都心の「先進性」と「利便性」を兼ね備えた大人の街
「恵比寿」駅は渋谷区内の南に位置しています。「恵比寿」駅の歴史は、サッポロビールの前身「日本麦酒醸造会社」が設立されたことが始まりです。もともとは日本麦酒醸造会社のビール出荷専用の貨物駅として開業し、駅名・地名は「恵比寿ビール」に由来しています。サッポロビールの生産拠点は千葉に移っていますが、現在では都心の先進性と利便性を自在に使いこなせる大人な街として栄えています。
「恵比寿」駅周辺のエリアは大きく3つのエリアに分けることができます。
まずは恵比寿で最も有名な「恵比寿ガーデンプレイス」。恵比寿ガーデンプレイスへは駅から歩く歩道「スカイウォーク」によって直結しています。ガーデンプレイス内にはオフィスやデパートなどの商業施設、レストラン、住宅、美術館などが集積した複合施設です。クリスマスシーズンはイルミネーションで彩られ、デートスポットとしても人気があります。また、ガーデンプレイス方面は高級住宅地としても知られています。
駅の北側から西側にかけては飲食店の集まる商業エリアが広がっています。気軽にランチを楽しめる店から、おしゃれなカフェやレストラン、隠れ家的なバーまで。どんなシーンにも対応できる魅力的な店がたくさんそろっており、いつでも賑わいに溢れています。
そして、駅の東側、恵比寿駅から広尾駅にかけては、住宅街エリアが広がっています。このエリアにはマンションが多く、商業エリアよりも落ち着いた印象のあるエリアです。駅前の喧騒から離れて静かに過ごすことができます。
その他にも、メディアで取り上げられることが多い「恵比寿横丁」のほか、「山種美術館」など芸術に触れられる場もあり、恵比寿には都心で暮らす大人の好奇心を満たすことができるスポットが数多く集積しています。
多種多様な路線を利用することで通勤や通学、プライベート、あらゆるシーンに対応
「恵比寿」駅からはJR山手線、埼京線、湘南新宿ライン、そして東京メトロ日比谷線の4路線が利用可能です。
都心を一周するJR山手線を使えるので、都内各地へのアクセスのよさはもちろんのこと、六本木・霞が関・銀座などのビジネス街を結ぶ日比谷線、りんかい線へ直通の埼京線を使うことで東京テレポート・国際展示場・新木場などの湾岸エリア方面へと、都心を自在に使いこなせる立地です。また、湘南新宿ラインで横浜・鎌倉・逗子などの神奈川方面、大宮・高崎・宇都宮などの北関東方面へ乗り換えなしで行くこともできます。多種多様な路線を利用することで通勤や通学、プライベートで利用するほとんどの場所へ快適に移動できます。
電車での移動手段以外にも、いくつかの主要道路が走っていて、車での移動はもちろん、都営・東急バスも運行しています。また、渋谷や代官山、広尾へも徒歩圏内と、利便性の高い立地です。
オフィスまでの通勤も、休日のちょっとしたレジャーも、どこに行くにも便利な恵比寿は、都心で働く単身者に需要の高いエリアです。
単身者比率が高く、特に女性からの人気が高いエリア
■「恵比寿」駅周辺の賃貸市場
「恵比寿」駅の賃貸市場を分析していきます。まずは賃料相場と築年数の比較です(図表2)。23区平均と比較すると、賃料相場は23区の3,339円/m2に対し、恵比寿は4,316円/m2です。また、築年平均の比較を見てみると、23区平均の21年に対して恵比寿駅の築年平均は14年と全体的に新しい建物も多いことがわかります。洗練された大人の街であり、交通利便性も高い恵比寿は人気も高く、開発も盛んなため、23区のなかでも賃料相場も高めなエリアです。
次に重回帰分析で「築年数」「徒歩分数」「面積」の3つの変数が賃料にどの程度影響を与えているかを分析します。「■徒歩・築年・面積による賃料の重回帰分析結果一覧」(図表2)を見てみると、恵比寿駅の単身者物件の月額賃料は「d.切片」の77,813円からスタートし、徒歩1分ごとに「a.徒歩」の1,501円ずつ、築年数1年ごとに「b.築年」の1,538円ずつ値下がり、面積1m2ごとに「c.面積」の2,652円ずつ値上がることがわかります。
「賃料に対する影響割合の比較」(図表2)から恵比寿駅の賃貸市場の傾向を分析すると、築年による賃料下落「b.築年/d.切片」、徒歩による賃料下落「a.徒歩/d.切片」、賃料のばらつき(市場の幅)を表す「e.標準偏差/d.切片」ともに23区平均よりも高い水準です。開発が盛んなビジネス街・繁華街で多い傾向で、リノベーションによる高い賃料設定が可能なエリアです。
■恵比寿の居住者特性
恵比寿の居住者特性を見ていきます。まずは単身者世帯の比較です。東京都ならびに渋谷区の人口のうち単身者世帯の割合(図表4)をみると、東京都全体で約45%、渋谷区で約63%です。渋谷区は代官山や原宿、渋谷などの商業施設、ファッション産業の集積した区であり、全体的に単身者の多いエリアです。恵比寿の単身者割合も約60%と高く、単身者の需要の高いエリアであることがわかります。
次に対象エリア内の居住者の年齢構成(図表5)をみると、30代と40代が突出して多く、20~49歳の割合の合計で約51%と若い世代が5割以上を占めています。洗練されており、おしゃれで飲食店も充実した大人の街という印象が30代からの指示が高い理由でしょう。また、男女比率は全体としては46:54と女性の多いエリアであることがわかります。
利便性の高さと開発で、不動産投資市場は活性化へ
■供給・需要、ともに伸びる「渋谷区」
「恵比寿」駅は副都心の一つ「渋谷区」に位置しており、ターミナル駅の「渋谷」を始め、「原宿」や「代官山」など、ファッション産業の集積している区です。
住宅・土地統計調査「借家数の変化」(図表6)によると、2008年から5年の間に23区全体で約146千戸の賃貸物件が増え、同調査による「空き家の変化」を見ると、空き家数も5年の間で全体的に増えています。「恵比寿」のある渋谷区を見てみると、供給にあたる借家数は9.4%、空家数は41.3%増加しており、やや供給の多いエリアといえます。
エリア別に貸家の住宅着工数(図表8)を見ると、東京都と23区の各年の増減は相関していることがグラフから読み取ることができます。渋谷区の供給傾向も東京都や23区の増減と似たような動きを見せおり、2000年頃から着工数の増加が見られ、2006年以降は低い水準で抑えられていることがわかります。2009年以降はまた増加傾向がうかがえ、2015年も東京都と同じく増加傾向と予測できます。
人口の推移(図表9)を見てみると、渋谷区の人口は年々増加していることがわかります。東京都によると渋谷区は2020年前まで増加傾向と予測されており、2020年より徐々に減少を始めますが、2035年の段階でも2005年とほぼ同水準と予測されています。
恵比寿においてはその利便性の高さと、開発による市場の活性化が期待でき、需給バランスの回復により中古マンションの価値にもよい影響が期待できます。
◆まとめ
「恵比寿」駅の歴史は、サッポロビールの前身「日本麦酒醸造会社」が設立されたことが始まりです。もともとは日本麦酒醸造会社のビール出荷専用の貨物駅として開業し、駅名・地名は「恵比寿ビール」に由来しています。
駅周辺には、オフィスやデパートなどの商業施設、レストラン、住宅、美術館などが集積された複合施設「恵比寿ガーデンプレイス」や、おしゃれで魅力的な飲食店の集まるエリアなど、都心で暮らす大人の好奇心を満たすことができるスポットが数多く集積しています。
不動産市場に目を向けると、賃貸市場は築年による賃料の下落傾向、賃貸市場のばらつきを表す標準偏差の値が大きいことが特徴です。リノベーションによる賃料の上昇効果の期待できる市場と分析できます。
一方、渋谷区の需給バランスを見ると供給がやや多いですが、恵比寿においてはその利便性の高さと、開発による市場の活性化が期待でき、需給バランスの回復により中古マンションの価値にもよい影響が期待できます。