オーナー自ら動く必要がなく、強力なライバルも不在
社会の状況や地球環境などが求めているにもかかわらず、今のところ十分に普及していないコインランドリー。これだけ好条件が揃った投資先はなかなかありません。
しかも、他にも非常に重要な好条件が存在しています。それはオーナー自身がほとんど動かなくてよい上に強力なライバルが不在ということです。コインランドリーは、基本的に常駐スタッフは必要ありません。なぜなら、お客様が機械にお金を入れれば自動で洗濯や乾燥をしてくれるからです。しかもその機械自体も稼働率は12%から16%程度。「いつのぞいても人がいない」と思えるのは、そのためです。
詳しくは書籍『利回り20%を実現する コインランドリー投資』の第6章で説明していますが、それでも月間120万円の売上と、利回り20%が期待できます。つまり図表1を見れば分かるように他のビジネスに比べて圧倒的に手間がかからないのです。営業活動必要なし。売掛金回収必要なし。スタッフの雇用・教育必要なし。在庫管理必要なし。運転資金必要なし。
一般的なビジネスで障害となるほとんどのことが必要ないのです。ただし、店舗の清掃や機械からの集金など日常の細々とした作業は必要です。これは専門業者に任せればいいので、詳しくは本書(「利回り20%を実現するコインランドリー投資」)第7章で解説します。
これほど条件のいいビジネスは、他にアパート・マンション投資くらいしかないでしょう。それなのにアパート・マンション投資より圧倒的に高利回りが期待できます。そして強力なライバル不在に関しては、まず代表的なフランチャイズ例としてコンビニエンスストアのシェア(店舗数)を見てみましょう。
ユニー・ファミリーマートホールディングス競合レポートによると、2018年時点での店舗数のシェアは次のようになっています。
セブン‐イレブン :34.7%
ファミリーマート :26.9%
ローソン :23.9%
サークルKサンクス :2.6%
その他 :11.9%
上位4社で約9割を占めているのです。この状態から新規参入してトップシェアを獲得するには、途方もない巨大な資本と世界レベルのノウハウが必要でしょう。とても現実的ではありません。
一方でコインランドリーの上位4社はこのようなシェア(店舗数・2017年)になっています。
A社 :約2.2%
B社 :約1.8%
C社 :約1.1%
D社 :約1%
その他:93.9%
トップ4を全て足しても全体の1割にもなりません。つまり、圧倒的競合が存在していないのがコインランドリー市場なのです。従ってやり方次第では、たとえ中小企業であってもトップシェアを狙える=市場の決定権を握れる状態です。
「時代が求めている」「まだまだ伸びしろがある」。それにもかかわらず「参入障壁が低い」「圧倒的競合が不在」。コインランドリーは、近年まれに見るブルーオーシャン市場と言えるでしょう。
賃貸住宅以上の節税効果で「相続対策」も可能
コインランドリーは相続対策としても有効な手段です。皆さんの中には、資産運用だけでなく相続税対策のためにもアパート・マンション投資を行っている人も多いと思います。
確かに投資用アパート・マンションを所有することは、節税に大変有効です。その理由は、ご存じかもしれませんが、ここでおさらいしておきましょう。2015年1月、相続税に対する基礎控除額が以下のように引き下げられました。
改正前 5000万円+1000万円×法定相続人の数
改正後 3000万円+600万円×法定相続人の数
(例)遺産総額が8000万円で、相続人が妻と子ども2人の合計3人だった場合
【改正前の基礎控除額】
5000万円+1000万円×3人=
8000万円遺産総額8000万円-基礎控除額8000万円=0円
→相続税は発生しない。
【改正後の基礎控除額】
3000万円+600万円×3人=
4800万円遺産総額8000万円-基礎控除額4800万円=3200万円
→3200万円に対して相続税がかかる。
この改正によって課税対象者が大幅に増えてしまったのです。その対策とされているのが「相続した事業の用や居住の用の宅地等の価額の特例」(小規模宅地等の特例)です。これは被相続人の宅地や賃貸住宅用地、事業用地に対しての評価額を上限面積分まで50~80%減額するものです。
減額の対象となるのは、被相続人の自宅用(特定居住用宅地等)または、会社などの事業用(貸付事業用宅地、特定事業用宅地等)の土地です。なお、相続開始前3年以内に贈与により取得した土地や相続時精算課税に係る贈与によって取得した土地は、この特例に適用できません。
これらの相続人になるには、元々被相続人と同居していたり、事業を引き継いでいたりといった条件があります。すでに自宅を購入している方や他社のサラリーマンを続けようとする人には当てはまりません。アパート・マンション用地の場合は、この貸付事業用宅地と見なされ、200㎡まで相続税評価額が50%減額されます。
例えば、前述の資産8000万円のうち5000万円分が200㎡以下のアパートが立っている土地だったとすると以下のようになります。
5000万円×50%=2500万円(「小規模宅地等の特例」による減額)
土地の評価額2500万円+その他の遺産額3000万円=5500万円
5500万円-基礎控除額4800万円=700万円
つまり、3200万円だった相続税の課税対象額が、700万円になるのです。この節税効果を期待して、多くの資産家が賃貸住宅へ投資しました。
ところが、コインランドリーへの投資は、さらに大きな節税効果があります。なぜならコインランドリーとして使用される土地は、特定事業用宅地等に当てはまるからです。特定事業用宅地等を相続する場合は、400㎡まで評価額が80%減額されます。従って、前述の資産8000万円のうち5000万円分が400㎡以下のコインランドリー用地だったとすると、納税額は次のようになります。
5000万円×20%=1000万円(「小規模宅地等の特例」による減額)
土地の評価額1000万円+その他の遺産額3000万円=4000万円
4000万円≲基礎控除額4800万円
要するに相続税を納税する必要はなくなります。このようにコインランドリーへの投資は、賃貸住宅以上の節税効果を生むのです。
また、子どもが複数いる場合などの相続は、いかに円満に資産を分割するかが大きな問題になるでしょう。自宅、預貯金、株式、アパート、マンション、金・・・。資産運用を行う際、リスクヘッジのために多様なポートフォリオを組むことは必須です。
しかし、いざ相続となるとこれが大きなネックとなります。仮に自宅を相続する場合は、相続人全員の同意がなければ売却できません。だからといって納税するためには多額の現金が必要になります。
また、たとえ時価が同じであっても「兄は現金。弟は株式」といった分割方法では、いざこざの火種となってしまいます。このように円満な資産分割が難しいことから、相続を「争続」と書き表すこともあります。相続を「争続」にさせない秘訣は、資産をあらかじめ相続人の数できれいに分割できるようにしておくことです。
例えば、妻と兄弟・姉妹の人数分だけコインランドリー店を経営していれば、課税対象額を小規模宅地等の特例によって圧縮できるだけでなく、きれいな資産分割が可能になります。ただし、円満な分割のためには、事前に各相続人の希望をヒアリングし、その希望に合わせた店舗を購入する必要があります。
堀越 宏一
株式会社松堀不動産 代表取締役社長