3月末「東証」市場再編の方針決定へ…TOPIXはどうなる?

ピクテ投信投資顧問株式会社が、日々のマーケット情報を分析・解説します。※本連載は、ピクテ投信投資顧問株式会社が提供するマーケット情報・ヘッドラインを転載したものです。

 

ポイント

東証1部の企業数が増えすぎたことにより、かつて一流企業と言われていた「1部ブランド」価値が低下していること等から、今月末に「東証」市場再編の方針が決定される予定。今後の市場区分は、現状の4市場を、①企業数削減した東証1部(グローバル/プレミアム)、②中堅企業(スタンダード/グロース)、③新興市場の3つに再編成するという可能性が高い。

なぜ、「東証」の市場再編なのか?

ここにきて「東証」市場再編の議論が高まっている。そもそも、2013年7月の東京証券取引所と大阪証券取引所の現物市場を統合した後も維持されてきた「市場の区分」について、見直しが必要という問題意識があった。2016年3月、日本取引所グループ(同グループ傘下に東証)の第2次中期計画内で「市場区分の見直し」を経営課題と位置付けていたからだ。

 

 

課題となっているのは、増えすぎた東証1部の企業数だ(図表1)。2019年2月末現在の東証1部の企業数は2129社となり、1990年から約30年で倍増している。世界の主要市場と比べても圧倒的に社数が多い。かつて東証1部は一流企業と言われていたが、現状「1部ブランド」の価値は相対的に低下しているといえよう。社数が急増したのは、①当初、東証1部に直接新規上場するには500億円以上の時価総額が求められたが、2012年に250億円以上に引き下げられた、②新興市場のマザーズを経由すれば、40億円の時価総額で東証1部に移ることができるからだ。

 

[図表1]増えすぎた東証1部の企業数削減を検討

※東京証券取引所発表資料等からピクテ投信投資顧問作成、 ( )内は2019年2月28日時点の国内企業数
※東京証券取引所発表資料等からピクテ投信投資顧問作成、
( )内は2019年2月28日時点の国内企業数

どのように変わるのか?

今後の市場区分のあり方については、図表1のような再編イメージになりそうだ。現状の東証1部市場、2部市場、マザーズ、JASDAQという4市場を、①企業数削減した東証1部(グローバル/プレミアム)、②中堅企業(スタンダード/グロース)、③新興市場の3つに再編成するという可能性が高い。あわせて、市場からの退出のあり方(上場廃止基準等など)も決定されるようだ。

 

 

重要なのは、市場構造の見直しに伴って、現在東証1部上場企業を対象に算出されているTOPIXの扱いをどうするかである。経済産業省の2019年2月20日資料によると、「・・・TOPIXの範囲・基準についても見直しをすることが適切である。・・・市場区分とは独立して・・・「新TOPIX」のあり方を検討すべきである」と記載されている。市場区分とインデックスは別の検討課題とされる可能性がありそうだ。

今月末に「東証」市場再編の方針決定へ

議論開始のきっかけは2018年10月29日。東証が「市場区分を見直し」する有識者会議『市場構造のあり方などに関する懇談会』を設置したことによる。既に会合は5回以上開催されているようだ。外部から意見募集をするため、同年12月21日から2019年1月31日までパブリックコメントを受け付けた。集めた意見を元に議論・検討を行い、3月末頃にパブリックコメントの回答をする予定。同じく3月末頃、日本取引所グループによる方針の最終決定(第3次中期計画内)も予定されている。

 

ただ、東証の内部課題であった「東証」の市場再編が、成長戦略の一部に取り込まれる可能性もある。経済産業省や金融庁はガバナンス改革の一部として市場区分の見直しを位置付けようとしているからだ。仮に、成長戦略に方針を取り込むのであれば、政府が成長戦略を取りまとめる6月頃まで議論は続き、今春に予定されている方針の最終決定は概要に留まり、詳細発表の時期は遅れることもあるだろう。

 

当レポートの閲覧に当たっては【ご注意】をご参照ください(見当たらない場合は関連記事『3月末「東証」市場再編の方針決定へ…TOPIXはどうなる?』を参照)。

 

(2019年3月15日)

 

糸島孝俊

ピクテ投信投資顧問株式会社
運用・商品本部 投資戦略部 ストラテジスト

 

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ピクテ投信投資顧問株式会社
運用・商品本部 投資戦略部 ストラテジスト 

証券系シンクタンクの企業調査アナリストを経て、日系大手運用会社にて投資顧問や投資信託の資金を国内株式中心に運用。その後、ヘッジファンドや独立系運用会社でもアクティブ・ファンドマネージャーとして従事。運用経験通算21年。最優秀ファンド賞3回・優秀ファンド賞2回の受賞歴を誇る日本株式ファンドの運用経験を持つ。ピクテでは、ストラテジストとして得意とする国内株式を中心に主要国のエクイティ・マーケットまで緩やかにカバー。日本証券アナリスト協会検定会員(CMA)、国際公認投資アナリスト(CIIA)、国際テクニカルアナリスト連盟認定テクニカルアナリスト(CFTe)

著者紹介

ピクテは1805年、スイス、ジュネーブにおいて会社創設以来、一貫して資産運用サービスに従事し、運用サービスに特化したビシネスモデルを展開してまいりました。信用格付ではフィッチ・レーティングスからAA-の格付けを取得しております(2018年5月末現在)。注:上記の格付はピクテ・グループの銀行部門の債務の信用に対するもので、運用部門や運用能力に関するものではありません

1981年、日本経済や株式市場の調査を目的に東京事務所を設立しました。その後、1987年から機関投資家を対象とした資産運用サービス業務を開始、1997年には投資信託業務に参入し、運用資産総額は1.98兆円となっています(2018年12月末現在)。外資系運用機関の大手の一角として、特色ある資産運用サービスをお届けしております。

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