「資産が勝手に減っている」と自覚する必要がある
お金に関しては、老後の生活などのために「預貯金」に努めている人も少なくありません。
しかし、定期預金の金利が6%を超え、普通預金の金利でも2%付いていたバブル期の頃ならともかく、今は銀行に預けても、定期預金では年0.01%、普通預金に至っては0.001%程度しか利子が付かない超低金利時代です。
普通預金で1000万円を預けても、100円しか利子が付かないという馬鹿げた状況下で、預貯金だけでお金を大きく増やすことは不可能です。
それどころか、ただ貯金をしているだけでは、資産は減っていく一方です。インフレが起こればモノやサービスの値段が上がります。それは逆に言えば、お金の価値が下がるということです。
つまり、現金や預貯金のまま持っている資産は勝手に価値が減少してしまうわけです。2%のインフレを目標としている日本においては、2%以上で運用をしていかなければ今の資産を維持できないとも考えられます。
「何に使っているか分からないが、なぜかお金が貯まらない」という人は多いですが、そういう人は「資産が勝手に減っている」と自覚する必要があります。
とりわけ今の日本では、財政破綻によるハイパーインフレ(物価の急高騰)と円暴落(超円安)の可能性も指摘されています。
1997年の韓国、1998年のロシア、2000年のトルコ、2001年のアルゼンチン、2008年のアイスランド、2010年のギリシャ…。過去に国家財政が破綻したり、もしくはその危機に直面したこれらの国々では、実際に通貨の価値が下落したため、預金者の資産は大きく損なわれました。そのような事態に直面したときに、「預貯金以外に何か対策をしていればよかった…」と嘆いても、もはや手遅れなのです。
「日本に限ってそんなことはない」多くの日本人は日本に過度の信頼を抱いています。しかし、そこには論理的な根拠がありません。「今までは大丈夫だったから」という単なる感覚論にすぎないのです。
これまで挙げてきたような、客観的な数字やデータを見れば、信頼よりもむしろ不安の方が大きくなるのが普通の感覚だと思います。
渋沢家が紙幣に使われる「深い意味」がある⁉
2024年に新紙幣になるというのは皆さんニュースでご存知だと思いますが、金融に詳しい人たちの中でまことしやかに話題になっていることがあります。
一万円札のデザインになる渋沢栄一さんですが、そのお孫さんは元大蔵大臣の渋沢敬三さんです。歴史に詳しい方はピンとくると思いますが、1946年に日本でデノミネーションと預金封鎖が起こった時の大蔵大臣です。デノミネーションと預金封鎖とは、簡単に言うと、古い紙幣を使えなくして新しい紙幣への交換レートを下げ、かつ強制的に預金させるということです。
つまり、今の1万円は新紙幣では5000円にしますよ、そして交換できるのは1人100万円までで、あとは全て没収しますよ、ということをするわけですが、それがわずか70年前の日本で起こっていたのです。そしてその時の大蔵大臣の渋沢家が、紙幣に使われる―何か深い意味があるのかもしれない。すなわち日本の財政破綻は2024年に向けて起こるのでは? という議論です。
さすがにデノミネーションや預金封鎖ほどの大混乱が本当に起こるとは思いませんが、こういう視点を持ってニュースを見ることが大切だと思います。
レベルの低いニュースやワイドショーで「新紙幣に起用してほしい有名人は誰?」という呑気な話題ばかり流れているのを観て、「私なら○○かな!」と考えている場合ではないのです。
マスコミ全てがそうではありませんが、多くのメディアは物事の本質や裏側にある問題点や懸念点などを伝えません。自分の身は自分で守るしかないのです。
竹田 真基
株式会社グランディル/代表取締役社長