業務改善命令は「免許取り消し」への第1歩⁉
銀行員の対応がヒドいのなら、「財務局に聞いてみます、と言いなさい」と書き続けています。
財務局は、金融庁の下部組織であり、金融庁業務を各地域で執り行う実働部隊です。財務局へ駆け込む、というのは銀行にとって、「金融庁に言いつけられる!」という恐怖に直結するのです。まさに、銀行は金融庁サマサマ病なのです。では、銀行が恐れる金融庁とは、具体的にどのような権限を持つのか、です。大きく5点です。
①金融庁検査
②業務改善命令
③早期是正措置
④業務停止命令
⑤免許や登録の取り消し
①は、ドラマ「半沢直樹」でも登場した、金融庁による銀行監査です。ヒアリングを体験した銀行マンに聞くと、「生きた心地がしなかった」というくらい、個々の融資理由について、責めたてられるのです。
金融庁では、上記①~⑤の行政処分事例集も公表しています。中身を見ると、最も多いのは、②の業務改善命令です。その理由となるのは、管理の不備や、金融庁による方針が徹底されていない、というものばかりです。そのなかの理由のひとつに、「銀行による優越的地位の濫用」というものがあります。
私たちが「財務局に行くと銀行に言いなさい!」というのは、概ねこの「優越的地位の濫用」にあたります。
●個人保証を外さない
●融資と合わせて定期預金を要求する
●銀行の年度末に不要な融資を押し付ける
などといったことです。これらは、業務改善命令の対象なのです。
で、あまりにひどいと、④業務停止命令に至り、さらに劣悪だと、⑤免許や登録の取り消し、となるのです。業務改善命令はいわば、免許取り消しへの地獄の一丁目なのです。だから銀行は恐れるのです。最近では、スルガ銀行が不動産融資業務に関して、6カ月間の業務停止処分を受けました。
これからの時期、銀行員は年度末の融資をお願いに来るはずです。あまりにしつこいようであれば、「それは優越的地位の乱用になって、金融庁からの業務改善命令の対象になりますよ」と言ってやればよいのです。
銀行の自治体に対する超優遇「減免措置」の実態
2019年3月6日の日本経済新聞朝刊7ページに、『銀行・自治体 崩れる蜜月』という記事がありました。これまで長きにわたり、都道府県の指定金融機関と承認された銀行は、
行政の公金を預かってきました。
それはかつて、資金需要が多く、カネ不足の時代だったからこそ、です。その時代、公金を扱うことができれば、預金量が増え、融資や運用で、銀行は利ザヤをたんまり稼げたのです。その指定金融機関となるため、銀行同士が地域内で競争し、行政に対して、手数料等を優遇する「減免措置」を競ってきたのです。
しかし、時代はカネ余りとなり、多額の預金を獲得しても、利ザヤを稼げなくなりました。となると、格段の「減免措置」をしてきたことが、銀行にとって大きな負担になってきました。で、その指定金融機関であることをやめます、と言い出したのが、三菱UFJ銀行なのです。
記事のなかで、銀行関係者の言葉として、「自治体との取り引きでは、1件の振込手数料で、10円でも取れれば御の字」とあります。つまり、振込手数料は0円の、超優遇「減免措置」がされていた、というわけです。
振込手数料だけではありません。役所に設置するATMの費用は全部銀行負担。役所の窓口で収納業務を行う人員も銀行負担。銀行は公金の預金を獲得するため、民間では考えられないレベルの優遇となる「減免措置」をしてきたのです。その補填を強いられてきたのが、民間人や中小企業です。高金利と高額な手数料で、行政への超優遇「減免措置」を可能にしてきたのです。
というよりも、いまだにそんなことをしていたのか、とあきれる次第なのです。であれば、中小企業のとる手段は、改めて、各種手数料の「減免措置」を銀行に訴えることです。
特に、地域の指定金融機関となっている銀行なら、今回の新聞記事を見せて、「行政には、超優遇措置をして、うちら中小企業には、ヒドイ扱いですね。おたくから借りるのは、ちょっと考え直します」と、言いつけて、更なる「減免措置」を獲得してほしいのです。