「財務局に聞いてみます」…銀行が恐れる金融庁の権限とは?

金融庁の銀行に対する権限は大きく、最近では、スルガ銀行に対して行った「不動産融資業務に関する6カ月間の業務停止処分」がニュースになりました。今回は、銀行に対する金融庁の権限について見ていきます。※本連載では、現場での実務経験豊富な経営コンサルタントである著者が、銀行交渉の成功事例、融資を受けるために知っておきたい銀行の内部事情などを紹介します。※本記事は、2019年2月21日、3月7日に掲載された古山喜章氏のブログ『ICO 経営道場』から抜粋・再編集したものです。

業務改善命令は「免許取り消し」への第1歩⁉

銀行員の対応がヒドいのなら、「財務局に聞いてみます、と言いなさい」と書き続けています。

 

財務局は、金融庁の下部組織であり、金融庁業務を各地域で執り行う実働部隊です。財務局へ駆け込む、というのは銀行にとって、「金融庁に言いつけられる!」という恐怖に直結するのです。まさに、銀行は金融庁サマサマ病なのです。では、銀行が恐れる金融庁とは、具体的にどのような権限を持つのか、です。大きく5点です。

 

①金融庁検査

②業務改善命令

③早期是正措置

④業務停止命令

⑤免許や登録の取り消し

 

①は、ドラマ「半沢直樹」でも登場した、金融庁による銀行監査です。ヒアリングを体験した銀行マンに聞くと、「生きた心地がしなかった」というくらい、個々の融資理由について、責めたてられるのです。

 

金融庁では、上記①~⑤の行政処分事例集も公表しています。中身を見ると、最も多いのは、②の業務改善命令です。その理由となるのは、管理の不備や、金融庁による方針が徹底されていない、というものばかりです。そのなかの理由のひとつに、「銀行による優越的地位の濫用」というものがあります。

 

私たちが「財務局に行くと銀行に言いなさい!」というのは、概ねこの「優越的地位の濫用」にあたります。

 

●個人保証を外さない

●融資と合わせて定期預金を要求する

●銀行の年度末に不要な融資を押し付ける

 

などといったことです。これらは、業務改善命令の対象なのです。

 

で、あまりにひどいと、④業務停止命令に至り、さらに劣悪だと、⑤免許や登録の取り消し、となるのです。業務改善命令はいわば、免許取り消しへの地獄の一丁目なのです。だから銀行は恐れるのです。最近では、スルガ銀行が不動産融資業務に関して、6カ月間の業務停止処分を受けました。

 

これからの時期、銀行員は年度末の融資をお願いに来るはずです。あまりにしつこいようであれば、「それは優越的地位の乱用になって、金融庁からの業務改善命令の対象になりますよ」と言ってやればよいのです。

銀行の自治体に対する超優遇「減免措置」の実態

2019年3月6日の日本経済新聞朝刊7ページに、『銀行・自治体 崩れる蜜月』という記事がありました。これまで長きにわたり、都道府県の指定金融機関と承認された銀行は、
行政の公金を預かってきました。

 

それはかつて、資金需要が多く、カネ不足の時代だったからこそ、です。その時代、公金を扱うことができれば、預金量が増え、融資や運用で、銀行は利ザヤをたんまり稼げたのです。その指定金融機関となるため、銀行同士が地域内で競争し、行政に対して、手数料等を優遇する「減免措置」を競ってきたのです。

 

しかし、時代はカネ余りとなり、多額の預金を獲得しても、利ザヤを稼げなくなりました。となると、格段の「減免措置」をしてきたことが、銀行にとって大きな負担になってきました。で、その指定金融機関であることをやめます、と言い出したのが、三菱UFJ銀行なのです。

 

記事のなかで、銀行関係者の言葉として、「自治体との取り引きでは、1件の振込手数料で、10円でも取れれば御の字」とあります。つまり、振込手数料は0円の、超優遇「減免措置」がされていた、というわけです。

 

振込手数料だけではありません。役所に設置するATMの費用は全部銀行負担。役所の窓口で収納業務を行う人員も銀行負担。銀行は公金の預金を獲得するため、民間では考えられないレベルの優遇となる「減免措置」をしてきたのです。その補填を強いられてきたのが、民間人や中小企業です。高金利と高額な手数料で、行政への超優遇「減免措置」を可能にしてきたのです。

 

というよりも、いまだにそんなことをしていたのか、とあきれる次第なのです。であれば、中小企業のとる手段は、改めて、各種手数料の「減免措置」を銀行に訴えることです。

 

特に、地域の指定金融機関となっている銀行なら、今回の新聞記事を見せて、「行政には、超優遇措置をして、うちら中小企業には、ヒドイ扱いですね。おたくから借りるのは、ちょっと考え直します」と、言いつけて、更なる「減免措置」を獲得してほしいのです。

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株式会社アイ・シー・オーコンサルティング 代表取締役

昭和40年 大阪府生まれ。

平成元年 関西大学卒業後、兵庫県の中堅洋菓子メーカーに入社。経理、総務、人事、生産管理、工程管理、広報など、主たる管理部門で実力を発揮。

平成17年 株式会社アイ・シー・オーコンサルティングに加わり、経営指導業務を開始する。
以降、長年の現場実務経験と、師匠である井上和弘(アイ・シー・オーコンサルティング会長)の《井上式経営術》を武器に、日々、中小企業の黒子としての経営指導に邁進している。

指導実績:財務改善、税務・銀行対策、労務問題改善、経営企画、管理会計、IT・システム化、事業承継など。
また、日本経営合理化協会主催「後継社長塾」(塾長:井上和弘)、に塾長補佐として参加し、後継社長の育成にも尽力している。

著者紹介

連載経営者必読!融資を勝ち取る銀行交渉術

本連載は、株式会社アイ・シー・オーコンサルティングの代表取締役・古山喜章氏のブログ『ICO 経営道場』から抜粋・再編集したものです。その後の税制改正等、最新の内容には対応していない可能性もございますので、あらかじめご了承ください。ブログはこちらから⇒http://icoconsul.cocolog-nifty.com/blog/

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