コインランドリー投資において重要なポイントのひとつが立地です。どのような土地に出店するのがベストなのか。今回は、コインランドリーの立地について見ていきます。本連載では、コインランドリー投資のメリットと、具体的な運営方法について、基本からやさしく解説します。

店舗を構える土地は、市場調査と事例を根拠に見極める

コインランドリーを開店する土地は、借りるのではなく買うべきです。しかし、店舗を構える土地は、ただ安ければいい、というわけにはいきません。ここは綿密な市場調査と過去の事例を根拠として、絶対に勝てる立地を見極めなければならないのです。土地の選択時にこだわるべき項目は次のように多岐にわたります。

 

•敷地面積

 

私たちの経験上、月間120万円(利回り20%)の売上を目指すなら、敷地面積は100坪以上、駐車場は6台以上必要です。だからといって広ければ広いほどいい、というわけではありません。次に説明する地価や利回りとのバランスなどから200坪が限度と見るべきです。

 

•適正な地価

 

いくら良い立地条件でも、地価が高すぎて毎月の返済額が多くなってしまえば、利回りは悪化します。そこで適正な地価の見極めが重要になります。私のお勧めするエリアは、都市近郊で、30~50代の主婦が活躍する場所です。このようなエリアのロードサイドの適正な坪単価は20万円前後。つまり100坪なら2000万円です。

 

そして、土地というものは広ければ広いほど単価が下がっていくので、200坪なら3500万円程度になるでしょう。この金額が適正価格の上限といえます。

 

•用途地域

 

日本の各種建物は、用途地域などによって建築の可否が定められています。コインランドリーの場合、「市街化調整区域」「非線引き区域」「第一種低層住居専用地域」「第二種低層住居専用地域」「第一種中高層住居専用地域」には建てることができません。

 

•生活道路沿い

 

生活道路とは、周辺住民が日常的に利用する道です。具体的には近くにスーパーなどの商業施設や市役所などの公共施設があって、常に活気がある道路です。この活気というのがコインランドリー投資において最も重要です。活気があって、人の入れ替わりが激しい道路沿いであれば、毎日認知度がアップしていき、それに比例して新規のお客様も増えていきます。

 

この生活道路というのは、住宅地の近くとは限りません。最近は住宅地から離れた郊外に大型ショッピングモールや家具店が出店することが多くなっています。これらの施設に接する道路沿いは非常に狙い目です。洗濯している間に買い物を済ませようとするお客様を取り込めるからです。

 

一方で住宅地の中心も良いように思えるかもしれませんが、あくまで生活道路沿いであることが前提となります。住宅地であっても車通りの少ない道路沿いでは、認知度が広がらないので長期間に渡る売上アップは期待できません。とにかく生活道路沿いということがなによりも大事なのです。

 

•片側一車線道路で中央分離帯のない道路沿い

 

コインランドリーをオープンさせるなら、生活道路沿いであることが大前提です。しかし、それだけではまったく不十分といえます。私たちがお勧めするコインランドリーのメインターゲットは専業主婦、または働くママです。これらの人たちの多くは、車の運転にあまり慣れていません。そのため大型トラックが高速で頻繁に往来する片側二車線以上の道路は走りたくないものです。

 

また、中央分離帯のある道路は、反対車線から入るために迂回しなければならないので敬遠されがちです(交差点の角地は除く)。そのため店舗に接する道路は、生活道路であることにプラスして制限速度40㎞以下の片側一車線で中央分離帯がないことが必須です。

 

•駅近よりも住宅地の近く

 

駅の近くも人通りが多いので良いように思えるかもしれません。しかし、お客様のほとんどは電車ではなく車で来店します。そのため、大きな駐車場を確保しなければならないので、駅近では困難な場合が多いでしょう。また、駅の近くは比較的入り組んだ道路や渋滞する地点が多いので、車での来店は嫌がられます。このようなことから駅近よりも住宅地に近いことが条件となります。

 

•道路から視認性がよい場所

 

コインランドリーの売上アップの秘訣は、とにかく知ってもらうことです。普段使うことがなくても、雨の日や花粉の季節に「あそこにあったな」と思い出してもらえることが重要です。そのためには、常日ごろから見られている必要があります。

 

それ故生活道路沿いなのですが、例えば街路樹や歩道橋、他の店舗の看板などで自店舗が隠れてしまえば効果が半減してしまうので、こういったもので遮られない立地を選ばなければなりません。また、道路から店内が見えやすいことは、防犯上の効果もあるので特に女性客には好まれます。

 

•駐車場に入りやすい立地

 

どんな店舗であっても駐車場が入りやすいに越したことはありません。特にコインランドリーは女性をターゲットにしているのでなおさらです。植栽があって入り口が狭い、斜めにしか入れない、バックで駐車しないと出るとき大変、といった駐車場は敬遠されます。例えば自分が免許取り立ての頃を思い出し、気軽に入れるか確認しましょう。

 

•商圏の世帯数

 

コインランドリーは生活に密着した施設なので、半径2㎞までが商圏となります。そのことを前提に最低ラインとしての売上目標を月間100万円とするなら、少なくても半径1㎞で3000世帯、2㎞で6000世帯は必要です。その根拠を計算してみましょう。コインランドリーの利用率は、全国平均で約5%です。

 

従って、6000世帯のうち300世帯が利用することになります。これらの世帯が週に1回来店すれば、月間で延べ1200回の利用があります。そして私たちの実績では1回の平均客単価は800円です。従って月間の売上は下記の図表のようになります。この金額から前述の世帯数が最低限必要だということが理解できるはずです。

 

[図表]月間売上試算
[図表]月間売上試算

 

このような商圏の世帯数は、業務用のパソコンソフトを利用することによって分かります。その多くは単身世帯やファミリー世帯といったことまで分かるので、ターゲティングをする上でも非常に便利です。とは言え、これはかなり高価なソフトなので、それを所有する開業支援会社にサポートを依頼するのが得策です。

 

•商圏内にファミリー世帯が多い

 

当然ながらコインランドリーは、より大きな機械を稼働させる方が利益を生みます。従って、洗濯物が少なく、大物洗いの機会も少ない単身世帯よりもファミリー世帯が多いエリアが適していると言えます。

 

ファミリー世帯の中でも比較的若い世帯の方が、子どもの汚れものが多いのでいいように思えるかもしれませんが、そうとは言い切れません。年齢が上がるにしたがって羽毛布団の利用率が高まり、大型機械の稼働率がアップすることもあるからです。年齢層はそれほど気にする必要はありません。

 

•商圏が分断されていない

 

コインランドリーの商圏は半径2㎞以内です。しかし、その範囲内の生活道路が線路や常に渋滞している地点といった「通るのが面倒だな」と思わせるものによって分断されていれば、集客は期待できません。地図で見て「大型スーパーと同じ道路沿いだ」と飛びつくのではなく、実際に現場に行って車を運転し、住宅地からスムーズに往来できるのか確認する必要があります。

「遊んでいる土地の活用」という感覚では成功できない

立地に関する話をすると、ほとんどの人が競合店の有無を心配します。やはり競争のない場所で最初に出店したいのでしょう。

 

しかし、競合店の有無は基本的に気にする必要はありません。競合店があればすでに周辺住民にコインランドリーの便利さが知られているので、駐車場の大きさや機械の種類などで勝てれば集客が楽になる可能性が高まります。競合店がなければ競争のない市場で、お客様を独り占めできます。つまり、競合店はあってもなくてもやりようがあるのです。

 

最近私たちのところには、コインランドリーを成功させているという話を聞いて「私の土地でもぜひ」という地主から連絡をいただくことがあります。しかし、前述した成功する立地条件を理解できていれば、地主の「遊んでいる土地があるから開店させたい」といった感覚では利益は上がらないということが理解できると思います。

 

従って、いくら賃料や購入費がかからない自分の土地があったとしても、よほどの条件が揃わない限りコインランドリーを開店させることはお勧めしません。

主婦は、人と顔を合わせやすい「併設店」を嫌う傾向

スーパーとドラッグストア、ホームセンターと100円ショップなど、最近郊外に出店する店舗は併設型が目立ちます。この手法はコインランドリーにも有効なのでしょうか。確かに立地はスーパーなどの商業施設と同じ生活道路沿いにするべきなのでメリットは大きく思えるかもしれません。

 

ところが、ある市場調査の結果を見ると、逆の結果が出ていることが分かりました。その理由は、女性がターゲットだということを念頭に置くとよく理解できます。洗濯物を含む家事の多くは、身だしなみを整えて行うことではありません。従って、コインランドリーに行くときもノーメイクというケースが多いのです。そのため人と顔を合わせる確率が高い併設店には行きたくない、という意見が多数上がりました。

 

また、人が多い場所に洗濯物を持って行きたくないという意見も目立ちます。よく考えれば当たり前のことではないでしょうか。さらに、これは私の考えですが、併設店だとその店舗と運命共同体になってしまいます。

 

隣の店舗に活気がなくなれば、自分の店舗にもそのイメージがお客様の間で伝染してしまう可能性があるはずです。また、併設店ということはそれだけ駐車場も大きくなります。空いているスペースがコインランドリーから遠ければ、大物を運ぶのが面倒になるので、それも少なからずマイナス点となるでしょう。

 

そもそも併設店にするということは、テナントとして入ることになるので自社物件にはなりません。こういったことから併設店にする旨味は少ないと考えています。

 

 

堀越 宏一
株式会社松堀不動産 代表取締役社長

 

利回り20%を実現する コインランドリー投資

利回り20%を実現する コインランドリー投資

堀越 宏一

幻冬舎メディアコンサルティング

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