展示場」「門前仲町」、「浅草」「大塚」「日暮里」方面など、電車では行きづらい範囲をカバーします。
都内の多方面に簡単にアクセスできる「錦糸町」は、交通面でも人気の高いエリアとなっています。
賃料の変動可能性が低く、若年層からの支持
■「錦糸町」駅周辺の賃貸市場
錦糸町駅の賃貸市場を分析していきます。まずは賃料相場と築年数の比較[図表2]です。23区平均と比較すると、賃料相場は23区の3,339円/㎡に対し、錦糸町は3,441円/㎡。錦糸町エリアは副都心エリアにも指定されている繁華街ですが賃料相場そこまで高くはありません。また、「築年別 平米単価の分布」[図表2]を見ると20~30年の物件でも築年による賃料下落の影響が小さなエリアであることがわかります。
■錦糸町の居住者特性
錦糸町の居住者特性を見ていきます。まずは単身者世帯の比較[図表4]です。東京都ならびに墨田区の人口のうち単身者世帯の割合をみると、東京都全体で約47%、墨田区で約45%です。錦糸町の単身者世帯の割合を見てみると55%が単身世帯。城東地区を代表する商業地というだけあって単身者比率のやや高いエリアです。
また、2010年からの人口推移を見ると全体で4,000人ほど増加しており、そのうち9割以上が単身者の増加です。
対象エリア内の居住者の年齢構成[図表5]は、都心の繁華街・オフィス街というだけあり働き盛りの30~40代の割合が高く、この年代で全体の37%近くを占めています。次いで20代、50第と続きます。繁華街・オフィス街の利便性を求める若い層からの支持が高いエリアであることがわかります。
安定した人口増加も、開発の影響がどうでるかは未知数
■借家数(供給)、人口(需要)ともに伸びる墨田区
「錦糸町」駅の所在する墨田区は東京23区のやや北東側に位置しています。「両国」や「押上」などの下町が多く、全国的に有名な「東京スカイツリー」も墨田区に存します。
住宅・土地統計調査「借家数の変化」[図表6]によると、2008年から5年の間に23区全体で約190千戸の賃貸物件が増え、同調査による「空き家の変化」[図表7]を見ると、空き家数も5年の間で全体的に増えています。墨田区を見てみると、供給にあたる借家数は5年の間に21.5%増加し、空き家数は89.0%増加しています。
エリア別に貸家の住宅着工数[図表8]を見ると、東京都と23区の各年の増減は相関していることがグラフから読み取ることができます。墨田区の供給傾向も東京都や 23区の増減と似たような動きを見せおり、2000年頃から着工数の増加が見られ、 2006年以降は低い水準で抑えられていることがわかります。2009年以降はまた増加傾向がうかがえ、2016年以降も東京都と同じく増加傾向と予測できます。
人口の推移[図表9]を見てみると、墨田区の人口は年々増加していることがわかります。東京都によると墨田区の人口総数は2025年まで増加傾向にあり、それ以降は減少に転じます。一方、単身世帯数は2035年まで増加傾向と予測されています。人口の増加=需要の増加と考えると、人口増加は不動産に良い影響を与えます。錦糸町においても単身者数は増加していますが、錦糸町は開発余地も残っているエリアですので油断はできません。今後の動向に注意が必要なエリアでもあります。
◆まとめ
「錦糸町」駅は「亀戸」とともに東京副都心として位置づけられ、東京東部を代表する繁華街として栄えています。駅を境に南北に町が分かれ、北口側は再開発が進んでいるエリアです。複合商業施設複「オリナス」、周辺住民の憩いの場「錦糸公園」、「すみだトリフォニーホール」など娯楽施設も充実。南口にはリニューアルした複合商業施設「楽天地」、「マルイ」、「ヨドバシカメラ」、飲食店街と何をするにも便利。2019年3月16日には楽天地内に「錦糸町PARCO」もオープンし、副都心として顧客ニーズを満たすために駅前利便性の最大化が図られています。錦糸町は商業エリアと居住エリアの両方の利点を備えたハイブリットなエリアとして発展しています。
賃貸市場に目を向けると、徒歩・築年・賃料のばらつきのすべて23区平均よりも低く、経年による賃料の変動可能性が低いエリアです。単身者世帯も増加傾向にあり、2010年から2015年で4,000人弱増加しています。人口の増加=需要の高まりといえますが、錦糸町はまだまだ開発余地のあるエリアですので油断はできません。供給戸数・空き家数も増加傾向にあり、今後の動向に注意が必要なエリアでもあります。