2009年5月の内戦終結直後は8%に及ぶ経済成長率 を誇ったスリランカですが、2015年は6.3%(アジア開発銀行の統計データ )と成長率が鈍化しました。世界経済に不透明感が広がる今、2016年のスリランカ経済はどうなっていくのか、5つのテーマから分析をしていきます。

2016年は「ベア・マーケット」と予測

2016年、収益を追求するアセットマネジャーたちには困難が立ちはだかるだろう。予期されるマクロ経済上のリスクにより、勝者を予測することが難しくなるはずだ。

 

成長を追い求めるアセットマネジャーたちにとって、2015年は散々なものとなった。株式市場は過酷なものとなり、債券市場は安全である一方で、利回りが低かった。

 

しかし、2016年の経済見通しは、さらに暗いものとなっている。なぜなら2016年はマクロ経済安定化に関する課題が、ますます難しいものになる可能性があるためだ。昨年は安全な逃避先とされた債券市場も、利率とインフレ率のいずれもが徐々に上昇しているために、安定性を欠くだろう。

 

どのアセットマネジャーもマクロ経済上の成長に対し、これまでになく厳しい視線を向けている。2016年はベア・マーケット(弱気の市場)になるとの見通しは避けられず、安全な逃避先は限られている。昨年、景気の悪化が明らかになるにつれ、一部の投資家が現金の保有に走ったが、インフレ率が上昇する今では、現金での保有も安全ではなくなっている。

 

この連載では、アセット・アロケーションにおける意思決定に大きな影響を及ぼす、マクロ経済上のテーマを5つ(民営化・コモディティ市況・インフレ・新興国経済・国際収支)を取り上げて分析をしていく。

歓迎したい「国有企業の民営化」の路線

【1.国有企業の民営化】

国有企業の民営化が経済アジェンダに返り咲いた。民営化を進めれば、政府は2016年度の財政赤字を減らせるかもしれない。また、民営化を進めることは、スリランカ企業にとっても、買収による成長局面に進む可能性を持つだろう。

 

大型の投資、中でも外貨収入を得ている企業に対する投資は、外貨建てでできる。税控除の後押しを受け、スリランカの債券市場も急成長を遂げた。そして、今や企業にも買収に向けた資金調達をする選択肢が与えられている。


次回は、スリランカ政府による民営化計画の中身をご紹介します。

この連載は、GTACが提携するスリランカのメディア「ECHELON」が2016年1月に掲載した記事「THE BEAR YEAR」を、翻訳・編集したものです。

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