前回は、不動産業者の「業務実態」を説明しました。今回は、不動産の査定価格が妥当か否かを判断する方法と、優良な不動産業者か見極める方法について見ていきます。

担当営業マンによって査定額に数百万円ものズレが!?

前回も触れましたが、結局のところ、不動産の値付けには様々な手法があります。

 

収益不動産専門会社では主に利回りが重視されますが、査定価格はやはり統一されていません。同じ収益不動産専門の業者であっても、営業マンによって査定価格が変わります。会社レベルというよりは、担当レベルで査定にズレが生じます。

 

不動産の恐ろしいところは、その金額規模の大きさです。担当によって簡単に数百万円単位のズレが起こるのですから、売主からすればたまったものではないでしょう。しかしこれが査定の実情です。

 

ですから査定額が妥当かどうかの判断は、売主本人が複数の観点から行う必要があります。参考まで、私の経営する会社で査定を行う際に提示している、次の3つの売却価格をご紹介します。

 

①業者による買取価格。すぐに現金化できることがメリット。

②市場に出してすぐ売れる相場価格。①よりは売却に時間がかかります。

③理想価格。半年ほど時間がかかりますが、希望通りの価格で売れる可能性が高いです。

 

業者に査定を依頼する際は、ある程度ズレが生じるのは致し方ありません。それを認識し、自分自身が何を優先させるかを考えた上で、売却準備を進める必要があるのです。

宅建の免許番号だけで業者を判断するのは危険

結局のところ、収益不動産の売却はその道の専門会社に任せるのが一番安心といえるでしょう。

 

ところが、ひと口に収益不動産専門といっても、一棟物件をほとんど取り扱ったことのない業者も交ざっているのが現状です。その大きな要因は、区分マンションの品薄状態にあります。2020年の東京オリンピック開催への期待感から、区分マンションが一気に売れるという出来事がありました。その結果、扱う商品が減って手の空いた区分マンション専門業者が、一棟物件の売買仲介に参入してきているのです。

 

また老舗であっても、担当者の入れ替わりが激しく、経験のない営業マンばかりが在籍している会社もあります。「収益専門」を名乗っていても、その実績は傍はた目にはなかなかわかりにくいのです。

 

不動産会社の信頼性を確認する手段として巷ちまたでよく紹介されるのが、宅地建物取引業免許証に記載される「免許番号」です。その数字から、会社の営業年数を知ることができるのです。しかしここにもまた、初心者が陥りやすい落とし穴があります。

 

宅地建物取引業免許証には、都道府県の免許、国の免許と2種類あります。営業エリアの拡大などによって免許証の更新を行うと、免許の種類が変わり番号がリセットされる仕組みになっています。

 

たとえば、埼玉県で30年営業していた不動産会社があるとします。免許番号は5年ごとに1ずつ増えていきますから、この会社は「埼玉県知事(6)第□■□号」という免許を持っていることになります。

 

あるとき、この会社は他県に営業所を新設しました。営業エリアが複数県にまたがることになりますので、国の免許を取得する必要が生じます。新しく得た免許は「国土交通大臣(1)第□■□号」。免許番号だけで見れば、「6」から「1」に戻ってしまったことになります。30年もの不動産業務経歴があるにもかかわらず、です。

 

このように、免許番号のみで不動産業者を判断するのは危険です。重視すべきは、いかに長い間不動産業に従事してきたかという点です。

本連載は、2015年10月26日刊行の書籍『万年赤字物件を驚異の高値で売る方法』から抜粋したものです。その後の税制改正等、最新の内容には対応していない可能性もございますので、あらかじめご了承ください。

万年赤字物件を 驚異の高値で売る方法

万年赤字物件を 驚異の高値で売る方法

新川 義忠

幻冬舎メディアコンサルティング

不動産投資ブームが過熱する中、多くのサラリーマン投資家が誕生しています。家賃収入で不労所得を得たい・・・皆、そんな夢を描いて収益不動産を購入するのですが、誰もが成功しているわけではありません。 そもそも、全国の…

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