写真:GTACスタッフ

港の一部から病院まで、様々なセクターの組織の民営化が計画されているスリランカですが、この民営化はスリランカ経済にどのような影響を及ぼすでしょうか。民営化と併せて語られる港湾都市開発の事情と合わせてご紹介します。

スリランカ企業による買収は難しいが・・・

政府が抱える国有企業が売却されれば、その規模の大きさやおよび展開の早さから、スリランカの小規模な民間セクターは大きな打撃を受けるかもしれない。スリランカには、大規模な資産を買収するために必要な資本を調達できる企業はほとんどなく、合弁企業として事業を進めるか、国外に提携企業がいない限り、スリランカ企業による買収は難しいだろう。

 

国有資産はスリランカ企業だろうと外資系企業だろうと、最も高値で落札する企業に売却され、民営化によって国有企業には収益がもたらされるだろう。

 

たとえば、国営の生命保険会社であるSLICの所有資産は、保険加入者のものである。また政府機関であるスリランカ港湾局から融資を受けているコロンボ港の東ターミナルのような場合では、民営化による収益は建設費のための融資の返済に充てる必要が生じるかもしれない。一方、SLIC社、コロンボ港の東ターミナル、そして国有銀行は、民営化あるいはコロンボ証券取引所に上場される企業の財務大臣リストには載っていなかった。

インド洋のハブ化に向けて進む港湾都市開発

港湾担当大臣であるArjuna Ranatunga氏は2016年1月、深い水深を誇るコロンボ港の東ターミナルの管理に向けた提案を募集する旨、世界中に呼び掛けた。

 

この東ターミナルは、コロンボ港にある2つ目のコンテナ・ターミナルで、今日運行されている中で一番大きなタイプの大型船を停泊させることができる。このプロジェクトの第一段階は2015年4月に着手され、完成すれば1,200メートルとなる埠頭のうち400メートルが完成した。

 

大規模なインフラ整備と港湾都市の建設という民間企業による再開発プロジェクトによって、モナコ公国の面積ほどの地域が創出される予定になっている。しかしながら、この港湾都市建設プロジェクトについても、スリランカ企業にはチャンスが少ないだろう。土地や建物、そして石油や天然ガスなどの海底に眠る資源などの非金融資産も、投資家たちに与えられることになるためだ。


次回は、世界規模での「コモディティ・スーパーサイクル」の終焉が及ぼす影響をご説明します。

この連載は、GTACが提携するスリランカのメディア「ECHELON」が2016年1月に掲載した記事「THE BEAR YEAR」を、翻訳・編集したものです。

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