株式会社松堀不動産、代表取締役社長堀越宏一氏の著作『利回り20%を実現する コインランドリー投資』より一部を抜粋し、近年の日本の社会的変化から、コインランドリー投資急成長の理由を探ります。

現在のコインランドリー利用者の約7割は「主婦」

アパート・マンション投資もダメ。コインパーキング投資もダメ。トランクルーム投資もダメ。でも、手放し経営で資産を増やしたい・・・。一体どうすればいいのでしょう。筆者はその回答としてコインランドリー投資をお勧めします。

 

コインランドリー投資は「手放し経営」「融資による資金調達」といったアパート・マンション投資とほぼ同じスキームで行えます。毎日、本業で忙しい投資家でも安心して経営でき、開業資金は金融機関が融資してくれるのでレバレッジ効果も狙えるのです。

 

しかも、やり方次第でアパート・マンション投資よりも赤字になる可能性が極めて低く、それどころか利回り20%も実現可能です。

 

「そんな虫のいい話があるか。あのコインランドリーで!?」と思うかもしれません。確かに、かつてのコインランドリーは、アパートに洗濯機がない男性が行く「汚い」「暗い」「狭い」場所でした。しかし、今は違います。あるコインランドリー機器メーカーの調査では、コインランドリー利用者の約7割が主婦なのです。

 

つまり、現在のコインランドリーのメインターゲットは女性です。そのため、流行っている店の多くは、「清潔」「明るい」「広々」とした空間になっています。なぜ、そのように変化したのか。その理由と投資対象としての魅力を次項以降で説明しましょう。

共働き世帯増加、アレルギー患者増加、降水量増加…

現在、コインランドリー市場は急激に成長しています。厚生労働省の『コインオペレーションクリーニング営業施設に関する調査(施設数)』によると、1999年度に1万1843件だったコインランドリーは、14年後の2013年には1万6693件に達しました。その後も成長は続いており、2017年度は2万件を超える見込みです。

 

[図表1]コインランドリーの施設数 出典:厚生労働省 『コインオペレーションクリーニング営業施設に関する調査(施設数)』(2014)
[図表1]コインランドリーの施設数
出典:厚生労働省『コインオペレーションクリーニング営業施設に関する調査(施設数)』(2014)

 

また、2017年11月8日付の『日経MJ』では、2016年度のコインランドリーの売上高が44.5%伸びたと報じています。この急成長の背景にはさまざまなことがあります。主なものとしては次の三つのことが考えられるでしょう。

 

1.共働き世帯の増加

 

1980年以降、共働き世帯は年々増加し、1997年には専業主婦世帯の数を上回りました。そして2017年の共働き世帯数は1188万世帯と、641万世帯の専業主婦世帯を大きく上回っています(出典:独立行政法人 労働政策研究・研修機構)。

 

その背景には、経済的な理由だけではなく私たちの意識の変化も大きく関与しています。『男女共同参画白書平成28年版』(内閣府)によると、「夫は外で働き、妻は家庭を守るべきである」に賛成の人は、1979年時点は男性35.1%、女性29.1%でした。ところが2014年には男性14.2%、女性11.2%にまで減少しています。

 

また、あるコインランドリー機器メーカーの利用者年齢層調査では、1位30代(31%)、2位40代(27%)、3位50代(19%)でした。つまり、子育て世代が約8割を占めるということです。さらに、前述のように利用者の約7割は主婦。これらのことからコインランドリーを利用する人の多くは、働くママだということが分かります。

 

[図表2]コインランドリー利用者数
[図表2]コインランドリー利用者数

 

あるコンサルティング会社の試算によると、2014年から2016年の3年間で増えた共働き世帯の所得は約9000億円。そのうち2000億円は消費に回っています。

 

このように所得が大きく増加した背景には、1990年代まで主流であった夫の収入を補うために主婦がパートで働く、というよりも、女性の社会進出を後押しする政府の働き方改革があるでしょう。夫婦ともに正社員としてフルタイムで働く世帯が増えているのです。

 

[図表3]専業主婦世帯と共働き世帯 出典:独立行政法人 労働政策研究・研修機構
[図表3]専業主婦世帯と共働き世帯
出典:独立行政法人 労働政策研究・研修機構

 

月曜から金曜までフルタイムで働けば、家事は土曜・日曜にまとめてするしかありません。しかし、子育て世代の洗濯物は大量です。一般的な家庭用洗濯機の容量は7㎏前後ですから、1日で終わらせようとすれば洗濯機を4~5回回さなければならないでしょう。これはかなりの重労働です。さらに、それを全て干し終わるころには日が傾いてしまうこともあるはずです。

 

一方でコインランドリーの業務用洗濯乾燥機の容量は最大35㎏あります。これを利用すれば、洗濯から乾燥まで一気に片づいてしまいます。このことからコインランドリーは、働くママたちの時短家事にとって、なくてはならない施設になりつつあるのです。

 

2.花粉やダニによるアレルギー症状に悩む人の増加

 

日本は今、花粉によるアレルギー症状に悩む人が増え続けています。厚生労働省の『アレルギー疾患の現状等』で確認すると、アレルギー性鼻炎(花粉によるものを含む)で継続的に医療を受けている人の数は2002年の時点では約40万人でしたが、2014年には約65万人と約1.6倍に増加しました。

 

これは、あくまでアレルギー性鼻炎で医療を受けている人に限った人数で、その他の疾患や医療を受けていない人も含めると、日本人の約2人に1人が何らかのアレルギー疾患を持っているといわれています。

 

また、アレルギー症状の原因物質には、花粉の他にダニなどもあります。ダニがついた衣類は、家の洗濯機で洗えば落ちると思うかもしれません。しかし、専門家によるとダニは環境の変化に強く、酸素が少なくても生きていけるそうです。そのため洗剤液の中に沈めて2時間経っても死にません。

 

ところがダニは60℃の熱に当てれば、ほぼ瞬時に死滅します。そこでコインランドリーです。家庭用の電気ではなく強力なガスを使用するコインランドリーの乾燥機の温度は約70℃。手軽で非常に有効なダニ対策となります。

 

しかも、衣類だけでなく、生地が厚い分よりダニの巣となりやすい羽毛布団やカーペットも、コインランドリーで洗濯・乾燥すればダニを退治できます。アレルギー疾患の症状軽減や予防のためには、花粉が飛散する季節に洗濯物を外に干すのは厳禁です。また、ダニの心配は一年中といえるでしょう。ですから、大量の洗濯物を一度に高温で乾かせるコインランドリーに注目が集まっているのです。

 

ちなみに花粉の飛散や雨の多い季節は、洗濯は家でやり、乾燥だけコインランドリーで行う人が増えています。

 

3.日本の降水量の増加

 

ここ数年で「ゲリラ豪雨」という言葉が一般化しました。実際に日本の降水量は増加しています。気象庁のデータによると、1時間当たり50㎜以上の「非常に激しい雨」はここ30年で1.3倍に増えています。

 

また、1時間当たり80㎜以上の「猛烈な雨」はここ30年で1.7倍に増加しています。IPCC(国連気候変動に関する政府間パネル)によると、降水量が増えている原因は、地球温暖化や世界の水環境の変化、雪氷の減少などがあり、今後も世界的に大雨の頻度が増加する可能性が非常に高い、としています。

 

雨の日が増えれば、当然洗濯物を外で干せる日は減ります。地球環境にとっては見過ごすことのできない傾向ですが、これによってコインランドリーのニーズは、今後、ますます高まっていくはずです。

日本のコインランドリーの普及率は、まだ5%程度

このように、コインランドリーは時代から求められています。にもかかわらず、日本人でコインランドリーを利用したことのある人の割合は、わずか5%と言われています。欧米諸国が20%を超えていると言われているので、まだまだ普及の余地があります。

 

これは日本の洗濯労働市場の規模を見てもよく分かります。同市場規模は約5・2兆円といわれ、そのうちの4.7兆円(90%)は家事での洗濯、つまり無償労働です。残る約4000億円(8%)がクリーニング市場で、コインランドリー市場は約1000億円。たった2%しかありません。

 

とは言え、家事は前述のようにお金を費やしてでも時短にしたい時代です。そしてクリーニング市場は、1992年には約5万施設ありましたが、2017年には約2万3500施設と半数以下になっています。これは高いお金を払ってクリーニングに出すのではなく、できるだけ自分で洗濯をしたいという人が増えている証拠でしょう。まさに、これからがコインランドリーの時代と言えるのです。

 

コインランドリーのようなサービスや商品が普及していく傾向を予測する目安に、イノベーター理論というものがあります。これは1962年にスタンフォード大学(アメリカ)のエベレット・M・ロジャース教授が提唱したもので、新商品やサービスを導入した際の人間の対応を次の五つに分類する理論です。

 

1.イノベーター(全体の2.5%)

新しいものを積極的に試してみる革新者とも呼ばれるグループです。スマートフォンが出たときにすぐに購入したような人たちです。

 

2.アーリーアダプター(全体の13.5%)

イノベーターほどではありませんが流行に敏感で、積極的に最新情報を収集して自分の価値基準で新しいものを取り入れるグループです。この中にはインフルエンサーが多く、ときには他の人たちの消費活動に大きな影響を与えます。

 

3.アーリーマジョリティ(全体の34 %)

新しいものに対して基本的に慎重なグループです。周りや世間の様子をよく分析してから新しいものを取り入れます。

 

4.レイトマジョリティ(全体の34%)

アーリーマジョリティーよりも慎重で、疑り深い傾向があります。周りのほとんどの人が利用しているのを確かめてから新しいものを試します。

 

5.ラガード(全体の16%)

流行にほとんど左右されず、自分の価値判断のみで商品やサービスを選択する人たちのグループです。例えばいまだにスマートフォンを使用しない人もこのグループに入るでしょう。

 

新しいサービスや商品は、基本的にイノベーターからラガードへと普及していきます。そしてロジャース教授は、イノベーター(2.5%)とアーリアダプター(13.5%)を足した16%のラインが非常に重要だと論じました。普及率が16%を超えるとブームとなり、爆発的に利用する人が増える傾向があるからです。

 

日本のコインランドリーの普及率(利用率)は、まだ5%程度。やっと流行に敏感なアーリーアダプターが利用し始めたばかりといったところです。しかし、このアーリーアダプターには、SNSなどで情報を拡散してくれるインフルエンサーも多数存在します。この人たちがコインランドリー人気に火をつけてくれるのは時間の問題でしょう。

 

 

堀越 宏一
株式会社松堀不動産 代表取締役社長

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    堀越 宏一

    幻冬舎メディアコンサルティング

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