IMFは新興国の経済成長が回復することを見込んでいる一方で、米国の金利引き上げによって海外資本が流出する懸念を示しています。さらにスリランカにおいては経済構造の脆弱性が問題点として指摘されています。

金融引き締めと財政赤字による圧迫

新興経済国からの資本流出が今後起こりえると考える理由は2つある。ひとつは、先進国の金融引き締め政策だ。アメリカの連邦準備銀行は金利を上げ始めたが、ユーロ圏の金融政策は緩和を維持している。

 

IMFが指摘する、新興国および開発途上国に見られるであろう経済成長の低迷の2つ目の理由は、経済構造の脆弱性だ。スリランカについて言えば、中期財政再建計画が欠如したままの財政問題がある。先進国の金融政策による資本逃避と財政赤字の2つがスリランカ経済に重くのしかかっている。

懸念される、さらなる通貨安

株式市場や一部の企業債務は、自国通貨安につながるような状況変化に怯えている。通貨が下落すれば、その通貨建て資産資産の利潤は削られてしまう。 

 

またドル金利の上昇の影響も見られ始めている。2015年にはスリランカ・ルピーは8.7%下落し、最終週では1ドル=143.8スリランカ・ルピーとなった。スリランカのゆるい財政規律のもとでは、2016年でも似たような事態が引き起こされる可能性があり、投資家たちは資本をスリランカ市場から引き上げかねない。

 

スリランカは、他のあらゆるフロンティア市場と同様に、先進国での金利アップに対し無力だ。予期される金利上昇はすでに織り込み済みかもしれない。しかし、スリランカの経済・財政構造上の脆弱性は自らが生み出したものであって、先進国での金融引き締めと併せてスリランカにとって二重苦となる可能性がある。

 

世界経済が低迷する中、投資家たちが新興市場および発展途上市場から自らの資本を本当に引き揚げるのなら、IMFはスリランカのような国々が近いうちに窮地に追い込まれるだろうと予測している。

 

繰り返せば、先進国の金利上昇による影響を避けることは不可能だ。しかし、金融市場で起きうる混乱は、自らが招いたでもあるだろう。


最終回は、国際収支の面から2016年のスリランカ経済を見通します。

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    この連載は、GTACが提携するスリランカのメディア「ECHELON」が2016年1月に掲載した記事「THE BEAR YEAR」を、翻訳・編集したものです。

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