超少子高齢化社会を迎えている日本。どんな未来が待ち受けているのか? 具体的なデータを基に見ていく。※本連載では、資産コンサルティングに携わる株式会社グランディル代表取締役社長・竹田真基氏が、資産形成を成功させるため情報の見極め方をレクチャーします。

人口は1億人を下回り、老人ばかりになる

日本は肥沃な大地もなければ、天然資源が豊富な国でもありません。当然ながら人間の生活に必要なもののほとんどを輸入に頼っています。

 

石油、石炭、鉄鉱石、LNG、天然ゴムなどのエネルギーや天然資源はほぼ100%、食料は60~70%、衣類は97%、木材は70~80%程度など、私たちの生活に絶対に欠かせないモノは見事に輸入によって支えられています。

 

これは実はたいへん危険なことで、世界中で人口が増え、モノやサービスの需要が増し、価格が高騰すると、日本人の所得が減ることなど関係なく物価が上がってしまう可能性があるということです。

 

光熱費が上がり、食費が上がり、服の値段が上がり、建築費が上がり、日本人の生活をより一層圧迫するのです。

 

さらに日本は、先進国において断トツの〝人口減少国〟となっています。[図表1]に挙げたのはG7諸国の人口推移を示したグラフです。

 

[図表1]G7諸国の人口推移 出典:国連人口統計(2006年版)を基に作成
[図表1]G7諸国の人口推移
出典:国連人口統計(2006年版)を基に作成

 

アメリカの人口は2014年に約3億2000万人だったのが、2050年には約4億200万人に増加すると試算されています。一方、日本の人口は2014年に約1億2700万人だったのが、2050年には約9700万人に減少すると予測されています。

 

アメリカが1億人近くも増えるのに対して、日本は20%以上も減り、1億人を下回ってしまうのです。また、世界全体で見ると、人口は2017年の75億人から2050年の98億人へと増加し続けます[図表2]。

 

[図表2]世界人口の推移 出典:内閣府「平成29年度版高齢社会白書」を基に作成
[図表2]世界人口の推移
出典:内閣府「平成29年度版高齢社会白書」を基に作成

 

それに対して日本は、人口減少する上に高齢化が進みます。日本の65歳以上の割合は2017年の時点で4人に1人ですが、2060年には2.5人に1人になると言われています。その結果、日本は世界一の超少子高齢社会を迎えることになるのです。

 

[図表3]日本人口の推移 出典:内閣府「平成29年度版高齢社会白書」を基に作成
[図表3]日本人口の推移
出典:内閣府「平成29年度版高齢社会白書」を基に作成

 

これほど急激な少子高齢化を経験する国は、歴史上どこにもありません。私たち日本人は、人類史上誰一人経験したことのない危機に、これから直面することになるのです。

 

これは本当に危機的な状況なのですが、なぜか多くの日本人はそこに対する備えを全くといっていいほどしていません。

年金に支給額は、現在の「半分」になる

さらに日本は今後、深刻な労働力不足に直面することになります。[図表4]に挙げた日本の労働人口の推移グラフから分かるように、2050年までに労働人口が実に3100万人も減少します。

 

[図表4]日本の労働人口の推移 出典:国立社会保障・人口問題研究所「日本の将来推計人口」(2012年1月推計)を基に作成
[図表4]日本の労働人口の推移
出典:国立社会保障・人口問題研究所「日本の将来推計人口」(2012年1月推計)を基に作成

 

昨今、すでに人手不足は大きな社会問題となっていますが、この状況はさらに悪化するのです。人口減少、高齢化、労働力不足というこれらの事実から、未来の日本が直面する問題を列挙すれば以下のようになるでしょう。

 

①企業収益の悪化による国の税収大幅減少

②人口・労働力の減少による国の税収大幅減少

③財政健全化のための大増税(2030年までに消費税20%前後)

④継続的な円安トレンド、物価のさらなる上昇

⑤介護費、社会保障費、医療費の負担増加(2050年には手取りが給与の4割になる可能性も)

⑥年金支給が78歳から。そして支給額は現在の半分へ

⑦自治体の半分が消滅へ

⑧出生率が今の半分以下へ

 

⑤について補足しておくと、政府は2018年5月、経済成長率を年2%前後とする基本ケースで、社会保障給付費が2040年度には190兆円になるとの推計を公表しました。2018年度から6割増え、特に介護は高齢者の増加で2.4倍の約26兆円に膨らむと試算されています。これはあくまでも年2%の経済成長を前提にした数字ですので、実際はさらに増加すると思います。

 

また、老後の生活を考えたときにとりわけ気になるのは、⑥の年金支給減少の問題でしょう。実はすでに年金の積立額は足りておらず、毎年約5兆円が不足していると言われています。

 

そのため、すでに財務省の審議会では「厚生年金の支給開始年齢を68歳に引き上げる」ことが検討され始めています。また一部では、国民年金を4万円、厚生年金を14万円カットする「年金カット法案」も提唱されているところです。

 

このように企業収益や国の財政が悪化する中で、日本企業の給料が上がることは望みにくく、また税金、保険料が増えることは100%間違いありません。

 

手取りは増えないのに、負担だけはもの凄い勢いで増え続けていく…これが日本人を待ち受ける未来です。

 

 

竹田 真基

株式会社グランディル/代表取締役社長

9割の日本人が知らない「資産形成」成功の法則

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竹田 真基

幻冬舎メディアコンサルティング

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