正負両面の影響がある燃料価格の下落
2015年8月までの間に、燃料輸入に対する支出は48%カットされ、18億ドルまで減った。2014年は45億ドルだった年間の燃料費支出は、2015年全体では 28億ドルまで減るとみられている。支出が減るというプラスの面がある一方で、予算案やその他文書では燃料価格の低下が歳入に及ぼす影響についても言及されている。
スリランカの歳入は輸入税と間接税による収入への依存が強く、その中でも石油製品に対する課税分は大きな割合を占めており、2015年では輸入税が歳入の約半分を生み出した。輸入税には、関税、付加価値税(VAT)、港湾・空港開発税(PAL)、物品税など様々な税が含まれる。
またスタンドでのガソリンの販売価格の下落も国の収入を減らすことになるはずだ。もしスリランカ・ルピーの価値が2015年と同じペースかそれよりも速く下がれば、コモディティ・スーパーサイクルがもたらすはずの恩恵の多くは、帳消しになってしまうだろう。
通貨が下落し、インフレ率が上昇!?
3. インフレーション
アメリカドルに対し、スリランカ・ルピーが下落したのは2015年で、政府が為替レートを市場に委ねることを認めた1か月後のことだった。このペースでの下落が続くと、2016年末までに為替レートは1ドルあたり155スリランカ・ルピーに到達する可能性がある。(2016年2月17日時点では1ドル=144スリランカ・ルピー)中央銀行が早期に金利を上げる決断をしない限り、スリランカ・ルピーの下落は避けられない。
楽観主義の専門家は、輸入燃料価格が2016年も低下をするだろうから、通貨価値の下落スピードも落ち着くだろうという。しかし燃料費の低下によって通貨安に歯止めがかかるというのは、燃料価格の下落の恩恵が消費者の手元に届かない場合のみである。
燃料価格が低下するとしたら、それは政府が主張するように、2016年の新たな価格算定方式が導入されるタイミングだろう。そして消費者は貯蓄を削ってでも商品やサービスの購入に向かう。この消費される商品やサービスが海外から調達されるのであれば、スリランカ・ルピーの下落は弱まることなく続いてしまう。
また2016年にはこれまで低く抑えられてきたインフレ率が、次の要因から上昇すると予想される。それはルピーの下落、国家公務員の給料増加、大幅な財政赤字、国家建設税(NBT)の倍増、そして金利を上げることを渋る中央銀行の弱気な態度が原因となる。
次回は、インフレ率が上昇することの影響についてご説明します。