前回は、中間省略による売買について説明しました。今回は、金融機関や不動産会社がどのように不動産の「資産価値」を算出するのか、その概要を見ていきます。

「資産価値」は一般的に土地と建物の価格から査定

不動産に定価はありません。では資産価値がどのように算出されるかといえば、一般的には土地と建物の価格で査定します。参考までに、金融機関や不動産会社がどのように資産価値を算出するのか解説します。

 

まず、土地価格。これには、一物四価、あるいは五価とよばれるほど多くの種類があります。次の4つの公的な価格に加えて、時価(実際に取引される実勢価格)を足すと5つあることがその由来です。

 

●公示地価・・・国土交通省が土地取引の指標にすべく算定するもの。

 

●基準地価・・・都道府県知事が一般の土地取引の指標とすべく算定するもの。公示地価を補完する意味が強い。

 

●固定資産税評価額・・・市町村が固定資産税などの課税のため算定するもの。公示地価の7割程度。

 

●相続税路線価・・・国税庁が、相続税や贈与税における課税額を算定するために公表している、路線ごとの価格。公示地価の8割程度。

 

土地の価値を判断する際、金融機関が参照するのは相続税路線価。これに対して不動産業者は、路線価と実勢価格を参考にします。

売却価格が妥当なのか、最終的な判断をするのは売主

では、建物の価格はどのように算出されるのでしょうか。

 

金融機関が建物価格を算出するときには、建築単価を用います。新築時の建築費を基準に経年を考え合わせ、資産価値を算出するのです。

 

一方で不動産業者は、法定耐用年数(物件が使用に耐える年数を、法的に明示したもの)に基づいて価値を算出するのが一般的です。その詳細については第3章で述べますが、たとえば47年のRCマンションであれば、1年経つごとに1/47ずつ価値が減っていきます。つまり47年後には価値はゼロになる、という考え方です。

 

銀行評価では、土地・建物をそれぞれ計算して足した金額に、掛け目という調整を行います。収益不動産に限っていえば、利回りから価格を算出する方法もあります。その場合には、土地・建物を合わせて計算します。

 

たとえば年間300万円の家賃収入のあるアパートを3000万円で売ると、利回りは10%になります。相場はもちろん、その物件のある立地や入居率、築年数などから利回りを算出して査定するのです。

 

不動産業者や金融機関でさえ評価が揺れる、不動産の資産価値。売却価格が妥当なのか、最終的な判断をするのは売主です。業界の仕組みや相場を知り、売りに出そうと思っている物件の現状把握・売却準備を行わなければ、大損する事態は避けられません。

本連載は、2015年10月26日刊行の書籍『万年赤字物件を驚異の高値で売る方法』から抜粋したものです。その後の税制改正等、最新の内容には対応していない可能性もございますので、あらかじめご了承ください。

万年赤字物件を 驚異の高値で売る方法

万年赤字物件を 驚異の高値で売る方法

新川 義忠

幻冬舎メディアコンサルティング

不動産投資ブームが過熱する中、多くのサラリーマン投資家が誕生しています。家賃収入で不労所得を得たい・・・皆、そんな夢を描いて収益不動産を購入するのですが、誰もが成功しているわけではありません。 そもそも、全国の…

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