本連載は、毎回東京23区内の1つの駅とその周辺を取り上げ、不動産投資の観点で地域のポテンシャルを分析していきます。今回は、新宿区・「西新宿五丁目」駅。

新宿・高層ビル群に隣接した閑静な住宅街

西新宿五丁目は東京の西側、新宿区に位置しています。東京都庁が丸の内から新宿区西新宿へ移転したことにより設置された都営大江戸線の駅です。“新宿”というイメージから常に人で賑わっているイメージを持つことが多いですが、西新宿五丁目は、“新宿”といっても静かな街です。

 

「西新宿五丁目」駅付近は「新宿」駅の北側の住宅地エリアのなかでも、落ち着いた雰囲気を持った閑静な住宅地といったエリアです。駅周辺は単身者向けのマンションやタワマン、オフィスが混在して建ち並んでおり、通りから一本入ると戸建てや集合住宅で構成された古くからの住宅地になっています。「新宿」駅から程よい距離があり、都会の利便性と閑静な住宅地の住みやすさがミックスされた、職住のバランスがよいエリアです。

 

商業施設を見てみると、駅周辺にスーパーやコンビニ、郵便局、飲食店などの生活施設が点在しています。飲食店や商業施設の数はやや少なめですが、単身生活を送る上では不便はないでしょう。

 

また、駅から東へ進んだ場所に広がっている新宿中央公園は緑がとても豊富です。ちびっこ広場や多目的運動場、芝生広場なども整備されており近隣に住んでいる人々や周辺の高層ビル群で働いているビジネスマンの憩いの場になっています。公園内に鎮座する熊野神社では毎年9月に熊野神社例大祭が開催され、多くの人で賑わいます。

 

写真左より、通り沿いにはマンションやオフィスビル、専門学校が並ぶ/毎年9月に例祭が開催される「熊野神社」/新宿の高層ビル群に隣接する「新宿中央公園」
写真左より、通り沿いにはマンションやオフィスビル、専門学校が並ぶ/毎年9月に例祭が開催される「熊野神社」/新宿の高層ビル群に隣接する「新宿中央公園」

 

山手線「新宿」駅も、丸ノ内線「中野坂上」駅/「西新宿」駅も徒歩圏内

 

[図表1]1回の乗り換えで、都心のあらゆる街にアクセスできる
[図表1]1回の乗り換えで、都心のあらゆる街にアクセスできる

 

「西新宿五丁目」駅は都営大江戸線が利用可能です。東京都庁が丸の内から新宿区西新宿へ移転したことにより設置された、比較的新しい駅です。

 

「西新宿五丁目」駅を通る路線は都営大江戸線のみですが、地下の山手線といわれている都営大江戸線は「六本木」や「汐留」といったオフィスエリアへアクセス可能です。また、都営大江戸線で「新宿」駅へ4分と近く、「新宿」駅へ乗り継ぐことで都内を一周できるJR山手線はもちろんのこと、他JR各線、東京メトロ各線、西武線など、多種多様な路線が利用可能です。新宿は徒歩圏内なので、終電を逃しても徒歩で帰れる距離なのも大きな魅力です。

 

駅から10~15分ほど歩けば丸の内線の「中野坂上」駅や「西新宿」駅も利用でき、新宿駅の混雑を避けたい人はこちらの駅を利用することも視野に入ります。大きな通りも近いため、バスでの移動や休日での自動車での移動にも便利なエリアです。

新宿隣接の好立地!賃料は相場よりやや高め

「西新宿五丁目」駅周辺の賃貸市場

西新宿五丁目の賃貸市場を分析していきます。まずは賃料相場と築年数の比較です(図表2)。23区平均と比較すると、賃料相場は23区の3,339円/m2に対し、西新宿五丁目は3,738円/m2。新宿の隣というだけあってやや賃料相場の高いエリアです。

 

次に重回帰分析で「築年数」「徒歩分数」「面積」の3つの変数が賃料にどの程度影響を与えているかを分析します。「■徒歩・築年・面積による賃料の重回帰分析結果一覧」(図表2)を見てみると、西新宿五丁目の単身者物件の月額賃料は「d.切片」の70,860円からスタートし、徒歩1分ごとに「a.徒歩」の1,189円ずつ値下がり、築年数1年ごとに「b.築年」の1,145円ずつ値下がり、面積1㎡ごとに「c.面積」の1,899円ずつ値上がることがわかります。

 

「賃料に対する影響割合の比較」(図表2)から西新宿五丁目の賃貸市場の傾向を分析すると、西新宿五丁目は築年による賃料下落「a.徒歩/d.切片」「b.築年/d.切片」は平均よりやや大きく、標準偏差の割合「e.標準偏差/d.切片」の割合は平均的です。「a.徒歩」「b.築年」による影響がともに高いのは都心の繁華街などで見られる傾向で、商業施設やマンション開発による影響と考えられます。

 

[図表2]西新宿五丁目の賃貸市場分析

[図表2]西新宿五丁目の賃貸市場分析
 
[図表3]西新宿五丁目の築年数別平米賃料の分布図  ※[図表2、3共通]リズムマンションDBより作成(データは2015年12月末日現在のデータです)※賃料単価は平均値であり、平米数を乗算した価格が必ずしも相場と一致するものではありません※重回帰分析は築10~30年、16㎡以上30㎡未満の物件から算出しています
[図表3]西新宿五丁目の築年数別平米賃料の分布図

※[図表2、3共通]リズムマンションDBより作成(データは2015年12月末日現在のデータです)※賃料単価は平均値であり、平米数を乗算した価格が必ずしも相場と一致するものではありません※重回帰分析は築10~30年、16㎡以上30㎡未満の物件から算出しています

 

西新宿五丁目の居住者特性

西新宿五丁目の居住者特性を見ていきます。まずは単身者世帯の比較(図表4)です。東京都ならびに新宿区の人口のうち単身者世帯の割合をみると、東京都全体で約47%、新宿区で約62%です。新宿区は東京都のなかでも単世帯も多いエリアです。

 

西新宿五丁目の単身者割合を見てみると67%と新宿区の中でも高い水準ですが、2010年から2015年の推移をみると、単身者割合・数ともに微増といったところです。西新宿五丁目エリアは現在でもマンション開発が行われており、単身者数の増加が期待できます。

 

また、対象エリア内の居住者の年齢構成(図表5)をみると20~40代が多いことがわかります。その利便性から職住近接を求める若い単身層に人気が高く、20~40代をあわせて全体の54%を占めています。

 

[図表4]地域別1人世帯と2人以上世帯の割合
[図表4]地域別1人世帯と2人以上世帯の割合

 

[図表5]地域別男女・年齢構成比
[図表5]地域別男女・年齢構成比

再開発でエリアのさらなるバリューアップに期待

再開発で中古マンションの価値にもよい影響が期待できる「西新宿五丁目」​

「西新宿五丁目」駅のある新宿区は、日本有数の繁華街が形成されている「新宿」駅周辺をはじめ、都庁を中心とした新宿副都心の高層ビル群、そして落合地区にはベッドタウンが形成されています。その他にも早稲田大学をはじめとした教育施設、慶応義塾大学病院などの医療施設、広さ53haを誇る緑地環境の新宿御苑など、様々な施設・要素が集積している区でもあります。

 

住宅・土地統計調査「借家数の変化」(図表6)によると、2008年から5年の間に23区全体で約146千戸の賃貸物件が増え、同調査による「空き家の変化」(図表7)を見ると、空き家数も5年の間で全体的に増えています。西新宿五丁目のある新宿区を見てみると、借家数は約6,000戸と増え、空家数は約4,000戸増加しています。供給は調整されていますが、それでもやや供給のほうが多く空き家が増えているエリアといえます。

 

エリア別に貸家の住宅着工数(図表8)を見ると、東京都と23区の各年の増減は相関していることがグラフから読み取ることができます。新宿区の供給傾向も東京都や23区の増減と似たような動きを見せおり、2000年頃から着工数の増加が見られ、2006年以降は低い水準で抑えられていることがわかります。2009年以降はまた増加傾向がうかがえ、2015年、2016年も東京都と同じく増加傾向と予測できます。

 

人口の推移(図表9)を見てみると、新宿区の人口は年々増加していることがわかります。東京都によると新宿区の人口は2025年まで増加すると予測されています。一方、単身者数については2035年まで増加傾向と予測されています。

 

西新宿五丁目においても2010年から2015年で単身者数は増加しています。西新宿五丁目エリアは利便性も高く今後も単身者需要は一定数見込めると予測できます。また、再開発が進められているエリアなので不動産価値においても、よい影響が期待できます。

 

[図表6]地域別借家数の推移
[図表6]地域別借家数の推移

 

[図表7]地域別空き家になっている賃貸住宅数の推移

[図表7]地域別空き家になっている賃貸住宅数の推移

 

[図表8]地域別住宅着工数の推移
[図表8]地域別住宅着工数の推移

 

[図表9]新宿区の人口推移
[図表9]新宿区の人口推移

 

 まとめ 

西新宿五丁目は東京の西側、新宿区に位置しており、東京都庁が丸の内から新宿区西新宿へ移転したことにより設置された都営大江戸線の駅です。“新宿”というイメージから常に人で賑わっているイメージを持つことが多いですが、「西新宿五丁目」駅付近は「新宿」駅の北側の住宅地エリアのなかでも落ち着いた雰囲気を持った閑静な住宅地。「新宿」駅からも程よい距離があり、都会の利便性と閑静な住宅地の住みやすさがミックスされた、職住のバランスがよいエリアです。

 

賃貸市場に目を向けると、賃料相場は新宿至近という好立地からやや高めなエリアです。マンション開発も盛んなため、築年による影響はやや大きく出ています。一方、不動産市場全体で見ると新宿区は単身者数の増加が予測されており、西新宿五丁目も単身者需要の非常に大きいエリアなので、今後も安定した不動産市場と予測できます。

 

本連載は、リズム株式会社が発信する「エリアレポート」の記事を抜粋・編集したものです。

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