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「良い会社」を「安く買う」ことに尽きるが・・・
日本はトレンドの大転換を迎えている。これから、個人が自らの資産を守り、大きな富を築くことを目指すなら、株しかない。しかし、準備もなくただ株を買うだけでは、中長期にわたり優れたリターンを得ることは不可能に近い。
長期的な上昇相場であったとしても、短期的には必ず大きな修正局面がある。このような場面で、短期的な利益確保のために保有株を売ることは、長期のより大きな利益を逃すことにつながりかねない。一方で、短期的な値上がりを求めて、局地的なミニバブルが発生しているような株を買うことは、結局取り返しのつかない損失につながることになる。
一言で言おう。中長期で高いリターンを得るためには、「良い会社」を「安く買う」こと、そして、短期的な動きに惑わされず投資先企業と自分の投資仮説を信じて「投資し続ける」ことが必要である。これは時代を超えて、優れた投資家がそれぞれ工夫を加えながら実践している、株式投資の原理原則であると考える。本連載では、この原理原則を一つ一つ紐解きながら、株式投資に向き合う上での要点について筆者なりの考えを示していく。
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株式投資がギャンブルではない理由
まず最初に、投資とは何かを理解するために、ギャンブルと株式投資の違いを考える。日本には「株はギャンブルだ」という誤解がまだまだ存在しており、個人投資家が株式投資を敬遠する要因となっているように思うが、両者は全く異なる行為である。
ギャンブルにはさまざまな形態があるが、その実態は、参加者から集めたお金を、基本的に運次第で勝ち負けが決まるルールに基づいて、参加者に再分配するゲームである。これは、二つのことを意味する。それは、努力により勝率を上げる余地は大きくないということと、誰かの負けが自分の勝ち(いわゆるゼロサムゲーム)ということである。加えて、運営者が集めたお金の一部を手数料などとして受け取るため、再分配される金額の合計は、集められた金額を下回る。すなわち、ゲームから得られる利益の期待値はマイナスである(マイナスサムゲーム)。
一方、株式投資は、投資家が自身の資金と引き換えに株式を取得することで、企業の一部を所有する行為である。企業は株主から託された資本を活用して成長し、利益を拡大させることで価値を生み出していくことが可能である。投資家は、保有する株式の値上がりにより、その生み出された価値を得ることができる。また、企業によって成長のスピードは異なるので、投資家は投資する企業を見極める努力をすることで、より大きな価値を受け取ることが可能である。
つまり、株式投資はギャンブルとは違いは以下といえる。
①企業の成長で価値が拡大すれば、誰かの負けがなくとも利益を得られる、
②運任せではなく自らの努力により結果を向上させる余地がある
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