たった28年で開いた日本とアメリカの大きな差とは
お金の不安がない人生、十分な資産があり、生活費の心配をすることなく、好きなことに時間とお金を使える〝リッチ〟な生活は、手取りが少ない状態でただ貯金をしているだけでは、絶対に実現できません。
リッチな生活を送るためには、投資を行うこと。すなわち「お金を上手に働かせて着実に資産を増やしていく」ことが不可欠です。
海外では、資産形成のために投資を行うことは当然とみなされています。むしろ、投資をしなければ、お金の心配をせずに自由な生活を営むことは難しいと考えられています。運用やお金の話も皆さん大好きです。
1990年時点では、日本とアメリカの投資信託の残高差は、約60兆円程度でした(日本46兆円、アメリカ106兆円)。しかし、たった28年の間で大きな差が開いたのです。アメリカでは28年の間で投資信託の残高が約1900兆円になり、一方の日本は105兆円と少しの増加にとどまっています(図表1)。その下の図(図表2)は「国民の金融資産」全体の推移です。
アメリカは28年間で、国民の金融資産を約6500兆円増やしました。一方、日本国民の資産は780兆円程度しか増えていません(1ドル=100円換算)。
しかも、アメリカで増えた約6500兆円のうち、約8割の5200兆円は株式や投資信託などの運用資産で増えているのです。つまり投資をしているかどうかが、日本とアメリカに大きな差を生んでいるのです。
「給料だけでやりくり」は時代遅れの価値観である
また、所得のうち勤労所得と財産所得の割合を比べると、これも日本とアメリカで大きな差が見られます。図表3で示した通り、日本は8対1、アメリカは3対1です(2015年時点)。
勤労所得とは賃金、財産所得とは金融資産からの利子、配当や不動産からの賃料など、いわゆる投資から生まれる所得のことです。
例えば50万円の所得があるとすると、日本人は約45万円を給料から得ているのに対し、アメリカ人は約37万円にとどまり、より多くのリターンを投資から得ているということです。
たくさんの人が投資をする→株価や物価が上がる→所得が上がる→さらに投資ができる…という非常に理想的なスパイラルです。
しかし日本では、多くの人が金融や資産運用に関する正しい知識や理解(金融リテラシー)が不十分であるため、投資の重要性に気付いていません。もらった給料だけでやりくりするという時代遅れの価値観は、本当にいい加減捨てさってください。
これからは運用している人が得をするのではなく、運用していない人がどんどん損をしていく時代に入ります。
同じだけ働いて同じ給料をもらっても、そのお金をどこに置いておくかだけで将来の資産額は劇的に差がつきます。
ちなみに日本人の投資信託保有残高は、世界全体の2.4%程度です。GDPは世界の6.5%前後なので、経済規模に対して日本人の投資マインドが著しく低いことが分かります。国民一人ひとりがもう少しずつ投資活動に意欲を持てば、日本経済は劇的に改善し、個人の資産も必ず増えていきます。
先進国で最も金融リテラシーが低い日本人は、お金のことをもっと真剣に、前向きに考えなければならないのです。
竹田 真基
株式会社グランディル/代表取締役社長