ポイント
景気や業績見通しの下方修正、米中貿易協議やブレグジット(英国のEU(欧州連合)離脱)などを巡る不透明感など、世界株式市場を取り巻く環境は、お世辞にも良いとは言えない状況です。しかし、このような不透明な相場環境だからこそ、優良株の投資妙味が高まると考えられます。
そもそも優良株とは?
一言に優良株と言っても、その定義は様々です。本レポートでは、MSCIクオリティ指数で使用される3つの指標で優れた企業を優良株と定義づけます。MSCIクオリティ指数では、
①高ROE(株主資本利益率)
②低レバレッジ(負債比率)
③安定的な利益成長
を重視しています。一般的に、株主資本コスト(株主から要求される期待リターン)を上回る高いROEを有していれば、企業価値の向上が期待されると解釈されます。低レバレッジであれば、景気低迷によって収益性が低下したとしても、利払いや元本返済によってキャッシュフローが圧迫されるリスクは低くなります。
資産を「守る」「増やす」「次世代に引き継ぐ」
ために必要な「学び」をご提供 >>カメハメハ倶楽部
また、安定的な利益成長が実現可能なビジネス・モデルであれば、景気が低迷したとしても、利益の変動を比較的抑えることができるはずです。これらの指標面で総合的に優れた企業が、優良株ということになります。
優良株は景気の先行き不透明感が高まる局面で相対パフォーマンスが上向きやすい
図表は、過去3回の米国の景気後退期前後における世界優良株の相対パフォーマンスを示しています。どの局面においても、世界優良株の相対パフォーマンスが良好だったことが確認できます。これは、投資家が景気減速又は後退を意識して、景気に左右されにくい優良株へのシフトを、事前に進めていたことが要因だと考えられます。
[図表]MSCI先進国株指数と同クオリティ指数の期間別比較
さらに、世界優良株の相対パフォーマンスを過去30年でみた場合でも、トラックレコード(投資実績)が良いことが分かります。これは、前述した景気後退局面前後で相対パフォーマンスが上向く特性に加え、その後の景気回復ないし拡大局面においても、(企業価値の向上等を反映して)相対パフォーマンスがゆるやかに上昇していたことが背景にあると考えられます。
景気や業績見通しの下方修正、米中貿易協議やブレグジットなどを巡る政治リスクの高まりなど、世界株式市場を取り巻く環境は不透明感が増している状況です。このため、投資家の資金シフト需要を背景に、今後も優良株への物色が強まることが想定されるため、注目に値する投資スタイルのひとつだと考えられます。
当レポートの閲覧に当たっては【ご注意】をご参照ください(見当たらない場合は関連記事『世界株式投資戦略 ~今こそ注目したい優良株投資~』を参照)。
(2019年3月14日)
田中純平
ピクテ投信投資顧問株式会社
運用・商品本部 投資戦略部 ストラテジスト
カメハメハ倶楽部セミナー・イベント
【12/10開催】
相続税の「税務調査」の実態と対処方法
―税務調査を録音することはできるか?
【12/10開催】
不動産「売買」と何が決定的に違うのか?
相続・事業承継対策の新常識「不動産M&A」とは
【12/11開催】
家賃収入はどうなる?節目を迎える不動産投資
“金利上昇局面”におけるアパートローンに
ついて元メガバンカー×不動産鑑定士が徹底検討
【12/12開催】
<富裕層のファミリーガバナンス>
相続対策としての財産管理と遺言書作成
【12/17開催】
中国経済×米中対立×台湾有事は何処へ
―「投資先としての中国」を改めて考える