ライディックス株式会社代表取締役で、多くの資産家のサポートを行っている山上晶則氏が、「入居者募集」をする上で重要なポイントを解説します。

不動産会社に「入居者募集」を依頼する方法は3種類

投資用不動産の所有者になったら、賃貸経営が始まります。入居者の募集は一般に、物件の沿線や最寄りの駅前で店舗を構えている賃貸専門の不動産会社に依頼します。いまはインターネットでの広告が当たり前になり、店舗の立地は以前ほど関係なくなりましたが、不動産会社がそれでも周辺の賃貸市場の動向に詳しいかどうかはやはり重要です。

 

入居者の募集を不動産会社に依頼することは、専門用語では媒介(仲介)に当たります。そして、不動産会社とは媒介契約を結びます。媒介契約には「一般媒介」「専任媒介」「専属専任媒介」の3種類があります。

 

「一般媒介」は複数の不動産会社に頼むことができるもので、通常はそれぞれに他社にも依頼していることを通知します。「専任媒介」は一社のみに依頼するものですが、依頼者(オーナー)が自ら入居者を見つけてくることもできます。「専属専任媒介」は、一社のみに依頼するだけではなく、依頼者が自ら入居者を見つけてきた場合にも所定の手数料を支払うものです。

 

信頼できるところ一社に任せたほうが煩わしくなく便利だと思えば「専任媒介」や「専属専任媒介」で契約すればよいでしょう。特に、物件の管理も一緒に任せる場合は、「専属専任媒介」が適していると思います。募集だけでなく、鍵の管理、入居者の審査、契約書の締結などを一元化でき、手間が省けます。

 

一社のみだと入居者の募集が不利になるのではという心配があるかもしれません。しかし、いまは不動産業界でもインターネットが普及しており、広告の面でさほど違いはないでしょう。また、「専任媒介」や「専属専任媒介」で依頼された不動産会社では、入居者を広く募集するために他の不動産会社に積極的に声を掛けるのが一般的になっています。無理に自社だけで入居者を探そうとしても、契約できなければ意味がないからです。

 

この場合、オーナー側から依頼を受けた不動産会社を「元付業者」、入居者を探してくる不動産会社を「客付業者」といったりします。

 

 

もちろん、「一般媒介」によって一社だけでなく複数の不動産会社に依頼することも可能です。この場合、依頼した不動産会社がそれぞれ自社のサイトなどで募集してくれます。また、『スーモ』『ホームズ』『ヤフー不動産』など不動産情報サイトへの掲載についても、一社ですべてのサイトと契約していることはほとんどないので、複数の不動産会社に依頼することで掲載モレを少なくすることができます。

 

ただし、複数の不動産会社に頼んだ場合、入居者の募集中はすべての不動産会社との間でやり取りしなければならず、手間がかかります。契約書の内容も統一しておかないと、後で入居者とトラブルになりかねません。

 

さらに、不動産会社としては他の業者にも声を掛けているのが分かっているので、テンションが上がらないということもあるでしょう。その場合、入居者が決まった段階で広告手数料(家賃1カ月分相当)を支払うのはもちろん、契約事務手数料やさらに物件の管理を依頼することなどを条件にしてみるとよいでしょう。

 

仲介会社を自分の味方につけて、入居者募集においてその力を十分活用させてもらうという発想が重要です。

入居募集の初期から「賃料」を譲歩するのは禁物

入居者の募集にあたっては毎月の賃料、敷金、礼金の額を決めます。「賃料」はそれぞれエリアごとに相場があります。最初は少し高く出してみて、反応が悪ければ賃料を下げていくやり方もありますが、空室期間が長引くことになりやすいので、最初から入居者が付きやすい金額で募集したほうがいいと思います。

 

逆に、敷金や礼金は受け取るほうがいいでしょう。「敷金」とは、入居者による賃料の未払いや建物の損傷などのリスクに備えるため、預かっておくお金です。最近、東京では月額賃料の1カ月分ということが多いようです。入居者が部屋を退去する際には、賃料の未払い分や入居者の責任による損傷の復旧費などを差し引いて入居者に返却します。

 

「礼金」は、賃貸借契約が成立したり、契約を更新したりする際に受け取るもので、返却の必要はありません。東京ではこちらも月額賃料の1カ月分ということが多いようです。以前は「ゼロゼロ物件」といって、敷金なし、礼金なしのアパートやマンションがありました。しかし、借りやすい分、収入が不安定な入居者も多く、トラブルになりやすい傾向があります。

 

なお、入居者が見つかり賃貸借契約を結んだら、媒介(仲介)してくれた不動産会社には1カ月分の広告費を支払うのが一般的です。

「コンパクトアパート」ではじめる超ローリスク不動産投資

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山上 晶則

幻冬舎メディアコンサルティング

2016年3月に不動産調査会社「タス」が行った調査によると、首都圏賃貸アパートが「空室率30%超」となっています。今後もさらに日本の人口減少は続き、その一方で貸家着工数は増え続けているため、多くの不動産オーナーが空室…

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