世界株式投資戦略 ~主要資産のボラティリティが同時低下~

ピクテ投信投資顧問株式会社が、日々のマーケット情報を分析・解説します。※本連載は、ピクテ投信投資顧問株式会社が提供するマーケット情報・ヘッドラインを転載したものです。

 

ポイント

主要資産におけるインプライド・ボラティリティの低下が顕著となっています。FRBのハト派スタンス転換や、主要な政治リスクの後退等が要因ですが、足元の相場は思惑(期待先行)で形成されている側面が強いため、今後の動向次第ではインプライド・ボラティリティが上昇する可能性があります。

主要資産におけるインプライド・ボラティリティが同時に低下

図表は米国株、欧州株、米国債、主要通貨それぞれのインプライド・ボラティリティ(予想変動率、以下ボラティリティ)を示しています。

 

[図表]主要資産のインプライド・ボラティリティ指数 日次、期間:2014年3月14日~2019年3月15日 米国株:CBOE SPXボラティリティ指数、欧州株:VSTOXX指数 米国債:メリル・オプション・ボラティリティ・エスティメート 為替:JPモルガン・グローバルFXボラティリティ指数 出所:ブルームバーグのデータを基にピクテ投信投資顧問作成
[図表]主要資産のインプライド・ボラティリティ指数
日次、期間:2014年3月14日~2019年3月15日
米国株:CBOE SPXボラティリティ指数、欧州株:VSTOXX指数
米国債:メリル・オプション・ボラティリティ・エスティメート
為替:JPモルガン・グローバルFXボラティリティ指数
出所:ブルームバーグのデータを基にピクテ投信投資顧問作成

 

一般的に、ボラティリティは当該資産価格の上昇局面で低下し、当該資産価格の下落局面で上昇する傾向があります。足元のように主要資産のボラティリティが同時に低下した局面は、直近では2015年8月のチャイナショックや、2016年6月のブレグジット(英国のEU (欧州連合)離脱)を問う英国国民投票、2018年2月の米国長期金利上昇といった、リスクイベントが発生(ボラティリティが上昇)した後に見られた現象です。

 

今回も昨年12月に発生した米中貿易戦争等を背景とした世界的なリスクオフ局面からの反動、という点で共通項は見いだせるものの、今回はFRB(米国連邦準備制度理事会)がハト派スタンスへ転換する中、米中貿易協議の進展期待やブレグジットにおける合意なき離脱リスクの低下観測といった、投資家の思惑によってもたらされた側面が強いと考えられます。さらに、解決が期待される政治問題は先延ばしされているに過ぎず、本質的な解決には至っていない点も念頭に置く必要があります。

「思惑で買って事実で売る」パターンか?

「思惑で買って事実で売る」という相場格言があります。投資家は将来を予想して投資を行うため、往々にして期待先行で株式が買われ、その期待が現実化するころには株価に十分織り込まれ、思惑が事実となった時点で株式が売られやすいという経験則を表しています。今回は、米中貿易協議の進展や英国のEU離脱延期観測が「思惑」に相当し、それらの合意が「事実」に相当します。

 

その経験則に従えば、「思惑」が「事実」になるまでの間、株価は上昇する可能性がありますが、世界株式市場はすでに期待先行で大きく値上がりしています。今後は、米中貿易協議や英国のEU離脱協議において、(「思惑」が「事実」になる前の段階で)投資家の期待を裏切らないことが肝要になります。そのハードルは決して低くないと考えられるため、上値の深追いは控えたいところです。

 

 

当レポートの閲覧に当たっては【ご注意】をご参照ください(見当たらない場合は関連記事『世界株式投資戦略 ~主要資産のボラティリティが同時低下~』を参照)。

 

(2019年3月19日)

 

 

田中純平

ピクテ投信投資顧問株式会社
運用・商品本部 投資戦略部 ストラテジスト

 

ピクテ投信投資顧問株式会社
運用・商品本部 投資戦略部 ストラテジスト 

日系運用会社に入社後、14年間一貫して外国株式の運用・調査に携わる。主に先進国株式を対象としたアクティブ・ファンドの運用を担当し、北米株式部門でリッパー・ファンド・アワードを受賞。アメリカ現地法人駐在時は中南米株式ファンドを担当し、新興国株式にも精通。ピクテ入社後は、ストラテジストとしてセミナーやメディアなどを通じて投資家への情報提供に努める。日本証券アナリスト協会検定会員(CMA)

著者紹介

ピクテは1805年、スイス、ジュネーブにおいて会社創設以来、一貫して資産運用サービスに従事し、運用サービスに特化したビシネスモデルを展開してまいりました。信用格付ではフィッチ・レーティングスからAA-の格付けを取得しております(2018年5月末現在)。注:上記の格付はピクテ・グループの銀行部門の債務の信用に対するもので、運用部門や運用能力に関するものではありません

1981年、日本経済や株式市場の調査を目的に東京事務所を設立しました。その後、1987年から機関投資家を対象とした資産運用サービス業務を開始、1997年には投資信託業務に参入し、運用資産総額は1.98兆円となっています(2018年12月末現在)。外資系運用機関の大手の一角として、特色ある資産運用サービスをお届けしております。

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