所有物件のリノベーションで得られる「真の投資効果」とは?

本連載最終回は、不動産投資の選択のリノベーションがもたらす投資家への効用を中心に説明していきます。※本連載は、リズム株式会社アセットソリューション事業部長の寺内直哉氏の著書、『東京1Rマンションオーナー必読! リノベーション投資入門』(総合法令出版)の中から一部を抜粋し、不動産投資におけるリノベーションの基本的な考え方や、費用対効果について紹介します。

ワンルームのリノベーションで得られる効果

最後に、みなさまにお伝えしたいことがいくつかあります。本書全体の「まとめ」とも言うべき内容ですが、もう少しだけおつきあいください。

 

 本書でお伝えしたかったこと 

 

本連載のメインテーマは、「東京ワンルームマンションにリノベーションを施す」ということです。

 

それにもかかわらず、本書(『リノベーション投資入門』)では、最初に財務諸表を使って不動産投資の仕組みを解説し、続いて東京ワンルームマンションの特徴を確認してから、リノベーションの話に入らせていただきました。

 

「本題に入るまでにずいぶんと回りくどいことをする本だな」と思われたかもしれません。その理由は「リノベーションがみなさまの資産形成にとって、いかに効果のあるものなのか」を本質的なところからしっかりとお伝えしたかったからです。

 

東京のワンルームマンションをリノベーションすると、だいたいの物件で家賃を上げられるものですが、それを単に「400万円前後の費用でリノベーションし、家賃が2万円アップした」という表現だけで片づけたくなかったのです。

 

私たちは、資産が形成される仕組みを本質的に理解することで、物件の“稼ぐ力”こそが、資産を育ててくれる源泉であることを確認できます。そして、その物件の“稼ぐ力”に多大な影響を及ぼすのがリノベーションです。

 

なぜなら、物件の“稼ぐ力”は潜在総収入や空室損、運営費によって決まっていて、リノベーションはそのすべての項目に影響を及ぼすものだからです。

 

また、「東京ワンルームマンションの特徴を明らかにする」というところにも、相応のボリュームを割きました。

 

東京ワンルームマンションの強みは、同じように「空室損」や「運営費」を掘り下げることで確認できます。そして、その強みは「東京」という、世界的にも稀有な市場における「需給ギャップ」から生じています。

 

つまり、需給ギャップが生み出す「家賃相場の高さ」、そして「平米あたりの家賃の高さ」が、東京ワンルームマンションならではの「運営費比率の低さ」を作り出しているのです。

 

さらに、運営費のほぼ大半を占めるのは、管理費や修繕積立金、内装費といった、建物の内外両面への維持管理にかかる費用です。

 

ということは、「運営費は経年によってその金額が上昇していく性質のもの」ということが言えます。

 

経年によって運営費が上昇していく“負”のインパクトは、運営費比率と比例します(運営比率が低いほど、その“負”のインパクトは小さくなります)。

 

そもそも不動産投資の魅力が「時間軸を増やせる」ことにある、つまり「時間の経過を活用する」ところに妙味があるという点において、この「運営費比率の低さ」は東京ワンルームマンションのかなり注目すべき特性なのです。

 

そして、リノベーションを施すことは、この特性をさらに増幅してくれます。

 

リノベーションは、物件の面積を変えずに、取れる家賃を引き上げる、つまり平米あたりの家賃を引き上げることで、運営費の比率をさらに下げるのです。

 

以上のように、東京ワンルームマンションにリノベーションを施すことの真の効果を理解するには、「不動産投資が資産形成につながる仕組み」や、「東京ワンルームマンションの特徴」の本質的な理解が必要だと考えたのです。

リノベーションは不動産投資の可能性を広げてくれる

 不動産投資における選択とは 

 

そして、もう1つ、ここまで東京ワンルームマンションのリノベーションを解説してきて、最後にお伝えしたいことがあります。

 

それは、「所有している物件にリノベーションを施す」という投資手法を手に入れることで、「投資の幅や選択肢が広がる」ということです。

 

不動産投資に必要な知識は非常に幅広く、その投資手法も様々なものがあります。その一方で、投資家が取れるアクションはそう多くありません。

 

言ってしまえば、投資家が不動産投資と向き合うときには、「買う」「持つ(運用する)」「売る」という3つのステージから、いずれかを選択しているに過ぎないのです。

 

そして、どのステージにおいても最善の選択ができるよう、広範な知識や様々な投資手法を身につけようと努力するのです。

 

その上で投資家は、それぞれのステージで主要となる課題や、テーマと向き合うことになります。たとえば、次のようなものです。

 

「購入」→どの物件を買うのか? どういうローンの組み方をするのか?

「所有」→いかにして収益性を維持向上するのか?

「売却」→どの物件を売るのか? いつ売るのか?

 

本連載でお伝えしてきたリノベーションは、「所有」というステージにおいて、「いかに収益性を維持向上させるか?」というテーマに対する回答の1つでした。

 

本連載の内容をしっかりと理解し、しかるべき形で実践をしていただければ、所有をしている間の収益性の維持向上は現実的に可能になると思います。

 

 リノベーションで広がる投資の幅 

 

さらに、ここで強調しておきたいことがあります。この「所有物件へのリノベーション」という投資手法は、「購入」や「売却」というステージにおいても、私たちの選択に幅を持たせてくれるものだということです。

 

「購入」→リノベーション向き物件の選定

「売却」→売却を前提としたリノベーション

 

たとえば、物件の購入を考えている場合、これまでは単純に「駅から近いか?」「築年数はどのくらいか?」「利回りは?」といった感じで、バリューアップを前提としない基準で物件選びをしていたと思います。

 

しかし、「リノベーションによる費用対効果が利回り10%を超えることがある」という事実を知った今では、これまでとは違った視点で物件を探すことが可能になるはずです。

 

つまり、単に安い中古物件を探すだけはなく、エリアや部屋の面積など、リノベーションに適した物件にも目を向けるという方向性です。

 

現在の市場において、収益物件の売買価格は主に「エリア」や「築年数」「現状の家賃」といった要素で決められていることは、みなさんも肌感覚で理解されているでしょう。

 

千代田区と杉並区では相応の価格差がありますし、物件のスペックがほぼ同じにもかかわらず、築10年の物件と築30年の物件が同じ売買価格だったとしたら、誰もが違和感を持つはずです。

 

その一方で、「リノベーションに適しているか?」という視点は、市場価格に反映されていません。つまり、所有後に10%を超える費用対効果が見込める物件だったとしても、結局はエリアや築年数、現状の家賃で価格が決められてしまうのです。

 

そういった市場で、「将来のバリューアップ」という視点を持って物件探しをすることは、“隠れたお宝物件”を見つけ出すチャンスにもつながります。

 

また、売却時においても、リノベーションによって物件の“稼ぐ力”を引き上げ、リスク要因を排除して期待利回りを引き下げることで、「高値で売却する」という選択肢も視野に入ってきます。

 

そうなれば、複数持っている物件のうち、「どれを売却しようか?」といった判断基準の幅も広がるでしょう。

 

 リノベーションがもたらす投資家への効用 

 

また、「リノベーション」という投資手法は、「所有」中の物件に対する投資家の心理状態にも良い影響を与えます。有利な追加投資ができるという「選択肢」は、入居者退去というネガティブ要因に対する不安を一掃できるからです。

 

たとえば、私自身も東京都内の築古物件ということでは、目黒区に築30年の物件を所有し、賃貸経営をしています。目黒の物件はリノベーションを施す前のもので、現在は10年以上の長期入居になっています。

 

「リノベーション」という投資手法を理解していなければ、現入居者の退去は、私にとって歓迎できないものになるでしょう。原状回復費が高額になることが予想され、空室期間もそれなりに覚悟しなければならないからです。

 

しかし、実際にはリノベーションによる大幅な家賃アップが可能であり、本書でお伝えしてきたような、利回り10%を超える運用を追加できる読みがあります。

 

もちろん、このまま長期入居を続けてくれれば安定的に家賃は入ってきますが、いざ退去になれば、それはそれで10%を超える投資を行えるチャンスに変わるのです。

 

つまり、「現状が継続するも良し、変化があるも良し」という理想の状態です。

 

一方、私は同じ東京都内の調布市にも、築30年クラスの物件を所有しています。こちらの物件も同じく、現入居者は10年を超える長期入居中ですが、こちらは退去後のリノベーションが難しい物件です。

 

なぜなら、リノベーションの資金を投入しても、家賃アップの幅をあまり見込めないエリアだからです。

 

つまり、この調布と目黒は、「築30年」の「長期入居中」という一見同じ状況とも思える物件ですが、私にとっては意味合いが大きく異なるのです。

 

また、この2つには、築年数等以外にもう1つ共通点があります。長期入居中だからということもありますが、どちらの物件も、周辺の相場家賃より数千円ほど高く家賃が取れているのです。

 

ですので、賃貸借契約更新のタイミングで、入居者から家賃の減額交渉が入る可能性もあるかなと考えています。

 

減額交渉が入った場合に、私の取れるアクションは、「退去して欲しくないので減額を受け入れる」か、「退去を覚悟してつっぱねる」のどちらかです。

 

みなさんおわかりだと思いますが、ここでも、2つの物件が取れる選択は異なってくるのです。目黒なら退去はむしろ、新たなワクワクする投資のチャンスにつながりますが、逆に調布は…ということです。

 

また、仮に所有している物件の家賃が相場より安かったという場合でも、同じことが言えるでしょう。その物件がリノベーションに向いているかどうかで、「家賃の値上げ交渉」というアクションが取れるかどうかも変わってくるのです。

 

このように、「所有物件をリノベーションする」という投資手法を自分のものにしたり、「リノベーションを見込んだ物件を所有する」ことは、投資家に心の余裕をもたらし、選択の幅を広げてくれることにもなるのです。

 

 最後にみなさまへ 

 

いかがでしたでしょうか。みなさまにとって本連載がリノベーションの「発展的な可能性」を知っていただくきっかけになれば、著者としてうれしい限りです。

 

不動産投資は「長期的な視点で考えればこその妙味」というものがあります。

 

長い年月の間にはさまざまな情勢の変化があり、想定したようにいかないこともありますが、投資家自らが幅広い知識や手法を身につけて柔軟に行動することで、多くの不安要素は排除できるものです。

 

これはリノベーションという手法に限った話ではないと思いますが、取れる選択の幅は広ければ広いほど、私たちの資産形成は盤石なものになります。

 

「Xという状況になったらA案を」「Yという状況になったらB案を」「B案が駄目ならC案を」といった感じで、引き出しが多ければ多いほど柔軟に対応できます。

 

そして、「変化を続ける外部環境に対して、柔軟な対応を取れる準備が整っている」という事実は、私たちに余裕のある良い精神状態を生み出し、様々な意思決定を冷静に行える土台を造ることにもなります。

 

本連載でお伝えしてきた「所有物件をリノベーションする」という投資手法は、選択の幅を広げることで私たちの精神面にも良い影響を与えてくれるツールの1つとして活躍してくれるものです。

 

リノベーションという強力なツールをうまく活用し、資産形成をさらに柔軟で強固なものにすることで、みなさまの人生がより幸せなものになるよう心から願っています。

 

リズム株式会社 アセットソリューション事業部 部長

1972年生まれ。上智大学経済学部卒業後、ワンルームマンションデベロッパーにて営業職で経験を積んだ後、人材教育や社内改革に中心メンバーとして加わり、リズム株式会社起業に参画。
現在は同社にて、物件紹介、リノベーション、金融機関借換、仲介による売却と、所有から運用、売却まで幅広く顧客の要望に沿ったコンサルティングを行っている。
個人としても、都内のワンルームマンションを中心に、5戸の区分所有賃貸経営を実践中で、賃貸経営歴は15年。公認不動産コンサルティングマスター、宅地建物取引士、FP技能士1級。

著者紹介

連載所有物件をバリューアップ!「リノベーション投資」のススメ

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